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雑誌目次

論文

臨床検査45巻10号

2001年10月発行

雑誌目次

今月の主題 ビタミン 巻頭言

ビタミンと臨床検査

著者: 橋詰直孝

ページ範囲:P.1047 - P.1048

 わが国では1925年(大正15年)にビタミンB1欠乏症の一つである脚気で約3万人が死亡している.当時,結核と並んで2大国民病として恐れられていた.一方,ヨーロッパでは15世紀末から18世紀にかけて遠洋航海が盛んになり,ビタミンC欠乏症である壊血病が猛威をふるい,航海に出た船員の3分の2を壊血病で失ったと伝えられている.人類の歴史のなかで,ビタミン欠乏症との闘いは壮絶なものであった.
 20世紀になってから,ビタミンというものの存在が認められ,ここ50年間の生化学および薬理学的研究の急速な発展によりビタミンの単離・構造の決定そして合成がなされ,今やビタミン欠乏症は過去の疾患となったと考えられるようになった.しかし,世界では約7億の民が栄養失調で苦しんでおり,そのなかに多くのビタミン欠乏症も存在している.わが国においてもビタミン欠乏症は散見する.医師がビタミン欠乏症は過去の疾患と思い込んでおり,誤診し,なかには死に至り訴訟問題にまで至ることもある.この問題を解決するためには歴史を知ることである.そこで上原万里子先生に「ビタミンの歴史」をお願いした.

総説

ビタミンの歴史

著者: 上原万里子

ページ範囲:P.1049 - P.1058

 欠乏症なくしてビタミンの歴史は語れない.今日のビタミン研究の発展はその欠乏症に倒れた人々,欠乏症と闘った研究者の犠牲と努力の上に成り立っている.現在の日本はむしろ栄養素摂取過多を心配する時代となったが,過去のものと考えられた欠乏症が再燃する場合もあり,世界的にはいまだビタミン欠乏が日常のものである地域も存在する.本稿では,著名なビタミン欠乏の歴史を紹介しながら,現在までのビタミン研究発展の歴史も概説する.

ビタミンサプリメント

著者: 斎藤衛郎

ページ範囲:P.1060 - P.1070

 ビタミンサプリメントの摂取にあたっては常に食事を第一に考え,サプリメントの利用は,あくまでも食事から摂取できない場合,できにくい場合の補給・補完とすることを前提に考えたい.そのうえで,各ビタミンの薬理的効果を求める場合は,常に過剰摂取とならないように注意するとともに,食事全体のなかでの各ビタミンのバランスが大きく崩れないような配慮が必要である.栄養所要量や栄養機能食品で示されている摂取安全域内での摂取に配慮したい.唯一食事から十分量摂取しにくいビタミンとして葉酸があるが,ほかにもいくつかのビタミンは食事から摂取しにくいものがある.これらにあっては,サプリメントを効果的に利用できる.サプリメントを適切に摂取することにより,通常の食生活を大きく変えることなく食生活の改善,健康の保持・増進,生活の質(QOL)の向上に役立つ.

抗酸化ビタミン

著者: 吉川敏一 ,   一石英一郎

ページ範囲:P.1071 - P.1075

生活習慣病の栄養学的アプローチは,疾病予防や老化防止への重要な方策の一つであり,医療費の削減を含め,これからの医療において大いに発展が期待される.「オーダーメイド疾病予防」として,これから生活習慣病に対する抗酸化ビタミンの重要性がますます高まってくることが考えられる.また最近,抗酸化ビタミンに遺伝子レベルにて多彩な機能を持ちうる可能性が示唆されてきており,今後の動向が興味深い.

技術解説

ビタミンAの測定

著者: 伊藤信吾 ,   工藤諭 ,   三田一男

ページ範囲:P.1077 - P.1082

 血清および血漿中のビタミンA (レチノール)を測定するには,近年ではHPLCを用いるのが一般的である.測定手順としては,血清または血漿に精製水とエタノールを加え,n―ヘキサンで抽出する.n―ヘキサンを乾固後エタノールに溶解しHPLCに注入する.HPLCではODSカラムを用いた逆相クロマトグラフィーで分離し,蛍光検出器で定量する.再現性,回収率,測定感度などにおいて,血清および血漿中のビタミンAの測定に十分な結果が得られる.

血漿中ビタミンEの測定

著者: 玉井浩

ページ範囲:P.1083 - P.1087

 電気化学検出器を装着した高速液体クロマトグラフィーを用いて,血漿中ビタミンEの測定法を解説した.近年,ビタミンE同族体や代謝物に注目が集まり,血中・尿中濃度の測定法も確立されつつある.肥満児では血中脂質・高度不飽和脂肪酸あたりのビタミンE量はコントロールに比較すると低値を示し,低出生体重児では赤血球膜中不飽和脂肪酸あたりのビタミンE量で考えると成人に比較し低値を示した.

ビタミンB1の測定

著者: 石渡幸久

ページ範囲:P.1088 - P.1092

 ビタミンB1欠乏症または潜在性欠乏症の診断には,血液中のビタミンB1濃度を測定することが指標性が高いと考えられている.
 現在,検査センターや研究機関において血液中ビタミンB1の測定法は,専ら蛍光検出HPLCによる方法が主流を占めている.蛍光検出HPLC法には分離モードの違い,ポスト・プレカラム法など,多種の方法があり,方法によって移動相・カラムなど条件が異なる.
本稿では主に蛍光検出HPLC法について,それぞれの方法,HPLC条件設定などを示し,測定法の利点や欠点について述べる.また,血中濃度のほか,尿や食品中のビタミンB1測定方法についても分析例を示した.

葉酸の測定

著者: 横溝勉 ,   吉田雅之 ,   金子和成

ページ範囲:P.1093 - P.1097

 葉酸は,ビタミンB複合体の1つで,葉酸不足が巨赤芽球性貧血の原因の1つであることから抗貧血ビタミンともいわれ,臨床的には主にその欠乏症に関心が向けられていた.ところが近年,新生児における神経管障害や動脈硬化性疾患との関係が明らかになり,それら疾患に対する予防因子としても注目されるようになった.また測定法については,バィオアッセイから牛乳由来の葉酸結合蛋白を用いた競合的蛋白結合測定法(CPBA)へ,またradioisotopic assayからnon-radioisotopic assayへ,さらに用手法から全自動アッセイシステムへと開発が進められている.

ビタミンB12の測定

著者: 佐伯ひろみ

ページ範囲:P.1098 - P.1102

 ビタミンB12の測定について,ビタミンB12の性状,生体内での役割から臨床検査として測定する意義についてまとめる.ビタミンB12は食事を通して体内に摂取されるが,体内での機能は生命の基本ともいえる核酸合成に関与していて,その欠乏症は貧血となって現れる.今日の臨床検査においてビタミンB12を測定するのに相応しいと考えられる,化学発光法による測定法を紹介する.

ビタミンCの測定

著者: 渭原博 ,   橋詰直孝 ,   平野亜輝子 ,   岡田光正

ページ範囲:P.1104 - P.1111

 ビタミンC欠乏の診断には,分解しやすいアスコルビン酸よりも,安定な総アスコルビン酸測定を薦める.血清(血漿)総アスコルビン酸の基準下限値は0.7mg/dlである.検査室で実施できる測定法には,ヒドラジン法,アスコルビン酸オキシダーゼ法,過酸化水素産生型アスコルビン酸オキシダーゼ法,化学的酸化法,紫外部検出HPLC法があり,総アスコルビン酸として0.2~0.7mg/dl濃度での精度が保証されなければならない.

話題

レチノイドによる分化誘導と癌治療

著者: 舛重正一

ページ範囲:P.1113 - P.1116

1.はじめに
 ビタミンA (以下A)は1913年,米国のT.B.Osborne,L.B.Mendelならびに,M.DavisとEV.McCollumらにより,バター脂,卵黄脂,肝油中のネズミの成長に必須な栄養因子として発見された.以来,Aの化学と代謝,生理作用に関する膨大な研究成果が集積されている.主として,A欠乏動物によりAの生理作用は成長,視覚,生殖,皮膚・粘膜上皮の正常維持,糖蛋白質・糖脂質生合成など多彩なことが示された.その後,細胞分化,発生,形態形成,抗癌作用が加えられた.しかし,作用の分子メカニズムは視覚に関するものを除き長く不明であった.ところが,分子生物学の勃興と遺伝子工学技術の進歩は,Aの機能解明でも新局面を開いた.なかでも燦然と輝く秀峰は,1987年フランスのP.Chambonと米国R.Evansによる全―トランス―レチノイン酸(ATRA)をリガンドとする核内受容体(RAR)の発見である.彼らは同時独立にクローニングに成功し「Nature」の同じ号に発表した.これによりAはホルモンの範疇に入れられ,情報伝達分子としての属性が付与された.以来,核内受容体を中心にAの生理作用の分子機構研究が進められるようになった.

葉酸代謝と動脈硬化症

著者: 渡辺敏明 ,   大川恵子

ページ範囲:P.1117 - P.1122

1.はじめに
 最近,高ホモシステイン血症と脳血管障害や心疾患との関連性について急速に関心がもたれてきている.1990年ごろから,軽度もしくは中程度の高ホモシステイン血症が,脳血管疾患や心疾患などの心血管疾患のリスクファクターとして注目されている.これまでに,血漿ホモシスティン濃度の上昇には,葉酸,ビタミンB12やビタミンB6などのビタミンが関与しているが,葉酸が最も強く関連していることが明らかにされている.また,葉酸を含む総合ビタミン剤服用者では,動脈硬化性血管疾患の発症が少ないことも報告されている.そこで,本稿では,葉酸代謝,特にホモシステインが動脈硬化症とどのように関連しているのかを解説する.

今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・22

ツツガムシ

著者: 藤田紘一郎

ページ範囲:P.1044 - P.1045

 ツツガムシはダニ目ツツガムシ科に属し,日本では約110種が知られている.ツツガムシの生活史は卵,幼虫,若虫,成虫の4期からなり,若虫と成虫は土中で補食性の自由生活を過ごしている.幼虫(体長0.3~0.5mm)は寄生性で,野ネズミ類を宿主としてその組織液を吸う.通常は野ネズミとツツガムシとの間でサイクルが回っている.今,地球の温暖化に伴ってつつが虫病が増加している(図1).病原体はリケッチャ(orientiatsutsugamushi)である.リケッチャ媒介はツツガムシのある集団が体内にリケッチャを共有しており,成虫→卵→幼虫→若虫→成虫と,野ネズミに関係なく経期・経卵感染によって垂直継代されている(有毒家系のツツガムシ).野ネズミやヒトには,幼虫が組織液を吸うときに唾液とともにリケッチャが注入されて感染する.リケッチャのタイプにはKato型,Karp型,Gilliam型,Kawasaki型,Kuroki型などがあり,ツツガムシの種によって保有するリケッチャのタイプが異なっている.アカツツガムシによる媒介リケッチャはKato型である.
 多くの場合,刺咬後1~2週間くらいで突然発症し,頭痛,発熱,関節痛があり,所属リンパ節が腫脹する.やがて,躯幹や四肢に米粒大の紅い発疹が現れる(図2).中心の刺咬部(刺し口)は紅色丘疹から潰瘍となり,特有の痂皮となる.テトラサイクリン系抗菌剤が有効である.

コーヒーブレイク

家のうちそと

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.1111 - P.1111

 今住んでいる信濃川沿いのマンションは周囲の眺望が絶佳で気に入っているが,10年もたつとあちこち気に入らない部分も出てきた.そこに春から孫娘が私の母校の大学に入り同居することになったので,思いきって5月に改装にとりかかった.冬の骨折のリハビリ中に考えていた風呂の取り換えを主として,あちこち手を入れると1カ月近くかかるという.職人達の仕事を見ていると検査技師の性能によく似ていて,めいめいの技術にも感心するが,チームワークが大切である.親方もいちいち文句を言ったりしないが,要所を黙って見ていて,必要なら自分でやって見せて納得させるやり口である.
 毎日見ていても飽きないが,騒音も多く足の踏み場もなくなってきたので,家内と思いきって旅に出ることにした.まず岐阜の娘一家の所に寄って街のあちこちを見物したが,新潟に比べると古い城下町の静けさが好ましかった.信長の楽市,楽座の跡になっている長旗円徳寺などに詣で,流行歌に名高い梁ヶ瀬へ行くと昔の歓楽街の風情は薄かった.しかしその附近にある小路に入ると,ヨーロッパの街に入りこんだ錯覚を起こす一画があったが,あまり知られていないのか人も少なくいい雰囲気であった.

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・10

紫外線の白血球に及ぼす効果

著者: 東寛 ,   池田久實

ページ範囲:P.1125 - P.1132

はじめに
 紫外線の生物学的作用には種々のものがある.太陽光に含まれる紫外線による日焼けの誘導,遅延型過敏反応や接触性過敏反応の抑制,ケラチノサイトからのIL 10やIL 6の誘導などがその効果として比較的よく知られている.また紫外線により細胞死も誘導される.これらの作用が引き起こされる機序としては,紫外線のエネルギーがNADHやトリプトファンなどの細胞内光増感物質に吸収され,その結果生成される活性酸素やフリーラジカルの関与,DNA損傷とそれに伴う種々の蛋白(例えばp53)の誘導,膜表面あるいはその直下に存在するstress-activated proteinkinase (SAPキナーゼ)カスケードなどの活性化,膜表面に表出されている分子の発現量の変化,あるいは,それらの分子のリガンド非依存性の重合現象1),などが論じられている.以下に,これらのいくつかについて簡単に述べるとともに,われわれの研究室で得られた,紫外線(UVB)のリンパ球,マクロファージ,造血幹細胞に与える影響に関する実験結果,ならびにT細胞株を用いてUVB照射による細胞死の機序を解析した結果を紹介する.

トピックス

緑膿菌とQuorum-sensing

著者: 舘田一博

ページ範囲:P.1133 - P.1135

1.Quorum-sensingとは
 自然界において,微生物は様々な環境のもとで存在しなければならない.栄養源の乏しい環境,低・高温,激しいpHの変化はもちろんのこと,生体内においては貪食細胞,あるいは抗菌性液性因子(補体,抗体,リゾチームなど)が存在する環境での生存を余儀なくされる.このような状況のなかで,細菌は自らの存在環境の変化を敏感に感知する機構を獲得してきた.特に生体内においては,宿主感染防御能へ抗するための効果的な病原因子の発現が要求される.最近になって,菌は環境における自らの濃度を感知し,その濃度に応じて病原因子遺伝子の発現を巧妙に制御していることがわかってきた.菌と菌との情報伝達機構,すなわちquorum-sensingと呼ばれるシステムである.これはビブリオ属細菌Vibrio fischeriの培養において,菌の増殖に応じて蛍光物質の産生が見られるという現象から見つかってきたものであるが1),その後,緑膿菌をはじめとする多くの病原細菌が本システムを用いて病原因子発現をコントロールしているという事実が明らかとなっている.以下にquorum-sensingシステムについて簡単に説明するとともに,緑膿菌を例に本システムの重要性,感染症発症病態とのかかわりについて概説する.

骨髄間葉系幹細胞―生物学的役割からの新たな治療戦略

著者: 五條理志 ,   梅澤明弘

ページ範囲:P.1135 - P.1138

1.はじめに
 骨髄間質(ストローマ)細胞は造血支持細胞として研究の対象となってきた.近年,このストローマが自己複製能と多種類の間葉系の機能細胞に分化する能力を有する幹細胞を有していることが示された1).さらには,中胚葉由来ではあるが間葉系からはかけ離れていると考えられていた心筋細胞2)や骨格筋細胞3)が,この間葉系幹細胞から分化しうることが報告された.この間葉系幹細胞は,神経幹細胞,造血幹細胞とともに再生医療という治療戦略の重要な一翼を担うと考えられている.一方,すでに臨床においては骨髄移植において生着不全を防ぐことを目的に,ストローマ細胞移植が始められている4,5).これらの臨床試験は,移植細胞の生着促進のみならず,移植片対宿主反応を抑制する可能性を示した.また,間葉系幹細胞は,増殖能が極めて高いことが特徴である.一方,造血幹細胞の維持は困難で,多くの遺伝子治療プロトコールが当初予想されていたほどの効果をもたらしていない.このような現状から,間葉系幹細胞が遺伝子治療の有望なターゲットとなり始めている.

質疑応答 微生物

梅毒Treponema Pallidum抗体の高感度自動測定法の問題点とフック現象

著者: T生 ,   森山隆則

ページ範囲:P.1139 - P.1141

 Q 第44巻3号,335~338頁「梅毒Treponema pallidutm抗体の高感度自動測定法の問題点」論文の考察のなかで触れられているフック現象とはどのようなことでしょうか.詳しくお教え下さい.

一般検査

尿クレアチニン補正

著者: K生 ,   堀尾勝 ,   折田義正

ページ範囲:P.1141 - P.1143

 Q 尿中の濃度を測定する場合,尿クレアチニン補正すると成書にありますが,尿クレアチニン補正とは具体的にどのように行うのかお教え下さい.また,糸球体腎炎やネフローゼ症候群など腎疾患の場合でも尿クレアチニン補正は利用できるのでしょうか.併せてお教え下さい.

研究

抗B抗体欠損O型症例のABO血液型遺伝子解析

著者: 舞木弘幸 ,   丸山芳一 ,   大西浩史 ,   中川智美 ,   中野稔 ,   橋口聖一 ,   市之瀬守 ,   山下巧 ,   肥後恵子 ,   丸山征郎

ページ範囲:P.1145 - P.1149

 ABO血液型検査にて表試験,裏試験の成績に不一致を認めた患者と家族のABO血液型の遺伝子解析を行った.患者の血液型は,表試験O型,裏試験B型で吸着解離試験にてB抗原が検出されなかったことから,抗B抗体のみを特異的に欠損したO型と考えられた.家系調査では長男O型,長女B型で特に異常を認めなかった.しかし,PCR-RFLP,PCR-SSCPを用いてABO血液型の遺伝子型を解析したところ患者OGOG型,長男OAOG型,長女BOA型となり,親子関係に矛盾を生じる結果となった.

資料

当科における薬剤性肝障害とリンパ球刺激試験の現状

著者: 石関哉生 ,   中出幸臣 ,   小村景司 ,   田森啓介 ,   稲場守 ,   谷光憲 ,   渡部重子 ,   久保田宏

ページ範囲:P.1151 - P.1153

 今回われわれは,当科入院となった薬剤性肝障害17症例について起因薬剤およびリンパ球刺激試験を中心に検討した.起因薬剤では消化器官薬が最も多く,次に血小板凝集抑制薬,抗生物質の順であった.リンパ球刺激試験においてステロイド治療の有無および施行時期についておのおのの陽性率を検討したところ,ステロイド治療なし群および退院直前施行群において陽性率が高い傾向にあった.

学会だより 第50回日本医学検査学会

医学検査と臨床検査技師のさらなる前進と変化をめざして

著者: 増田詩織

ページ範囲:P.1154 - P.1154

 第50回日本医学検査学会は,岩田進・日本臨床衛生検査技師会会長のもと5月24日~26日の3日間を会期に東京国際フォーラムで開催されました.昭和27年の第1回学会から今回で50回目を迎え,学会名称も「日本臨床衛生検査学会」から「日本医学検査学会」と名称変更し,21世紀最初の学会として検査技師の飛躍を願って,テーマ「医学検査,新たなる出発(スタート)」として開催されました.
 記念式典は,世界でも有数の5,012席を誇る東京国際フォーラムのホールAで行われ,2層構造のホールが満席となるほどの会員や学生が参加され,オーケストラの演奏のもとで開会されました.記念式典の一部始終は先進システム400インチ大型プロジェクタに映し出され,ホール後方にいた私にも臨場感のある式典でした.天皇皇后両陛下のご臨席を賜り祝辞が述べられました.それは私をはじめ多くの若い会員や学生に新たな夢・希望を抱かせ励みになるお言葉でした.また,続いて坂口力・厚生労働大臣,坪井栄孝・日本医師会会長,Martha A.Hjalmarsdottir IAMLT会長からの来賓祝辞が述べられ,臨床検査が今後の医療の発展において重要な位置であること,わが国の臨床検査がアジア諸国をはじめ世界のリーダー的存在として発展していく使命があることを再認識いたしました.

Evidenceに基づいた検査体系ならびに組織的な精度管理事業を求めて

著者: 松本祐之

ページ範囲:P.1155 - P.1156

 第50回日本医学検査学会が,記念学会として5月24日から26日の3日間にわたり,岩田進会長(日本大学付属板橋病院)のもと東京国際フォーラムにて開催されました.50回学会を記念して,学会名称を「日本臨床衛生検査学会」から「日本医学検査学会」に変更し,臨床検査に関わる人が誰でも参加できるようオープン化が図られ,21世紀の船出に合わせテーマも「臨床検査新たなる出発」とされました.記念式典には天皇,皇后両陛下のご臨席を賜り,われわれ検査技師に課せられた任務とその果たす役割として,高い専門性を保ちつつ,検査を受ける一人一人の人間性を大切にし,人々が安心して必要な医学検査を受けられるよう,他の医療関係者と協力しながら努力を続けることを期待されるお言葉を拝聴でき,記念学会にふさわしい式典でありました.
 特別企画は,記念講演,文化講演,国際交流フォーラム,フォーラム「21世紀の医学検査を語る」,教育問題フォーラム,精度管理調査フォーラム,教育講演,シンポジウム4題,パネルディスカッション3題,教育カンファレンス2題,ワークショップと盛り沢山であり,そのほかに指定演題として英語発表3題,生殖医療技術検査3題,一般演題は568題でありました.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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