icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床検査46巻12号

2002年11月発行

雑誌目次

今月の主題 プリオン病とその診断 巻頭言

プリオン病診断技術の展開に期待する

著者: 毛利資郎

ページ範囲:P.1499 - P.1500

 成長ホルモン投与や硬膜移植によりヒトからヒトへ感染する医原性プリオン病が,大きな社会問題となったが,歴史的にみて,ヒトと動物のプリオン病の間に直接関連はないとされていた.しかしながら,1996年になって,いわゆる"狂牛病",牛海綿状脳症(Bovine spongiform encephalopathy;BSE)が人に感染し,変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(variant Creutzfeldt-JakobDisease;vCJD)を引き起こしたことが,英国で突然発表された.これによりプリオン病が新たに主要食物からヒトに感染することが示され,世界を震憾させた.その後,英国におけるvCJD患者は増え続け2002年7月末までに英国内だけで115名である.患者は英国滞在経験者など含めてフランス,アイルランド,イタリア,香港,カナダでも発見されている.感染源として可能性のあるBSE罹患牛も肉骨粉の輸出実績を追うようにヨーロッパを中心に拡大しており,ついに,日本でも2001年9月に千葉県で報告されて以来,4頭が発見されている(この原稿を書いた後5頭目が発見された).さらに,わが国では食の安全性に関する危機管理の脆弱さも浮き彫りにされ,日本中にプリオン病に対する不安が広がっている.

総論

プリオン病の分子生物学

著者: 金子清俊

ページ範囲:P.1501 - P.1508

 2001(平成13)年9月に千葉県で日本初の牛海綿状脳症(以下BSE)に罹患した乳牛が発見され,日本中にBSEに対する懸念が広がった.その一因は,英国における変異型CJD (variant CJD)と呼称される人のプリオン病が,BSEに由来すると考えられていることに起因する.「プリオン」という造語が誕生して以来20年が経過し,1997年にはプリオン仮説の提唱者であるプルシナー教授にノーベル医学生理学賞が授与された.本稿では,プリオン蛋白質を中心にプリオン病研究の現状について解説する.

各論

クロイツフェルト・ヤコブ病の臨床診断

著者: 村井弘之

ページ範囲:P.1509 - P.1515

 クロイツフェルト.ヤコブ病(CJD)の臨床症状を中心にして,診断上のポイントを解説した.最も一般的なのは孤発型CJDで,これが80~90%を占める.進行性痴呆,歩行障害,ミオクローヌスを経て,無動性無言になる.脳波,MRI,髄液検査などを総合して診断する.また,医原性CJDのうち,硬膜移植後に発生したCJDはまだ増加しており,社会問題となっている.牛海綿状脳症からヒトへ感染したと考えられる変異型CJDはわが国ではまだ患者の発生をみていないが,その診断の注意点を述べた.遺伝性CJDは症状が多様で,家族歴が明らかでない場合も多い.CJDが疑われる患者はなるべく遺伝子検査を行うべきである.

クロイツフェルト・ヤコブ病の病理診断

著者: 福島純一 ,   志賀淳治

ページ範囲:P.1517 - P.1522

 クロイツフェルト・ヤコブ病は異常なプリオン蛋白が脳に蓄積し,比較的急速な経過をとる疾患である.脳は萎縮を示し,組織学的には,脳組織が空胞化する海綿状変化を特徴とする.神経細胞の脱落と肥胖性アストロサイトの増生からなるgliosisが同時に生じ,進行すると,海綿状の空胞は融合拡大し,粗鬆化に陥る.感染型プリオン蛋白(PrPsc)を免疫組織化学的に証明すれば,診断はより確実になる.

クロイツフエルト・ヤコブ病の発症前診断開発に向けて

著者: 古川ひさ子

ページ範囲:P.1523 - P.1526

 国内での牛海綿状脳症発症,汚染硬膜移植による医原性プリオン病の多発などプリオン病を取り巻くわが国の状況は近年さらに厳しさを増している.これに伴い,発症早期あるいは発症前診断技術の開発が急がれている.髄液,血液,尿などの生体材料を用いた診断の可能性が検討されつつある.なかでも尿中プリオン蛋白解析は検体採取が容易であり研究の発展が大きく期待される.

クロイツフェルト・ヤコブ病の治療

著者: 坂口末廣

ページ範囲:P.1527 - P.1532

 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)をはじめとするほとんどのヒトプリオン病は,原因不明のまれな致死性神経変性疾患である.しかし,最近,牛プリオン病である狂牛病(牛海綿状脳症)からの感染による新型CJDや,感染脳硬膜移植による医原性プリオン病が多数報告され,世界的に大混乱を招いている.このような状況のなか,プリオン病の有効な治療法が切に望まれ,多くの研究が行われているが,まだ有効な治療法は開発されていない.

牛海綿状脳症(BSE)の診断

著者: 林浩子 ,   横山隆

ページ範囲:P.1533 - P.1538

 牛海綿状脳症(bovine spongiformencephanopathy;BSE)は感染性蛋白質「プリオン」を原因とする致死性の中枢神経系疾患プリオン病または伝達性海綿状脳症の1つである.1996年にヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病との関連が報じられたことから世界中で様々な社会問題を引き起こしている.昨年(2001年)9月の日本でのBSE初発生以降,全国の食肉衛生検査所で固相酵素免疫測定法(enzyme-linked immunosorbent assay;ELISA)を用いたスクリーニング検査が導入され,ウェスタンブロット法(Western blotting;WB)および免疫組織化学検査による確定診断体制が確立された.本稿ではBSEの診断に用いられる各種検査法について紹介するとともに,BSEにおける病変分布および異常プリオン蛋白質(PrPSc)の蓄積部位について述べ,適切な検査材料の採取について論じる.

バイオハザードの観点からみたプリオン病

著者: 堤寛

ページ範囲:P.1539 - P.1544

 プリオン蛋白は高度に消毒耐性だが,その感染性は低く,日常生活や通常の診療・ケアでは感染は生じない.最も高リスクの医行為は,感染脳に直接接触する病理解剖とその後の臓器処理である.ホルマリン固定された臓器も感染性を有する.脳脊髄液検査における針刺し事故のリスクも無視できない.治療法のない致死的疾患であるプリオン病の診療・ケアに際しては,感染防止対策が第一義的に重要である.本稿では,プリオン病における具体的なバイオハザード対策につき概説する.

技術解説

プリオンの検出技術

著者: 堀内基広

ページ範囲:P.1545 - P.1551

 プリオンという言葉が提唱されてから20年が経過した.現在では,クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD),牛海綿状脳症(BSE),ヒツジのスクレイピーなどの伝達性海綿状脳症(プリオン病)の病原体を示す単語として"プリオン"が用いられている.したがって,プリオンの検出とは,プリオン病の病原体を検出することである.ウイルスや細菌などの病原体の検出には,病原体を生物学的に検出する方法に加え,その構成蛋白質や核酸を検出することで病原体の存在を明らかにできる.あるいは,宿主の免疫応答により,病原体が感染した痕跡をとらえることもできる.プリオンの検出も考え方は同じである.しかし,培養細胞で増殖しないこと,プリオン特異的な核酸がないこと,病原体に対する免疫応答がないことなどが,プリオン検出の障壁となっている.

ヒト・プリオンのバイオアッセイ

著者: 毛利資郎

ページ範囲:P.1553 - P.1558

 「感染性をもつ蛋白質粒子」とはプリオンの定義である.この感染性を検出する唯一の手段がバイオアッセイである.しかし,ヒト・プリオンの動物への伝達は種の壁により,困難であった.種の壁を乗り越えるためにヒト・プリオン蛋白質遺伝子を導入し,ヒト型のプリオン蛋白質を産生するマウスを作製した.このヒト化マウスはヒト・プリオン感染に対して高い感受性を有し,これまで600日以上を要したヒト・プリオンの伝達が150日で可能となった.さらに,脾臓では接種後わずか14日で感染が確認された.

今月の表紙 電気泳動異常パターンの解析シリーズ・11

電気泳動によるCKアイソザイム分析IマクロCKタイプIの検出と同定

著者: 堀井康司

ページ範囲:P.1496 - P.1498

 今回から2回はCK (クレアチンキナーゼ)アイソザイムについての話である.CKにはCK-MM,CK-MB,CK-BBの3つのアイソザイムがあり,その名のとおりMMはMサブユニットが2つ,BBはBサブユニットが2つ,MBはMとBのサブユニットから構成されている.骨格筋中のCKはほとんどがMMである.もしあなたが草野球でピツチャーをすると,しばらくして血清中のCKはびっくりするような高値になるはずである.しかしこの場合はMMなので心配しなくていい.しかしもしMBがある一定以上認められたら問題である.心筋中のCKは最も多いアイソザイムはMMであるが,MBの比率が高い.このため心筋がダメージを受けた場合,血清中にCK-MBが検出されることになり,この場合心筋梗塞が疑われるからである.またBBは脳や平滑筋中に多く,特殊な疾患や病態で高値となるが,頻度が少なく重要度は低い.
 図1に電気泳動で検出されるCK活性について蛋白分画との関係をシェーマで示した.アルブミン(Alb)より陽極側にBB,α2位にMB,γ位にMMと検出される3つのアイソザイムは易動度が大きく異なるため簡単に分離することができる.しかしときに図中①,②で示した異常な活性を認めることがあり,判別に問題が生じることがある.

コーヒーブレイク

うたかたの記(1)

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.1515 - P.1515

 行く河の流れは絶えずして,しかも,もとの水にあらず.淀みに浮かぶうたかたは,かつ消えかつ結びて,久しく止まりたる例なし.世の中にある人と栖と,又かくのごとし.
 方丈記の有名な序文であるが,私達の人生は,ふり返ってみるとまことにかくの如くである.若い人にとってぴんとこないかもしれないが光陰は矢の如くで,過ぎ去ってみるとすべて一場の夢で老いは誰にもたちまち訪れるものである.暫くは私も消えかつ結んだうたかた(水の泡)の1つ1つをとりあげてみようと思う.

シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・23

粘膜局所防御機能の評価

著者: 日比紀文 ,   一松収

ページ範囲:P.1559 - P.1566

はじめに
 われわれのからだは,皮膚と粘膜で外界と接している.われわれの外側を覆っている皮膚は,びっしりと数層にわたって敷き詰められた上皮細胞や皮脂で,外界からの異物の侵入を防いだり,水分の蒸発を防ぎ,強固なバリアを形成している.一方,鼻腔,咽頭,消化管,呼吸器,泌尿・生殖器は,粘膜という一層のバリアを介して,からだの内側で外界と接している.これらの粘膜面の表面積は,成人では400m2であり,皮膚表面積の200倍以上になり,その広さは,テニスコートの1.5倍にも及ぶ.そして,この粘膜のうちの80%以上を占めているのが,腸粘膜である.
 腸粘膜は,皮膚やほかの粘膜と同様に常に外来抗原に暴露されている.一方,消化された栄養分を取り込まなければならない.すなわち,食餌抗原や自己抗原,常在細菌に対して過剰に反応することなく,ときとして侵入してくる細菌やウイルス,毒素などの病原体から生体を防御すべく,腸粘膜には消化管関連リンパ組織(gut associated lymphoid tissue;GALT)と呼ばれる特殊な免疫機構が発達している.

トピックス

NST(Nutrition Support Team)

著者: 戸谷誠之

ページ範囲:P.1568 - P.1569

1.はじめに
 近年の外科医療では術前あるいは術後管理を効率的に行い,診療期間を短期間にすることで医療効率を上げることに注目されている.このような臨床側の要求に応えるためには管理栄養士や臨床検査技師を含める優れたコメデイカル側の協力体制を構築することが重要となる.こうした目的で行われるチーム医療の1つがNSTである.
 1970年代初めに米国のシカゴでの報告にこのような組織が初めて報告されている.その後わが国でも,1980年代ころから一部の施設で検討が試みられている.その意味では本項で取り上げ記事にする理由もない内容に思える.しかし,実状はあくまでも試験的な検討のまま今日まで経過し,その実態については全くといってよいほど知られていなかった.だが,今世紀に入って医療の抜本改革が問われる中でこのシステムに対してもにわかな注目が集まっているので,改めてその概要について解説を試みることにした.

質疑応答 診断学

骨組織再生におけるBMPの臨床応用

著者: T生 ,   池内正子 ,   大串始

ページ範囲:P.1570 - P.1571

 Q 池内正子先生の論文「骨再生をめざしてのBMP/骨髄間葉系幹細胞複合体」(本誌Vol 46,No 4,pp 427-430)を拝見し質問をさせていただきます.耳鼻咽喉科領域で再建が課題となる疾患があります.その1つは先天性外耳道閉鎖症で,同疾患では側頭骨の一部が欠損する例もあり,再建には皮膚弁を用いた外耳道再建術が行われます.しかし術後に肉芽などにより再閉鎖もしくは狭窄を生じることが問題です.その防止のためのロール状の骨形成が適当と考えられますが,BMPを用いて可能でしょうか.

研究

小児のインフルエンザウイルス感染におけるC反応性蛋白,血清アミロイドAの比較評価

著者: 山上隆也 ,   浅川洋美 ,   大石陽子

ページ範囲:P.1573 - P.1575

 小児のインフルエンザウイルス感染症におけるC反応性蛋白(C-reactive protein;CRP)と血清アミロイド(A serum amyloid A;SAA)値を測定した.その結果,CRP,SAAともに急性期に高値となり,回復期に向かって有意に減少した.急性期の陽性率はSAAがCRPよりも高かったことから,SAAはインフルエンザウイルス感染症における炎症マーカーとして有用であると考えられた.感染したインフルエンザウイルスのA,B型別で急性期のCRP,SAAを比較したところ,その値,陽性率ともにA型感染のほうがB型感染よりも高かった.このことは,Inf.A型とB型とで感染後の免疫応答などに違いのある可能性を示唆する結果と思われた.

発作性心房細動の発生様式に関する検討―心房性期外収縮と自律神経機能の関与

著者: 吉田裕子 ,   佐藤光代 ,   若松恭子 ,   斎藤憲 ,   大坪利恵 ,   矢野勇人

ページ範囲:P.1577 - P.1581

 発作性心房細動の発生様式を発作前の心房性期外収縮発生数や心拍数の変動より検討した.心房性期外収縮発生数は発作直前には有意な増加を認め,同様に心拍数も増加していた.心房細動発生時間帯を終日,昼間,夜間に区分して比較検討すると,昼間発生する心房細動でこれらの変化が顕著であった.今回の結果は,昼間発生する心房細動の発現には交感神経が関与しており,発作直前の心房性期外収縮の増加は,心房細動の誘因となることが推察された.

血清骨型アルカリ性ホスファターゼ活性の電気泳動法によるアイソザイム分析とEIA法の比較―カドミウム環境汚染地域の尿細管障害例を対象として

著者: 青島恵子 ,   樊建軍 ,   河西由美子 ,   加須屋實

ページ範囲:P.1583 - P.1586

 カドミウム環境汚染地域の尿細管障害例(女性38人)において,血清総アルカリ性ホスファターゼ(総ALP)活性および電気泳動法による骨型アイソザイム分画より算用したALP3活性のいずれも,EIA法による骨型ALP活性との間に一次回帰式が成立し,骨型ALP定量値として評価し得た.ALP3分画率50%以上を呈した28例では回帰式の適合度はより上昇し,分画率を考慮することによって,より精度の高い予測が可能となった.

Epstein-Barr Virusの検出に用いたin situ Polymerase Chain Reaction間接法の条件設定

著者: 西野信一 ,   福地邦彦 ,   小林英昭 ,   山崎智巳 ,   田島勇介 ,   嘉悦勉 ,   鈴木恵史 ,   高村光一 ,   中尾健太郎 ,   河村正敏 ,   草野満夫

ページ範囲:P.1587 - P.1591

 EBV感染の胃癌組織切片にてin situ PCR間接法を行いDNA検出の基礎的条件設定を検討し以下の結果を得た,①PCR産物と合成オリゴプローブのハイブリダイズ時における熱変性処理の有効性は認められない.②合成オリゴプローブのプローブ濃度は10μg/mlで良好なシグナルが得られた.③PCRサイクル数は10回にて良好なシグナルが得られた.

膀胱癌治療後症例の尿細胞診と基底膜蛋白検出法の有用性に関する比較検討

著者: 星川友紀 ,   森谷卓也 ,   三浦弘守 ,   久住綾子 ,   溝呂木安希 ,   井上紘子 ,   武山淳二 ,   遠藤希之 ,   渡辺みか ,   高橋とし子 ,   星宣次 ,   笹野公伸

ページ範囲:P.1593 - P.1596

 TUR-Bt後の膀胱癌に対する再発チェックの目的で,尿細胞診とBTA試験の比較検討を行った.両検査の結果は72検体(66.1%)で一致していた.細胞診が疑陽性か陽性の16検体すべてに生検で癌を認めたが,BTA試験陽性は31.3%のみで,浸潤癌100%に対し非浸潤癌では8.3%と低い陽性率であった.BTA試験は細胞診に比して特異性は低いが,併用により再発癌の浸潤度に関する予測が可能と思われた.

位相差顕微鏡による急性白血病細胞および悪性リンパ腫細胞の鑑別法

著者: 福田ヒロ子 ,   近藤弘 ,   巽典之

ページ範囲:P.1597 - P.1601

 位相差顕微鏡による造血器腫瘍細胞の光学的観察法は,細胞の運動形態および胞体内部の微細構造の観察が可能であることから,特徴的な運動形態をもつ白血病細胞や有毛細胞白血病の鑑別診断には特に有用である.急性骨髄性白血病のうちリンパ芽球との鑑別が難しいMOや,またM3 variantなどの腫瘍細胞の鑑別においても有力な所見が得られるほか,化学療法後の残存腫瘍細胞の退行変性像の有無を位相差像で確認することによって,治療効果の判定にも利用できる.

自動免疫染色装置を用いた腎生検標本における免疫グロブリンの免疫染色

著者: 中山英喜 ,   堀田茂 ,   川島真由子 ,   内田啓子 ,   新田孝作 ,   湯村和子 ,   伊藤克己 ,   二瓶宏

ページ範囲:P.1603 - P.1606

 腎生検の病理診断において,凍結切片に糸球体が含まれない場合には,パラフィン切片を用いて診断しなければならない.今回われわれは,自動免疫染色装置を用いて,光顕用のパラフィン切片における免疫グロブリンの染色条件を検討した.至適酵素の種類はIgGとIgAで異なった.処理時間はIgGが16分間でIgAは32分間であり,一次抗体の種類によつて酵素および酵素処理時間を変える必要があると考えられた.よって,酵素の種類および酵素処理時間を一枚一枚,容易に設定できる自動免疫染色装置の使用は有用であると考えられた.

資料

高感度ELISAキットを用いた血清8-OHdG測定のための血清試料前処理法の検討

著者: 吉田須美子 ,   花木教二 ,   川井伸一郎 ,   大森浩之

ページ範囲:P.1607 - P.1609

 血清中の8-OHdGをELISA法の高感度8-OHdG Checkで測定するためには,血清を限外濾過し,分子量10,000以上の物質を除く前処理法が必要となる.今回われわれは,限外濾過膜中に何らかの阻害物質が存在することを示唆する結果を認めたので,フィルターカップの洗浄を含めた血清前処理法を試みた.その結果,良好な測定値が得られた.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?