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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査43巻12号

1999年11月発行

雑誌目次

今月の主題 心電図 巻頭言

最近の心電図検査の動向

著者: 伊東盛夫

ページ範囲:P.1447 - P.1448

 心電図は1903年Einthovenによって発明されて以来,約100年の歴史を持つ.この間に心エコー図,CT,心血管造影法などの優れた心機能検査法が臨床に導入された.しかし,現在でも心電図は最も基本的な臨床検査の1つとしての地位を維持している.言うまでもなく,12誘導心電図は非侵襲的心機能検査の1つであり,ベッドサイドで安全・簡便・迅速に記録可能であり,心房負荷,心室肥大,心筋虚血,心筋梗塞,伝導障害,不整脈,さらには血清電解質の異常など,臨床的に重要な情報が,単純で明確な画像として記録される.しかし,近年の心臓電気生理学,臨床心臓病学,およびコンピュータ医学の進歩に伴い,心臓の電気的活動(すなわち心電現象)に関する情報を検出・収集・処理する方法とその臨床応用の進歩は目ざましいものがある.最近の心電現象の検査における進歩として,次のようなものが挙げられる.

総説

心電図の電気生理学的基礎

著者: 小野克重 ,   有田眞

ページ範囲:P.1449 - P.1458

 心電図は心房筋や心室筋などの心筋細胞の1つ1つの活動電位の三次元的総和として記録されている.心電図の成り立ちを理解するためには個々の心筋細胞の膜電流を理解することが重要となる.抗不整脈剤や抗虚血薬などによる心電図波形への作用も特定のイオンチャネルの修飾作用として理解されるようになった.さらに,特発性心室細動症や先天性QT延長症候群が遺伝性のイオンチャネル病であることが近年になって判明されるに至り,心電図の読解には心筋細胞の電気生理学的知識が今まで以上に必要とされている.

技術解説

心筋虚血,心筋梗塞の心電図

著者: 田辺晃久

ページ範囲:P.1459 - P.1467

 急性心筋梗塞の心電図は発症直後から時間経過とともに特徴的な所見をもって変化する.超急性期ではT波の増高,尖鋭化を伴うことがあり,次いで典型的ST上昇がみられる.ST上昇は徐々に減高し基線に復すが,その過程でT波は陰性化し(冠性T波),心筋壊死相当の誘導では異常Q波がみられる.異常Q波は一般に生涯残存する.陳旧性心筋梗塞の心電図は原則として異常Q波があり,ほかに冠性T波のあることが多い.心筋虚血の心電図ではST下降,ST上昇,陰性T波,陰性U波などがみられる.一過性に心筋虚血の生じる例では運動負荷などにより心筋虚血を誘発し,その際の心電図変化をとらえる.

ホルター心電図の基礎と進歩

著者: 中川幹子

ページ範囲:P.1469 - P.1473

 ホルター心電図は今や循環器疾患の診断には不可欠の検査となり,記録計および自動解析装置の進歩には目をみはるものがある.不整脈や心筋虚血(ST-T変化)の解析精度の向上に加え,ホルター心電図記録を用いた心拍変動や加算平均心電図,QT時間などの評価も可能となり,今後ますますの発展が期待される.

加算平均心電図

著者: 笠巻祐二 ,   小沢友紀雄

ページ範囲:P.1474 - P.1480

 加算平均心電図は,標準12誘導心電図では記録できないμV単位の心内微小電位を体表から検出する方法である.心内微小電位には,さまざまなものがあるが,加算平均心電図で検討されているものとしては,心室遅延電位,ヒス束電位,心房遅延電位,洞結節電位,房室結節電位,副伝導路の電位などがある.これらのうち心室遅延電位に関するものが主体となっており,その臨床的意義もほぼ確立されている.

体表面電位図

著者: 安保泰宏 ,   渡邉佳彦

ページ範囲:P.1481 - P.1489

 体表面電位図(体表面心臓電位分布図)はわが国では山田らの87誘導点法がよく用いられている.その特徴は,心起電力の空間的,時間的な詳細な変化を体表面から捉えることができる点にある.得られた多誘導の心電図から等電位線図,等時線図,等積分値図,偏差図,activation time interval map, QT mapなどが作成され,肥大の程度,虚血・梗塞巣の拡がりや重症度の評価,心室不整脈の発生様式・基質の検討,WPW症候群の副伝導路の推定などに応用されている.

臨床電気生理学的検査

著者: 小宮憲洋 ,   早野元信 ,   土居寿志

ページ範囲:P.1491 - P.1497

 臨床電気生理学的検査法とは,体表面心電図記録ならびにヒス束電位図を含む複数の心腔内電位を同時記録しながら心臓の興奮発生や興奮伝播などの電気生理学的な情報を得る方法である.この検査の目的としては各種不整脈の診断,発生機序の解明や発生箇所の決定,徐脈頻脈の誘発,抗不整脈剤の効果判定,ペースメーカーの植え込みの適応決定などが挙げられる.近年盛んに行われるようになってきたカテーテルアブレーションの際にも重要な役割を果たしている.この検査は電気的刺激生成や興奮伝播などの不整脈についての知識を必要とし,設備としてはプログラム刺激装置,多チャンネル電位記録装置,電極カテーテルを必要とされる.

心電図のコンピュータ解析

著者: 岡田正彦

ページ範囲:P.1498 - P.1501

 心電図は,コンピュータ診断の技術が日常臨床で必須のものとなった稀有な例である.心電図波形は信号処理と呼ばれる一連の技術で自動的に計測し診断することができる.特に診断のロジックは膨大な臨床データの蓄積に基づいて作成されてきたもので,これにより極めて精度の高い診断が可能になった.

話題

心電現象のサーカディアンリズム

著者: 大塚邦明 ,   久保豊 ,   品川亮 ,   西村芳子

ページ範囲:P.1502 - P.1510

1.はじめに
 健常人における全ての内分泌機能は,決して不変ではなく24時間を周期として,規則正しい変動を繰り返している.生体の中で最も強固なサーカディアンリズムで,外界の影響を受けてもめったに消失しないリズムとして,メラトニンリズムが知られている.体温のリズムも極めてしっかりしたサーカディアンリズムを示す.
 最近,自律神経機能にも明瞭なサーカディアンリズムが観察されることが実証された.従来から,交感神経機能を表現する血中norepinephrineやepinephrineに,明瞭なサーカディアンリズムが存在することはよく知られていたが,最近になって,心拍変動(heart rate variability;HRV)解析により,心臓副交感神経機能の日内変動が観察できるようになり,副交感神経機能にも明瞭なサーカディアンリズムが存在することが実証された.一方,生体現象の「複雑性」が最近話題になっているが,HRVの時系列にフラクタル性と複雑性が存在すること,そしてそれらにも明瞭なサーカディアンリズムの存在が確認された.すなわち,生体におけるほとんど全ての生理学的現象が,リズム性を持って変動しているようである.

QT間隔の異常

著者: 犀川哲典

ページ範囲:P.1511 - P.1516

1.はじめに
 QT間隔は大変古い心電図指標である.現在のような心電図は1903年に記録されたのが最初であり,QT間隔という名称は心電図の父といわれるEinthovenにより名付けられたが,その概念自体は既に1880年には,存在し,計測され報告されている1).QT間隔は以来100年以上にわたって研究されてきた.当初は主に心臓の収縮と関連した研究がなされ,QT間隔が心拍数に依存することが知られてきた.1920年Bazettは心電図のQT間隔が心拍数に依存して変化することからその補正法を発表した1).以後その方式がその後現在まで使用されている.
 QT間隔は3つのセグメントからなる.すなわち,図1に示すようにQRS部分,ST部分,そしてT波の幅である.一般にQRS部分は心室筋細胞の脱分極を,ST部分は心室筋細胞の活動電位プラトー相を,T波は再分極相を表すといわれている.しかしQT間隔を話題にするときにはQRS間隔は有意に変化していないという前提でQT間隔の評価を行うのが常である.

T wave alternans

著者: 緒方憲一 ,   加藤貴雄

ページ範囲:P.1517 - P.1520

1.はじめに
 心室筋再分極過程の異常は重症心室性不整脈発生の要因の1つと考えられる.体表面心電図T波は心室筋再分極過程を反映するといわれ,体表面心電図によるQT間隔のばらつき(QT disper-sion)も重症心室性不整脈発生の予測因子として報告されている1).しかしT波は心拍数,自律神経などの影響により心拍単位でさまざまに変化しており,心筋内の再分極のばらつきは空間的なもの(spatial dispersion)のみでなく,時間的な変動(temporal dispersion)も認められる.このため心室性不整脈の起こりやすさの指標としてT波の変動を評価する場合には,spatial disper-sionのみでなくtemporal dispersionも考慮に入れるべきである.以前より肉眼的に判別可能なT波の一拍ごとの変動(T wave alternans;TWA)が心室性不整脈の発生前に認められることが指摘されており2),temporal dispersionの指標の1つとして考えられてきた.ところが肉眼的に認められるTWA (macroscopic TWA)は実際の臨床では極めてまれな現象であり,日常診療に広く応用されることはなかった.近年マサチューセッツ工科大学のRJ Cohenらのグループにより肉眼的に判別不能な極微細なレベルのTWA(microscopic TWA)解析法が開発され3,4),その機器を用いて検出されたmicrovolt levelのTWAが心筋梗塞後の患者における心室性不整脈発生と関連があることが示された5.それによれば心室性不整脈発生に対するTWA陽性のsensi-tivityは78%,specificityは89%と侵襲的な心臓電気生理学検査(EPS)の誘発率と差はなく5),加算平均心電図6),QT dispersion5)などのほかの非侵襲的検査のいずれよりも高かったという.このことからmicrovolt level TWAは新たな心室性不整脈発生の非侵襲的指標として注目されてきている.

心房細動

著者: 福井栄一 ,   村川裕二

ページ範囲:P.1521 - P.1524

1.はじめに
 心房細動は心房が440~650/分の頻度で無秩序に興奮し,この無秩序な心房興奮の一部が房室結節を経由して心室に不規則に伝わるため,心室の興奮も不規則となる.心房細動は期外収縮についで頻度の多い不整脈であり,加齢により増加する.健常人の0.2~3.0%1,2)にみられ,65歳以上では5.9%3)と報告されている.背景疾患としては,僧帽弁狭窄症などの僧帽弁疾患,心房中隔欠損症などの先天性心疾患,リウマチ性心疾患,虚血性心疾患,高血圧,甲状腺機能亢進症,呼吸器疾患などが挙げられるが,基礎疾患が明瞭でない,いわゆる特発性心房細動(lone atrial fibrilla-tion)も少なくない.本稿では心房細動の臨床症状・検査・治療について概説する.

不整脈の非薬物療法

著者: 加治良一 ,   植田典浩

ページ範囲:P.1525 - P.1528

1.はじめに
 過去10年間の不整脈治療では,非薬物療法の分野で著しい進歩がみられた.その中でも,頻脈性不整脈に対する高周波カテーテルアブレーション1)と心室頻拍や心室細動に対する植込み型除細動器の導入2)が大きな話題である.この進歩の背景には,従来の薬物療法の限界性が示されてきたことも関与している.この代表的な報告がCAST(The Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)と呼ばれる大規模臨床試験で,心筋梗塞後慢性期の心室性期外収縮に対し抗不整脈を使用したところ,偽薬(placebo)を投与した群よりも生命予後が不良であった,というショッキングな内容である3).非薬物療法には本来手術療法も含まれるが,本稿では高周波カテーテルアブレーションと植込み型除細動器について概説する.

心臓突然死と心電図

著者: 松田直樹

ページ範囲:P.1529 - P.1532

1.はじめに
 突然死の原因として,最も多いのは心臓に由来する突然死である.広く普及したホルター心電図は,突然死の瞬間をとらえることを可能にし,心臓突然死の多くが心室頻拍(VT)または心室細動(VF)によることを明らかにした.また近年,VT/VFの高危険群の同定に,心電図を駆使したさまざまな心電学的アプローチが報告され,心臓突然死の予測における有用性が注目されている.

今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・23

反応性リンパ球増多症

著者: 前田隆浩 ,   栗山一孝 ,   朝長万左男

ページ範囲:P.1442 - P.1443

 反応性リンパ球増多症とは末梢血液中にリンパ球が非腫瘍性に増加する病態を指し,原因としては各種ウイルスなどの感染症のほか,心疾患・自己免疫疾患・慢性炎症・悪性腫瘍などの疾患に併発したもの,臓器移植後の移植片対宿主病(GVHD)に関連したもの,薬剤性,アレルギー性,さらには喫煙・ストレスなど環境に関連したリンパ球増多症など多岐にわたる.
 1例目は発熱を主訴に来院した伝染性単核球症の症例(16歳,男性)を示す.全身の表在リンパ節の腫脹と肝脾腫があり,生化学検査では肝機能異常を認めた.末梢血白血球数は26,800/μ1と増加しており,リンパ球の割合は77%でT細胞がほとんど占め(CD3陽性細胞;95.8%),CD8陽性リンパ球優位であった(CD4/CD8≒0.21).この症例では図1に示すようにさまざまな形態をした異型リンパ球が観察された.Downeyは異型リンパ球を形質細胞様,単球様,芽球様の3型に分類したが,概して正常リンパ球に比し大型で細胞質は好塩基性が強く,ときに空胞を認める.核クロマチンは粗大顆粒状もしくはやや繊細で核小体を認めることもある.

コーヒーブレイク

廃家

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.1489 - P.1489

 廃市という映画があった.一学生が訪れたある地方都市(水都柳川らしい)を舞台にして旧家の廃絶にからむ一夏の追憶を描いた佳作であった.私は昨年一夏どころでなく一生心の故郷として数年に一度は訪れることにしていた古い家が,突然眼前から消え去ってしまったショックを経験した.
 私の生家は福島県のYという小さい町に今でも現存しており,両親が建てた医院で80年たった今,大正建造物として町では夜間ライトアップなどしてくれている.ここへ来る前は先祖代々6里ほど離れたNという平和な部落(現在郡山市に編入)に住み,祖父の前までは漢方医をしていた.墓石には6代迄屋形玄伯という世襲の名が刻まれている.祖父は明治に近くにできた須賀川医学校に入り,はじめて西洋医学を学んだ.有名な後藤新平伯と同期である.

エコノミークラス症候群

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.1516 - P.1516

 先日,朝日新聞の片隅に次のような記事が載っていた.約10時間のヨーロッパ旅行を終え関西空港に降り立った70歳の女性が,突然呼吸困難になり意識を失い,某救命救急センターに入院し肺塞栓症と診断された.幸いにも適切な治療により退院したが,その原因は長時間エコノミークラスの狭い座席に座っていたことにより下肢の静脈血栓が形成され,それが肺に飛んだためと判明した.しかもこの女性は機内の狭いトイレを嫌って,お茶なども飲まなかったという.このように機内の狭い座席に長時間座った結果,急に呼吸困難になる症状は「エコノミークラス症候群」と呼ばれ欧米ではいくつかの報告がみられている.
 このような状態すなわち深部静脈血栓症(deep venous thrombosis;DVT)は一般に下肢静脈にみられ,発病年齢は50~70歳代に多く,高齢者では糖尿病,動脈硬化などいくつかの原因が重複している場合が多い.

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

Methylation-specific PCR(M-PCR)法

著者: 久保田健夫

ページ範囲:P.1533 - P.1539

はじめに
 臨床検査における遺伝子解析の方法として,その簡便性迅速性からPCR法が主流になっている.その際通常のPCR法で検出するものは,塩基置換や欠失などの遺伝子の構造変化である.ここで紹介するMeth-ylation-specific PCR(M-PCR)法は,遺伝子発現に関与するDNA修飾因子の変化を検出する新しいPCR解析法である.
 DNAのメチル化は,ヒトを含む高等な脊椎動物にのみ認められるゲノムDNA修飾因子である.この修飾はシトシン(C)-グアニン(G)となっている二塩基配列(CpG)中のシトシンだけに生じ,その結果シトシンはメチル化シトシン(mC)となる.この修飾によりヒトゲノム上のCpGの60~80%がメチル化されている1).高等動物でDNAがメチル化されている理由の1つは,進化の過程で外来から進入した遺伝子を不活化させるためである.実際ヒトゲノム上で多数認められるAlu反復配列などの外来遺伝子配列は高度にメチル化されている2,3).もう1つの理由は遺伝子発現の調節である.

Application編

多発性内分泌腺腫症1型

著者: 浜口和之 ,   坂田利家

ページ範囲:P.1540 - P.1545

はじめに
 多発性内分泌腺腫症1型(multiple endocrine neo-plasia type 1;MEN 1型)は常染色体優性遺伝を示す遺伝性の内分泌腫瘍疾患である.さまざまな内分泌組織,なかでも副甲状腺,下垂体,それに膵や十二指腸の消化管内分泌腺組織などに腺腫ないし過形成の形で多発性に発生する.
 Wermerらは副甲状腺と膵ランゲルハンス島に多発性に発生する腫瘍が遺伝性であることを1954年に発表した1).これがMEN1型に関する最初の報告例である.その後1961年には,遺伝性の甲状腺髄様癌と褐色細胞腫の合併例がSippleらによって報告され(Sipple症候群),これをMEN1型と区別して,多発性内分泌腺腫症2型(MEN2型)と呼ばれるようになった.MEN2型の病因は,第10番染色体(10qll.2)にあるRETプロトオンコジーンの点突然変異によることが1993年に確認された.1997年には,MEN1型の原因遺伝子がポジショナルクローニングによって明らかにされ,以来MEN1遺伝子の解析が相次いで報告されている.本稿では,MEN1型の遺伝子診断に関する最近の知見を紹介したい.

トピックス

組換えCRP(rCRP)の生産と臨床検査への応用

著者: 松尾雄志 ,   新井秀夫

ページ範囲:P.1547 - P.1549

1.組換え蛋白質の意味
 ヒト酵素/蛋白について"天然型vs組換え型"の対比は臨床検査分野で重要な意味合いがある.遺伝子組換え技術を駆使すれば,ヒトに起因するさまざまな問題が解決し,儲かるという発想は大変説得力があるように聞こえる.酵素のように,両者の差異を比較的討議しやすい物質はさておき,抗原蛋白の場合はいくつか困難が予想される.封入体ではなく人然型と同様の高次構造のものが大量安定生産できるか?生産できても抗体として評価したときに,天然型と差のないものができるか?
 免疫測定には抗体が認識するエピトープによっては酵素活性測定とは異質の種々の可能性があるが,同時に抗原ならびに抗体の質によって新たな問題を提起することにもなる.これまでにデータが集積されている検査項目の抗原を組換え蛋白に置き換えようとする場合は,集積データと異質の結果は"オモシロイ"けれども,臨床検査の現場では混乱を招くだけであり,結局儲からない.血清CRPの免疫測定も正しくそのとおりであるが,組換えCRP(rCRP;recombinant C-reactive protein)の場合,幸運にも問題は少ないように思われる.

質疑応答 その他

CD-ROMからDVDへ

著者: 鹿島哲 ,   AB生

ページ範囲:P.1550 - P.1552

 Q 多くのパソコンがCD-ROMドライブを内蔵するようになってきたので,容量650MBのCD-ROMの利用が便利になりました.しかし,近年その容量でも不十分になってきたので,DVDが使われ始めました.そのDVDと利用法についてお教えください.

学会だより 第17回 国際臨床化学会議(lCCC)

イタリア・フィレンツェ(フローレンス)で開催された第17回lCCC会議

著者: 戸谷誠之 ,   渡辺一之

ページ範囲:P.1554 - P.1557

2002年京都での会議に向け決意あらたに
 第17回国際臨床化学会議は1999年6月6日から11日までイタリアの歴史的都市フィレンツェ(フローレンス)で開催された.この街にふさわしい,中世の趣が浴れるバッソ要塞をリフォームした学会場には世界の94か国から7,400名余(組織委員会調べ)の参加者が集った.
 このように今回の参加者が多い理由には,同時に,第13回欧州臨床化学会議や第31回イタリア臨床化学会年会,第1回臨床分子生物学会など複数の学会を併催した形式を持ったこと,開催地の地理的な便利さに加えて,15世紀のルネッサンス文化発祥の地と言つた歴史や芸術などにも魅力上的な都市であったことに加えて会期中は真夏日を感じさせる好天気に恵まれたことなど,複合的な要因があった.ところで,わが国からの参加者は,正確な人数は不明であるが,夫人や,家族同伴者も多く,延べで200名を超える数字がささやかれていた.これは近隣ヨーロッパ各国からの数字をはるかにしのぐ値であった.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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