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雑誌目次

論文

臨床検査42巻12号

1998年11月発行

雑誌目次

今月の主題 遺伝子多型と疾患 巻頭言

遺伝子多型と疾患

著者: 池田康夫

ページ範囲:P.1491 - P.1492

 テクノロジーの著しい進歩によって,DNA配列を直接的に決定することが比較的容易になり,その結果,ヒトゲノムは非常に多数のDNA多型を持つことが次第に明らかになってきた.DNA多型とはある集団でDNA配列の変異が1%以上に生じており,しかもその集団の多数の人と異なる場合と定義される.逆に言えば,ある集団の100人について,全員が同じDNA配列を示した場合,その遺伝子は多型でないと言う.機構からみれば多型は突然変異であり,対象とする集団によってその配列の変異は突然変異となったり,多型と定義されたりすることもあり得る.多型の多くは明らかな表現型の違いをもたらさないが,転写機構,mRNAの安定性,蛋白構造の変化などを通じて,その因子の量的,質的な微妙な変化をもたらす可能性がある.
 今,なぜ,遺伝子多型が注目されているのであろうか? これまで,先天性疾患の遺伝子異常については多くの知見が蓄積され,遺伝的疾患の分子生物学的解析に著しい進歩がもたらされたが,動脈硬化,高血圧,糖尿病,癌など非常に頻度の高い疾患においても罹りやすさ,病型などにおいても遺伝的背景の存在が示唆されており,その理論的な裏付けを求めようとする学問の流れが技術革新とあいまって加速されているのである.

総論

遺伝子多型とは

著者: 村田満

ページ範囲:P.1493 - P.1499

 遺伝子多型は集団の1%以上に認められる塩基の変異であり,生物機能に何ら影響を与えず遺伝マーカーとなるだけのものから,疾患の原因や疾患の易罹病性に関係するものまでさまざまである.特に近年,遺伝子多型はcommon diseaseの遺伝子危険因子となり得ることが明らかにされており,疾病予防や治療法の選択にも関係するため,その遺伝子診断はますます重要となってきている.

多因子病の病因としての多型

著者: 阿部達生

ページ範囲:P.1500 - P.1506

 多因子(遺伝)病はメンデル遺伝病(単一遺伝病)に対して用いられる術語であり,日常で出くわすほとんどの病気が含まれる.疾病は個体の遺伝的変異と環境要因の相互作用(gene-environment interaction)で成立する.遺伝的変異は換言すれば個体差であり,ある病気,例えば,高血圧や糖尿病に罹りやすいかどうかということを意味する.その機序を分子遺伝学的に解明するのは簡単なようできわめて難しく,21世紀医学の中心的な課題になると思われる.

遺伝子多型解析法

著者: 菅野康吉 ,   執行雅紀 ,   谷口高広 ,   深山紀子

ページ範囲:P.1507 - P.1517

 遺伝子多型の解析の多くは,従来Southern blot法により行われていた.ヒトゲノムプロジェクトの進歩によって,最近ではPCR法で解析可能な多数のマイクロサテライト型多型が利用可能となり,臨床検体を用いた解析技術は飛躍的に進歩している.これらの新しい多型マーカーの利用にはヒトゲノムに関する情報の把握が重要であり,多型解析の技術的問題に加え,インターネットを通じた遺伝子情報へのアクセスの方法などについても解説した.

各論:疾患と多型

p53遺伝子多型と悪性腫瘍

著者: 川尻要

ページ範囲:P.1519 - P.1522

 p53癌抑制遺伝子にはコドン72がアルギニン(Arg)およびプロリン(Pro)の遺伝的多型がある.p53遺伝子多型と発癌感受性について解析したところ,肺癌ではPro/Pro型が,胃癌ではArg/Arg型が高リスク型の遺伝子型であった.p53多型はHPVのウイルス蛋白E6による分解速度に影響を与え,子宮頸癌ではArg/Arg型が非常に高い発癌へのリスク要因であるという報告も最近なされた.

骨粗鬆症

著者: 細井孝之

ページ範囲:P.1523 - P.1526

 骨粗鬆症の病態において根幹となる低骨密度は複数の環境因子と遺伝因子によって決定される.遺伝因子を遺伝子レベルで探求する一環として骨代謝関連遺伝子を候補遺伝子として取り上げ,それらの多型性と骨量との関連を解析している.現在までに複数の遺伝子多型性が骨量と有意な関連を持つことが判明しており,骨粗鬆症の病態に多様性があることが示唆されている.

心筋症

著者: 木村彰方

ページ範囲:P.1527 - P.1532

 遺伝子多型は健常者集団中にも存在する遺伝子配列の相違であるが,アミノ酸置換を伴う多型も存在する.また,HLA遺伝子に象徴されるように,多型の存在に依存して,その遺伝子ないし蛋白の発現や機能が変化することがある.機能変化を伴う多型は,それ自身が単独で疾患の発症を規定するわけではないが,種々の遺伝子多型の相互作用によって疾患の病因や病態発現における個体差を規定し得る場合もあると考えられる.心筋症についても多型と疾患との関連が最近解析されており,病態修飾因子としての意義が議論されている.

血栓性疾患

著者: 松原由美子

ページ範囲:P.1533 - P.1538

 動脈硬化病変を基盤としそこに血小板や血液凝固因子が主体となって形成する動脈血栓は脳梗塞や心筋梗塞などの原因となる.その成因には遺伝的因子と環境因子が複雑に絡み合っていると考えられている.近年,遺伝的因子として動脈硬化/動脈血栓症に関与する因子,すなわち,脂質代謝,血液凝固線溶,血管調節,血小板の遺伝子多型が動脈硬化/動脈血栓症の独立した危険因子として注目されている.それらの中には環境因子や年齢によって遺伝的素因の発現が影響を受ける遺伝子多型の報告があり,遺伝子多型と血栓症の関連の研究は,疾患と遺伝子型,さらに環境因子―遺伝子型との相互作用の検討により疾患の予防や診断,治療選択などへの臨床応用が期待されている.

アルコール依存症に関連する遺伝子多型

著者: 石黒浩毅 ,   有波忠雄

ページ範囲:P.1539 - P.1542

 アルコール依存症に関連している多型のある遺伝子は,ADH2およびALDH2遺伝子である.特にアジア人にみられるALDH2遺伝子多型の酵素欠損型対立遺伝子を持っている人は持ってない人に比べてアルコール依存症になる危険が1/5程度に小さくなる強い疾患抵抗性遺伝子である.一方,アルコール依存症にかかりやすい疾患感受性遺伝子の検索が世界中で行われているが,まだ,すべての研究者が認めるものは見つかっていない.

高血圧

著者: 佐藤憲幸 ,   檜垣實男 ,   荻原俊男

ページ範囲:P.1543 - P.1548

 本態性高血圧症の発症・進展には複数の環境因子,遺伝因子が関与しているため,1遺伝因子の影響を表出させることが困難であり,具体的な原因遺伝子は明らかになっていない.しかし,数ある候補遺伝子の中で,アンジオテンシノーゲン,GNB3,αアデューシン,eNOS遺伝子などが関与していると考えられている.なかでも,アンジオテンシノーゲン遺伝子は,ヒト集団を用いた検討,遺伝子改変マウスの作製,プロモーター領域の機能解析など複数の側面からの検討がなされ,遺伝子多型から高血圧発症への一連の病態が解明されつつある.

糖尿病

著者: 森保道 ,   門脇孝

ページ範囲:P.1549 - P.1555

 糖尿病の発症には,生活習慣などの環境因子に加えて遺伝子多型による遺伝要因が関与している.インスリン非依存糖尿病(NIDDM)との関連が示唆される10以上の多型のほとんどは,血糖調節の中心的なホルモンであるインスリンの膵β細胞からの分泌の過程もしくは骨格筋を中心としたインスリン標的臓器でのインスリン作用の過程に重要な遺伝子に認められている.
 インスリン依存糖尿病(IDDM)と関連する多型で最も重要な多型はHLA遺伝子で,自己免疫機序を介した膵β細胞の破壊に深く関与している.IDDMではゲノムマッピングが原因遺伝子解明に大きく寄与したことから,現在進行中であるNIDDMのゲノムマッピングに期待が寄せられている.

アルツハイマー病の分子遺伝学

著者: 成田薫 ,   佐々木司

ページ範囲:P.1557 - P.1560

 脳血管痴呆とともに痴呆性疾患の代表であるアルツハイマー病(アルツハイマー型痴呆を含む)では,これまで4つの原因(または関連)遺伝子が発見されている.まず家族性の早期発症型アルツハイマー病では,アミロイドβ蛋白前駆体(APP)遺伝子,プレセニリン-1遺伝子,およびプレセニリン-2遺伝子の3つの遺伝子が,それぞれの変異によって病気を引き起こすことが明らかにされている.また弧発例や晩期発症型の家族例でも,アポリポ蛋白E (ApoE)遺伝子の3つのタイプ(e2,3,4)のうち1つ(e4)が発症を早め,発病のリスクを高めることが確認されている.

話題

薬物代謝酵素の遺伝子多型

著者: 谷川原祐介

ページ範囲:P.1561 - P.1564

1.はじめに
 薬物に対する生体の反応性には個人差が認められ,同一用量を服用しても薬物血中濃度に大きな差を生ずることがある.その結果,副作用発現や治療効果に少なからず影響を及ぼすことになる.この原因として,肝・腎機能障害や薬物相互作用のように後天的要因によるものと,先天的に代謝酵素を欠損している遺伝的素因による場合がある.近年の分子生物学のめざましい進展は,ヒトゲノムにおける薬物代謝酵素のDNA塩基配列やその遺伝子変異の解明に大きく貢献し,薬物代謝能の遺伝的多型性が分子レベルで明らかにされつつある.

DNAチップ

著者: 川口竜二

ページ範囲:P.1565 - P.1570

はじめに
 遺伝子解析技術に対する,時代のニーズはより詳細に大量の情報を提供できる(high through-put)方向へとシフトしている.遺伝子解析の基本技術はブロッティングやゲル電気泳動であるが,最近の検査現場には,高速・高感度に多数量の検体を短時間に処理できる方法が導入されてきた.なかでも次世代技術として期待されるものの1つにDNAチップ法がある.DNAチップ法とは支持体としての小断片(チップ)上にそれぞれ異なる種類の短いDNA鎖(例えば,オリゴヌクレオチド)を整列して配置し,それと被検材料中の核酸を反応させることにより,目的の核酸あるいはその特異配列を検出する方法である.DNAチップは,多数のオリゴヌクレオチドを用いてハイブリダイゼーション法により,塩基配列を決定する技術,sequencing by hybridization (SBH)法,あるいはsequencing by hybridization witholigonucleotide matrix (SHOM)法で中心的な役割を演ずる支持体となる.DNAチップは別名で遺伝子チップ(ジーンチップ)とか,オリゴプローブを整列して(アレイ状で)用いることから,マイクロアレイ(マイクロチップ)とも呼ばれる.GeneChipTMがAffymetrix社の商標でもあるので,ここでは語彙をDNAチップに統一して話を進めたい.

ミトコンドリアDNAと長寿

著者: 田中雅嗣

ページ範囲:P.1571 - P.1575

1.ミトコンドリアDNAの構造
 心筋細胞の断面をみると,ミトコンドリアがその約1/3を占めている.心筋はエネルギーを作り出すミトコンドリアとエネルギーを消費するアクトミオシンがその体積の大部分を占めている.1個の細胞には数百個のミトコンドリアが存在し,それぞれのミトコンドリアには数個のミトコンドリアDNA (mtDNA)が存在するので,1つの細胞には数千コピーのmtDNAが存在している.mtDNAは16569塩基対からなる環状二重鎖DNAである.mtDNAには蛋白質を規定する13種の遺伝子と,ミトコンドリア内での蛋白質の合成に必要な2種のリボソームRNA遺伝子と,22種のトランスファーRNA遺伝子が存在している.核のDNAの大部分はイントロンで占められ,機能している遺伝子が占める割合は低いが,mtDNAはほとんどすべての部分が機能しており,その発現量は非常に大きい.

今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・11

特殊急性白血病(Mixed lineage leukemia)

著者: 栗山一孝 ,   朝長万左男

ページ範囲:P.1486 - P.1487

 mixed lineage leukemia (MLL)は,骨髄芽球とリンパ芽球が混在したり(bilineal type),白血病細胞が骨髄性とリンパ性の両方の形質を併せ持っている(biphenotypic type)タイプに大別される予後不良な急性白血病の一病型である.
 MLLは,免疫学的マーカー検索によって診断されることが多い.しかし,bilineal typeは,比較的大型の骨髄芽球あるいは単球成分と小型のリンパ芽球が混在し,形態学的観察が診断の契機になることが少なくない.典型的症例を図1に示す.中央下部の4個の細胞は中型から大型で核クロマチンは比較的繊細で核小体も認められ骨髄芽球と思われる.一方,上部2個と右側の細胞は小型で核クロマチンは豊富でリンパ芽球に見える.myeloperoxidase (MPO)染色(図2)では,右下部の中型芽球は陽性だが,リンパ芽球と思われる3個の小型芽球は陰性である.免疫細胞化学法によって,中型から大型芽球に骨髄性抗原(CD13, CD11など)を,小型芽球にBリンパ系抗原(CD19, CD22, CD10など)を確認した.形態学的にbilineal typeと思えても,免疫学的マーカーではbiphenotypic typeである症例も存在する.図3は,比較的大型から中型の芽球と小型芽球の混在が認められる.大型芽球の一部はMPO陽性であった.

コーヒーブレイク

親と子

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.1499 - P.1499

 何年か前発刊した私の第6エッセイ集"風と光と旅と"からとって当時の部下が退官後に光風会という名前でときどき飲み会を開いてくれるようになった.今年は信州大のS君が幹事で新緑の美が原付近の渓谷の宿であった.これはしかし彼らの可愛らしい子供たちつまり孫弟子でなく弟子孫たちの賑やかな顔合せ会の観を呈し,楽しい集いとなった.特にS君の息子の一人と自治医大のY君の息子の一人がお互い小学1~2年で同じ左利きのせいか気が合って,解散のとき離れたくないと泣き出す始末であった.
 ところで今の若い家族は常に行動をともにし,私たちの時代とかなり違うようである.私など仕事にかこつけて2人の子供たちと旅をともにした記憶もほとんどない.そのせいか彼らも結婚後は父の日などにもプレゼントを持ってきたこともないし,当方も老後の厄介になろうなどという気はさらさら起きないで今日に及んでいる.それでいいと思っていたが,弟子たちの家族を見ていると今様もいいものだとも思われる.私の伜も子供に甘い一方で困ったもんだと思っているが,それも一つの形なのかもしれない.ただ現代の子供たちはあまりに両親の腕の中が暖かすぎると社会に立ったとき無力な存在にならないかという危惧は去らない.

コンピュータ診療とゴキブリ

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.1532 - P.1532

われわれの病院も今年5月連休以降,医師の外来診療もすべてコンピュータを用いて行うことになった.数回の予備練習を行った後,いざ実際に始めたばかりのころは,マウスをクリックすることもぎこちなく,画面のクローズをせずに次の画面を開いたり,操作に戸迷うことのみで悪戦苦闘の日を繰り返し,何度か若い人々の助けを求めたものである.しかし検査項目の選択や結果,処方,輸血や骨髄穿刺・内視鏡の予約設定,次回診療予約まですべてシステムが正確に処理してくれるので,今更ながらコンピュータの偉力に驚いている,最近はだいぶ器機にも馴れて操作がおもしろくなってきたが,やっぱり1日30~40名の診療を終えると,しばらく眼の疲れを感ずるのは年齢のためであろうか?
 しかし,コンピュータ診療の最大の欠点は,患者さんの表情の変化や心の動きを察知するいわゆる問診・視診,さらに触診・聴打診など五感による診療がおろそかになり,患者さんと心の触れ合う面がややもすると欠けやすいことである.

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

マイクロサテライト多型の解析法

著者: 前川真人 ,   柏原秀史 ,   菅野康吉

ページ範囲:P.1577 - P.1584

マイクロサテライトとは
 マイクロサテライトというのは,1個から数個の塩基が複数回反復して繰り返されるような塩基配列のことで,CAという2塩基の繰り返しがよく利用される代表的なものである.マイクロサテライト型塩基配列は,ハプロイドゲノム当たり5万から10万個,つまり30から60kbpに1個の割合で存在する1).繰り返し数の種類が豊富なため,対立遺伝子間のヘテロ接合性が高く,遺伝子の連鎖の解析に有効である2).このマイクロサテライトを挟むようにプライマーを設定してPCRを行うと,繰り返し数に応じてPCR産物の長さが異なるため,変性条件下のポリアクリルアミド電気泳動で,増幅産物の多型性の有無を容易に判別可能である(図1).

Application編

白血病の遺伝子異常・1―bcr/ablキメラ遺伝子を中心に

著者: 北村聖

ページ範囲:P.1585 - P.1591

はじめに
 遺伝子診断の分野では,悪性腫瘍細胞の同定はきわめて重要な位置を占めている.特に末梢血中に悪性腫瘍が存在する白血病では,初期の診断,病型分類のみならず,治療後の残存微少白血病細胞の同定にはきわめて有用である.今回と次回で白血病細胞の遺伝子異常とそれを用いた臨床検査について概説する.表1に白血病でみられる転座型遺伝子異常と,これらの転座に関与している遺伝子の推定される機能をまとめて示す.
 前半の本号は慢性骨髄性白血病に見られるbcr/ablキメラ遺伝子を中心に述べる.

トピックス

バイオマーカー―食事摂取の指標としての活用

著者: 𠮷池信男

ページ範囲:P.1592 - P.1594

 バイオマーカー(biomarkerあるいはbiologi-cal marker)は,生体がさまざまな環境因子の曝露を受け,健康な状態から疾病状態に至る連続的な変化をとらえるための指標である.一般的には,①曝露の状況,②曝露がもたらす効果(生体変化),③曝露に対する個体の感受性に分類される1).疫学研究において,要因と疾病発症との間の因果関係を検討する際に不可欠な情報2)を,客観的な指標として,提供するものである(図1).
 ここで,曝露要因として"飲酒"を,疾病として"アルコール性肝炎"を例として考えてみよう."飲酒"すなわち"エタノールの経口的曝露"に関する情報は,呼気中や血中のエタノール濃度で,おそらく本人の申告よりも"客観的"に示される.また,エタノールパッチテストにより,個々人のアルデヒド脱水素酵素2型(ALDH2)の活性,すなわちエタノールに対する個体の処理能力に関して,ある程度判定ができる.一方,"健康な状態"から"アルコール性肝炎"に至る過程は,γGTP, GOT, GPT値などの連続的な変化によっても,とらえることができるだろう.

遠隔病理診断(telepathology)システム

著者: 白石泰三

ページ範囲:P.1594 - P.1595

 遠隔病理診断が通常の病理診断と異なる点は顕微鏡と診断者が距離的に離れていることである.顕微鏡画像を取り込み,別の地点でそれを表示できれば原則として遠隔病理診断は可能である.最近はパソコンを使用したテレビ会議システムが市販されており,これら利用すれば比較的安価に遠隔病理診断を行える.しかし,操作性と,術中迅速診断時などの信頼性を考慮すると,実際の運用には専用機の使用が便利である.送信側の装置は,通常,顕微鏡と画像入力装置,遠隔診断装置本体(パソコンとモニタおよび専用ソフトの組み合わせが一般的)から構成され,受信側は同じ診断装置で構成されている.画像の伝送にはNTTのデジタル回線(INS64)が最もよく使われている.

質疑応答 診断学

サイレントエイズの診断

著者: 平林義弘 ,   岡慎一 ,   K生

ページ範囲:P.1596 - P.1597

 Q HIVに感染していながら抗体が陽性とならないいわゆるサイレントエイズの診断方法をお教えください.また,サイレントエイズは感染して抗体が死ぬまで検出されないのでしょうか.

資格・制度

言語聴覚士の国家資格

著者: 杉本啓子 ,   S生

ページ範囲:P.1597 - P.1598

 Q 最近,臨床検査技師として耳鼻咽喉科の方で聴力検査をすることになりました.高齢者も多く捕聴器をつけるため,語音明瞭度の検査依頼も多くあります.そこで,言語聴覚士の資格を取得したいと思うのですが,どのようにすれば資格がとれるのかお教え下さい.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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