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雑誌目次

論文

臨床検査44巻1号

2000年01月発行

雑誌目次

今月の主題 質量分析―新しい臨床検査への展開 巻頭言

質量分析―新しい臨床検査への展開

著者: 片山善章

ページ範囲:P.7 - P.8

 私は2つのことから質量分析法(装置)のことを具体的に知った.
 その1つは,20年ほど前にNIST(当時はNBS)の標準血清(Serum Refer-ence Materials;SRM909)の各成分の表示値の測定法はID-MS (同位体希釈質量分析法)と記載されることで知ったように思う.そのときのID-MSの印象は,かなり難かしい方法であり,「何処でも,誰でも,何時でも,簡単に測定できる分析技術ではない」ということであった.いわゆる分子量が測定できることから(臨床)分析化学においては基準分析法(difinitive method)に位置づけられており,日本においては数か所のみしか実施できなかったと記憶している.ID-MSのことについては,本文「標準化におけるMS」で述べられている.

総論・LC (GC,MS)-MSの基礎

質量分析装置・その原理と構造

著者: 辻哲 ,   片山善章

ページ範囲:P.9 - P.16

 質量分析装置(MS)の構造と原理について,二重収束磁場型,四重極型および飛行時間型の三種類の装置を取り上げて解説した.それぞれの型にはさまざまなイオン化法との組み合わせが存在するが,二重収束磁場型では代表的なソフトイオン化法の1つである高速粒子衝突イオン化法を例示した.飛行時間型では,現在この型に最適な方法と考えられているマトリックス支援レーザー脱離イオン化法を紹介した.クロマトグラフィーとMSの結合では,インターフェイスの構造とそれに組み合わされるイオン化法について紹介した.ガスクロマトグラフィー/MSでは古い歴史を持つ電子イオン化法を,高速液体クロマトグラフィー/MSでは特にこの目的のために開発された方法の1つであるエレクトロスプレーイオン化法を取り上げた.最後に,四重極型質量分離部を直列に二基つないだ装置を例にしてMS/MSの手法を簡単に紹介した.

臨床化学におけるLC-MS

著者: 池川繁男 ,   後藤順一

ページ範囲:P.17 - P.26

 今日,バイオメディカル領域において質量分析法(MS)の果たす役割は極めて大きなものがあり,卓越した分離能を持つガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー(LC)とMSを組み合わせたハイファネーテッドMSが広く利用されている.とりわけ,LC/MSは,エレクトロスプレーイオン化,大気圧化学イオン化,ブリット―FAB,サーモスプレーイオン化およびパーティクルビームなど各種インターフェースの開発によってその応用範囲が飛躍的に拡大し,難揮発性,水溶性極性化合物の測定に威力を発揮しており,蛋白質,核酸などの高分子のみならず低分子のステロイドホルモン,薬物などの構造解析,定性,定量に幅広く適用されている.本稿では,低分子生理活性物質として胆汁酸サルフェートおよびグルクロニドを取り上げ,本研究室のこれまでの成果を中心にそれらの高感度分析について紹介する.

MSの臨床への応用

著者: 松本勇 ,   張春花

ページ範囲:P.27 - P.35

 血液より多くの生体成分を含み生体情報が豊富な尿のGC/MS分析の障害となる尿素をウレアーゼ処理して除き,アミノ酸,有機酸,糖,糖アルコール,核酸塩基,ヌクレオシドを一斉分析して100以上の疾患を化学診断する検査法と糖,糖アルコールの一斉分析で糖尿病,耐糖能異常,妊娠糖尿病の早期,精密検査する方法を紹介した.その他腎疾患,老化,パーキンソン氏病や痴呆症の早期検診についての研究が進められており,GC/MSの臨床応用が関連の研究者の努力によりますます拡大している.

各論・LC (GC,MS)-MSの応用

質量分析によるトランスサイレチンアミロイドーシスの病態解明

著者: 岸川匡彦 ,   清水章

ページ範囲:P.37 - P.45

 トランスサイレチンは血清蛋白であり,これまでに多種類の遺伝的変異が見いだされており,その多くはアミロイドーシスの原因となる.正常のアミノ酸配列のトランスサイレチンも老人性アミロイドーシスを起こすことが知られている.われわれは質量分析によって,変異トランスサイレチンを検出・同定し,また,さまざまな修飾構造を同定した.さらに,構造の変化とアミロイド形成の関連について取り組み,重要な知見を得つつある.

マススペクトロメトリーによる薬物動態解析―臨床薬理への応用

著者: 橋本豊

ページ範囲:P.47 - P.56

 薬物動態研究におけるマススペクトロメトリーの役割は,これなくしては語れないほど大きな位置を占めている.薬理活性物質のように微量投与で薬効を発現するものの血中動態解析には今や必須の分析手段である.ここではマススペクトロメトリーによる微量分析の確立方法と,これを駆使して血中濃度と薬効との相関をみる,いわゆる臨床薬理の例を幾つか述べる.また,代謝研究におけるMS/MS法の利用の仕方や,新しいイオン化方法のMSを使った薬物と蛋白質との複合体の解析についても述べる.

有機酸の代謝異常

著者: 久原とみ子

ページ範囲:P.57 - P.67

 有機酸代謝異常症はDNAの異常が原因で,代謝を司る酵素の構造変化や酵素産生量の低下,あるいは補酵素の供給に支障をきたし,酵素反応が著しく障害される結果起こる疾患である.患者尿に顕著に増加する有機酸,アミノ酸,糖アルコールなどの障害された反応の基質や基質の副産物を安定同位体希釈法・簡易ウレアーゼ法・キャピラリーGC/MS法により分析し,障害された反応,したがって,酵素を,次いで,その構造遺伝子の異常を予測し,病名を化学診断できる.プロピオン酸血症,メチルマロン酸血症,フェニルケトン尿症,メープルシロップ尿症など早期に診断し早期に治療開始することが心身障害発症予防に必須である.尿の簡易ウレアーゼ法による新生児スクリーニング試験研究も行われている.

話題

ダイオキシン分析

著者: 野嶋一哲

ページ範囲:P.69 - P.73

1.はじめに
 ダイオキシン類の中で2,3,7,8―テトラクロロジベンゾ―ρ―ジオキシン(2,3,7,8―TCDD)は人類が作り出した化学物質の中で最強の毒性を持った化合物で,マウスにおける急性毒性LD 50(μg/kg)は283.71)である.一般的にダイオキシンと呼ばれているものはポリクロロジベンゾ―ρ―ジオキシン(PCDDs)とポリクロロジベンゾフラン(PCDFs)を含めた化合物を総称して用いられ,これらをダイオキシン類と称している.ポリクロロジベンゾ―ρ―ジオキシン(PCDDs)は75種類,ポリクロロジベンゾフラン(PCDFs)は135種類の異性体を有している.これら化合物の構造式を図1に示した.この中で分析対象となっているものは,4塩素体から8塩素体の136異性体に対して行われる.また最近では,ダイオキシン類に加えて共平面構造を有するコプラナーポリクロロビフェニール(Co-PCBs)でオルト位に塩素が配位していないもの,1つあるいは2つ配位している化合物のうち,14種の分析も同時に求められている.
 ダイオキシン類は当初農薬の副産物として生成され問題となった,これに加えごみの焼却に伴い生成され環境汚染が問題視されるに至り,ごみ焼却場を多く抱えるわが国においては急激に関心が高まるとともに,危険回避のための焼却場排ガスならびに焼却灰中のダイオキシン類分析の要求が急増してきている.こうした環境汚染がもととなり,食物連鎖の結末として人体にこれら有害物質が蓄積されることとなる.さる1999年7月12日には"ダイオキシンの排出削減を目指すダイオキシン類対策特別措置法"が衆議院本会議にて可決,成立した.

ESIMSによるHbA1c真値測定

著者: 中西豊文

ページ範囲:P.75 - P.78

1.はじめに
 糖化ヘモグロビン(HbA1c)は糖尿病診断,合併症の発現防止および中期血糖管理の指標物質として重要である.Diabetes Control & Complica-tions Trial (米国,1993年),厚生省糖尿病調査研究(1995年)の中で,HbA1cの具体的なコントロール目標値(7%)が掲げられ,その臨床的意義が高まるにつれて測定値の精度管理の重要性が増している.
 HbA1c測定は,高速液体クロマト法(HPLC)が大半を占めているが,測定法の正確性に問題があり,そのうえ,溶血性貧血,肝障害,腎障害,異常Hb症などを合併している症例では,測定値が血糖値を反映しない.また,ラテックス免疫凝集/凝集阻止法やアフィニティ法など測定原理の異なる測定法が,日常法に取り入れられ,さらに測定法の標準化,精度管理の難しさを増幅している.そこで現在,日本糖尿病学会,臨床化学会が中心になって標準的測定法の確立,HbA1c標品の作成など種々の精度管理が試みられている.国外では,1997年,Koboldら1) IFCCのHbA1c標準化委員会の作業グループは,正常β鎖N末端Valにグルコース1分子が結合した真のHbA1c成分(糖化ヘキサペプチド:Hex)を測定する方法として,Glu-C (グルタミン酸C末端切断)消化/エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESIMS)法を提唱し,この方法がdefinitivemethodとなるだろうと結論付けている.このように,限りなく真値に近い値を算出し得る標準的HbA1c測定法の確立に向けて世界的レベルでの作業が進められている.

標準化におけるMS―標準化しようとするときの利用法

著者: 梅本雅夫

ページ範囲:P.79 - P.82

1.質量分析法
 以下ではまず,標準化に関連づけられた質量分析法の原理を無機元素と有機成分に分けて説明する.

質量分析を用いた遺伝子診断の新しい展開

著者: 武田直仁

ページ範囲:P.83 - P.88

1.はじめに
 病因として遺伝子の変異が確認されている遺伝性疾患は急速に増えつつある.ここ数年のうちにはヒトを含む多くの生物でゲノムDNAの全塩基配列が決定されると予測されている.このゲノム解析から得られる遺伝情報をいかに臨床診断に取り込めるかは,重要な中心課題の1つである.最終的には約十万種類といわれるヒトの遺伝子の全塩基配列から,癌遺伝子や癌抑制遺伝子の同定や遺伝性疾患の原因遺伝子を同定するには,高感度かつ低コストでハイスピード・ハイスループットが可能な新しい手法の確立が要求されている.遺伝子診断の進展の鍵となる新技術としてジーンチップ(マイクロアレイ)と質量分析(MS)またはこれらを統合した手法が有望視されている1~5)
 本稿では遺伝子診断の進展に今後,MSがいかに利用できるかについてできるだけ最新の報告から紹介する.

今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・1

回虫

著者: 藤田紘一郎

ページ範囲:P.4 - P.5

 回虫Ascaris lumbricoidesは人類の有史以来知られ,中国では,黄帝の時代(3,700B.C.),ヨーロッパではヒポクラテスの時代(460B.C.)の記録が残っている.わが国でも昔から回虫のことを"はらのむし"などといい,人と回虫の間には深いかかわりがある.
 回虫はミミズ様の淡紅色の線虫である(図1).lumbricoidesはミミズ様のという意味である.英語では,roundwormと呼ばれている.成虫は雌約30cm,雄約20cmで体幅は4~5mmである.雄の尾端部は腹側に曲がり細長い交接刺を有しているので肉眼でも雌雄の鑑別はできる(図2).頭部には3個の口唇を有し,表面には感覚乳頭を持っている(図3).虫卵には受精卵と不受精卵があり(図4),雌の単独寄生の場合は不受精卵が検出される.

コーヒーブレイク

三枚の絵

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.35 - P.35

 特に絵画や写真に通じているわけでもなく自分で創作するわけでもないが,居間やオフィスに掲げていると落ち着くし,時間の流れや未来の夢も感ずることが多い.
 その1枚は10号あまりの複製画であるが,もとは新潟市出身の洋画家安宅安五郎の「砂丘に立つ子供」というもので,大正9年の第2回帝展で特選を受賞した100号の大作である.原画は当時開校したばかりの旧制新潟高校に寄贈された.坂口安吾が「故郷は語ることなし」と愛した新潟砂丘をバックに,ねんねこにくるんだ赤銅色の赤子を背負った少女が一人垂れこめたにび色の雲の下に立っている.太平洋戦争下に高校時代を送った私達はもちろん,戦後大学移管まで長い間学生は講堂でこの絵に見入っていたものである.

シックハウス症候群

著者: 寺田秀夫

ページ範囲:P.68 - P.68

 ここ2~3年わが家の近くで,相次いで新築マンションや一戸建て住宅の建築が繰り返され,その騒音,工事関係車両の駐車による交通障害で,多少困惑しているこのごろである.道端の電柱には新築家屋の見学や売り出しの広告が,目に入らない日はない.そして昔と違って新建材を用いるためか,短期間のうちに完成し,新しい家族が何時の間にか住んでいる.こんなに沢山の新築住宅やマンションが本当に快適な住居なのであろうか?,いつも疑問に思っている.そのわけは,ここ1~2年わが国でも漸く室内空気汚染の一つとしての化学物質過敏症とも見なされるシックハウス症候群(sick house syndrome;SHS)がしばしばマスコミの話題となり,自分もそのような患者さんをときに経験しているからである.
 シックハウス症候群は1973~1974年のオイルショックによるエネルギー危機を契機として,北米,英国,北欧を中心として,特定の居住環境に限って,気道症状,皮膚・粘膜症状,中枢神経症状など,多彩な身体症状を訴える者が急増し,シックビルディングシンドローム(sick buildingsyndrome;SBS)とも呼ばれ注目を浴びるに至った.特に1977年以降,省エネルギーが建築設計上①室内気換気の削減と②空調,加湿システムの設置を定着させてきたため,換気の削減は室内気に含まれる汚染物質の増加をもたらし,また空調設備は汚染の拡大をもたらす結果となった.さらに相次いで登場する一般住宅での新建材による化学物質は個人により多彩な化学物質過敏症を引き起こしている.

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

特異的mRNAの検出法―デイファレンシャルデイスプレイ,SAGE

著者: 高野徹 ,   網野信行

ページ範囲:P.89 - P.94

はじめに―癌の遺伝子診断,治療法への最初のステップとしての癌特異的mRNAの検出
 癌の遺伝子診断,遺伝子治療が提唱されて長い年月が経過したが,少なくとも日常診療においては初期に考えられたような劇的な進歩は見られていない.そろそろこれらの研究に携わっている者たちは客観的に何が障害になっているか検討する時期にきている.従来の癌の病理学的な検討,あるいは化学療法などに欠けていたのは客観的な癌細胞選択性である.病理診断では経験を積んだ偉い先生が癌だと言えば癌になり,化学療法も増殖している細胞なら程度の差はあれ殺してしまう.このような曖昧さをなくし,癌細胞のみを検出するのを目標にしたのが癌の遺伝子診断であり,癌細胞のみを特異的に攻撃することを目標としたのが癌の遺伝子治療のはずであった.このような系を確立するのに最も必要な情報は"なにが癌でなにが癌でないか?"ということである.それがないといかに優秀な技術があろうと癌細胞を選択的に検出したり殺したりすることは不可能である.しかし,実際の癌細胞で癌かどうか客観的な判断基準があるものは少ない.
 癌と正常細胞,あるいは良性腫瘍細胞との間に生物学的に明らかな差があるとすると,当然細胞に発現している機能蛋白に恒常的な差があるはずである.しかし,蛋白質を解析するのは困難でありむしろその前駆体であるmRNAのほうが解析しやすい.このように考えると,[癌細胞に特異的なmRNAを検出する→それをターゲットにした遺伝子診断法,治療法を開発する],という図式が見えてくる.そのように目標を定めると,次に問題となるのは,"いかにして癌細胞に特異的に発現するmRNAを検出するか"ということである.PCRの開発で非常に少量の検体からmRNAの解析をすることが可能となり,特異的mRNAの検出法として,1992年にdifferential display(DD)1)が,1995年にserial analysis of gene expression(SAGE)2)が相次いで開発された.以下にこの2つの方法の概略を解説する.

用語解説編

用語解説・1

著者: 舩渡忠男 ,   阿部美有樹

ページ範囲:P.95 - P.101

組換えDNA技術
 組換えDNA技術は,DNAを扱う多くの手法が統合され,遺伝子を単離し,増幅させ,遺伝子産物の機能解析を可能とする遺伝子工学の強力な手段である.すなわち,この技術の基本は,細胞内染色体を切断して特定部位での末端を持つDNA分子にする技法と,得られたDNA断片を分離して塩基配列を決定する技法である(図1).前者においては,細菌由来の制限酵素によるDNA特定部位での切断により,種々の遺伝子の操作,特にDNA切断部位同士の結合が容易となった.後者では,任意のDNAの塩基配列を決定できるようになった(シークエンス法).さらに,組換えDNA技術は特定の塩基配列を核酸ハイブリッド形成反応により,細胞内,染色体,DNAである核酸プローブと相同性を持っDNA断片を迅速に検索しうる手法により展開した.したがって,遺伝子解析におけるこれら一連の技術はあらゆる生物現象の解明に有力な手段であり,今日遺伝子を扱うあらゆる研究室での基本的技術として用いられている.最近では,細胞の染色体に遺伝子の一部を組み込むことが受精卵や植物などで可能となり,トランスジェニックマウス,遺伝子組換え食品,医薬品(ワクチンなど)などに利用され応用範囲が広がっている.

トピックス

オートファジー

著者: 大隅良典

ページ範囲:P.102 - P.104

 従来の分子生物学の研究は,遺伝子の発現制御,蛋白質の生合成の研究に集中してきた.確かにわれわれの体の中では何千何万という種類の蛋白質が巧妙に制御されながら合成されている.しかし合成されただけ分解されていることは忘れられがちである.つまり生体は絶え間ない合成と分解とのバランスの上に成り立っている.最近にわかに蛋白質の分解の研究が注目されるようになった.蛋白質の分解は従来,消極的な意味しか持たないと思われていたが,実は生体の制御機構として積極的で重要な役割を担っていることが明らかにされつつある.不可逆的な発生や分化の制御機構として,分解はむしろ適しているのかも知れない.
 蛋白質はそれぞれに固有の寿命を持っている.合成されると数分で壊されるものから,数十日も機能する分子までさまざまである.蛋白質の寿命が何によって決まっているかについてはいまだ謎である.蛋白質の寿命もまた遺伝子の中に書き込まれているに違いない.N末端の1アミノ酸が蛋白質の寿命を左右するといういわゆるN末端則は魅力的な仮説として登場したが,これで説明される部分はわずかで,依然として全容は明らかではない.

質疑応答 資格・制度

遺伝相談の現状

著者: 小野正恵 ,   N生

ページ範囲:P.105 - P.106

 Q 遺伝子検査の進歩とともに遺伝相談を希望する患者・家族が増えています.遺伝相談をする専門家の資格・研修体制はどのようになっているのでしょうか.また,遺伝相談の大切なポイント・その必要性についてお教え下さい.

研究

新たに開発されたPregnancy Associated Plasma Protein-A Immunoradiometric Assay Kitの基礎的検討およびその臨床応用

著者: 鈴木良知 ,   井坂恵一 ,   高山雅臣

ページ範囲:P.107 - P.111

 Pregnancy associated plasma protein A(PAPP-A)は母体血漿中より分離抽出された妊娠関連糖蛋白質であるが,近年妊娠初期における21トリソミースクリーニングマーカーとして注目を集めるようになった.このPAPP-Aに対する新しいImmunoradiometric Assay KitがOrtho-Clinical Diagnostic社で開発,市販された.今回の研究でこの測定系の感度は非常に鋭敏で,特異性,再現性に優れていることが明らかとなった.また妊婦血清中PAPP-A濃度は妊娠週数とともに上昇し妊娠39週には831.5±386.2mg/1とピークに達した.今後血清中PAPP-A濃度測定が異常妊娠におけるスクリーニングとして臨床応用されることが期待された.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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