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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査49巻7号

2005年07月発行

雑誌目次

今月の主題 アレルギー疾患の現況と今後の展望 巻頭言

アレルギー疾患の現況と今後の展望

著者: 茆原順一

ページ範囲:P.697 - P.699

1. 即時型反応の主体

 即時型のアレルギー反応は,マスト細胞(肥満細胞)で語られる.

 肥満細胞はその表面上に105個/細胞以上のIgE抗体に対する高親和性レセプター(FcεRI)をもっている.IgEがFcεRIに結合し,さらに多価抗原の結合・架橋が起こると,活性化された肥満細胞は顆粒中の各種ケミカルメディエーターを放出し,血管浸透性亢進や平滑筋収縮が惹起され,Ⅰ型の即時型アレルギー反応を起こす.さらに,サイトカインを放出することによって,好酸球をはじめとする各種の炎症細胞を遊走・活性化し,遅延型反応も促進する.また,B細胞からIgE抗体産生細胞への分化(IgEクラススイッチング)誘導にも作用する.

総説

アレルギー疾患の疫学とメカニズム

著者: 鈴木雅雄 ,   程雷 ,   小野直哉 ,   山崎暁子 ,   毛暁全 ,   白川太郎

ページ範囲:P.700 - P.706

〔SUMMARY〕 近年,先進国で増加しているアレルギー疾患のメカニズムの1つにTh1/Th2バランスの不均衡が関与していることがいわてれおり,特にTh2型サイトカインが重要な役割を果たす.また,その疾患感受性遺伝子を同定することは治療や予防に有益と考えられている.このような,アレルギー疾患は多因子疾患であるため,数多くの遺伝因子と環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられており,これら遺伝的要因の解明は,以前は不可能と思われていた.しかし近年,高速大量タイピング法の確立により広範囲な候補領域からの絞り込みが非常に簡易になり,急速に各アレルギー疾患のSNPマップを用いた体系的症例―対照相関解析によりアレルギー疾患の原因が解明されつつある.今回はこれまで報告されてきた疫学調査を中心に解説したい.〔臨床検査 49:700-706,2005〕

アレルギー疾患の遺伝要因

著者: 中島加珠子 ,   広田朝光 ,   赤星光輝 ,   松田彰 ,   清水麻貴子 ,   小原和彦 ,   玉利真由美

ページ範囲:P.707 - P.714

〔SUMMARY〕 気管支喘息をはじめとするアレルギー疾患は多因子遺伝疾患であり,これまでポジショナルクローニングや候補遺伝子アプローチの手法により多くのアレルギー関連遺伝子が同定されてきた.2003年のヒトゲノムの解読終了,2005年3月1日の国際HapMapプロジェクトの第一段階終了をもち,遺伝子解析研究にはさらなるはずみがついたといえよう.本稿ではアレルギー疾患,特に喘息に焦点を絞り,これまでの研究の流れと今後の展望について紹介する.〔臨床検査 49:707-714,2005〕

気管支喘息の発症機序

著者: 出原賢治

ページ範囲:P.715 - P.720

〔SUMMARY〕 気管支喘息は,アレルゲンを気道組織内に吸入することによって引き起こされる局所的な炎症である.その炎症機序にはTh2型サイトカインが重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた.しかし,近年の気管支喘息増大がどのような環境要因の変化によりどういった機序で引き起こされているか,あるいは気管支喘息の遺伝要因の全貌はどうなっているのかなど不明な点も数多く残されている.〔臨床検査 49:715-720,2005〕

アトピー性皮膚炎の発症機序

著者: 中原剛士 ,   古江増隆

ページ範囲:P.721 - P.727

〔SUMMARY〕 アトピー性皮膚炎(AD)は,痒みの強い湿疹病変が慢性再発性に繰り返す皮膚疾患である.ADの発症機序や病態形成については様々な病因論とそれに関する研究が古くからなされてきたが,現在ではADの特徴であるIgE増多,好酸球増多,リンパ球増多,肥満細胞増多さらにはこれらの間での様々なサイトカイン,ケモカインの相互作用に着目した多くの病態解明が進んでいる.〔臨床検査 49:721-727,2005〕

アレルギー性鼻炎の発症機序

著者: 藤枝重治

ページ範囲:P.729 - P.737

〔SUMMARY〕 アレルギー性鼻炎は,くしゃみ,鼻汁,鼻閉を示す疾患であるが,その病態の本質はIgE-dependentであるとされている.抗原特異的なIgEが作られるようになる抗原感作,抗原曝露時に直ちに起こる即時型反応,6~12時間後に起こる遅発相からなる.即時型反応は,抗原とIgEの結合から始まるヒスタミン放出の影響が大きい.一方,遅発相は好酸球浸潤,好酸球から放出されるECPとロイコトリエンによる鼻閉が特徴である.〔臨床検査 49:729-737,2005〕

ダニ主要アレルゲンの構造・機能とIgE

著者: 高井敏朗

ページ範囲:P.739 - P.747

〔SUMMARY〕 ハウスダスト中のダニは,喘息,アトピー性皮膚炎,鼻炎などの様々なアレルギー疾患にかかわる重要なアレルゲンである.本稿では,アレルゲンとダニアレルゲンに関する基本知識を簡単に解説した後,ダニ主要アレルゲンに関して,「アレルゲンの構造」vs「IgE結合」,および「アレルゲンの機能」vs「アレルギー疾患誘導」という2つの切り口で最近の研究の流れを整理・紹介してみたい.〔臨床検査 49:739-747,2005〕

技術解説

アレルギー関連のSNP解析

著者: 広田朝光 ,   赤星光輝 ,   松田彰 ,   清水麻貴子 ,   中島加珠子 ,   岸文雄 ,   玉利真由美

ページ範囲:P.749 - P.756

〔SUMMARY〕 分子生物学的手法の発展により,高速,大量,低コストでSNPタイピングが行える様々な手法が確立され,アレルギー関連疾患も含め,多くの多因子遺伝疾患(common disease:ありふれた疾患)において疾患関連遺伝子の解析や,薬剤の効果や副作用に関連する遺伝子の同定が精力的に行われている.近い将来,それらを利用して個別化されたオーダーメイド医療が実現することが期待されている.〔臨床検査 49:749-756,2005〕

アレルギー疾患におけるサイトカイン測定

著者: 菅原由人 ,   山下哲次

ページ範囲:P.757 - P.764

〔SUMMARY〕 サイトカインは白血球間の情報伝達に関与する(糖)蛋白質であり,様々な疾患への関与が報告されている.アレルギー疾患ではヘルパーT細胞(Th細胞),特にTh細胞type2(Th2細胞)から産生されるサイトカインが,IgE産生,肥満細胞の活性化,好酸球などの遊走・活性化作用を有することから,その病態形成に重要な役割を果たしている.また,近年Th2細胞選択的な遊走活性をもつケモカインがアレルギー疾患に関与していることが報告され,ケモカインの測定は新たなアレルギー疾患マーカーとして注目される.〔臨床検査 49:757-764,2005〕

話題

アレルギー疾患のトランスクリプトーム解析Ⅰ

著者: 斎藤博久

ページ範囲:P.765 - P.768

1. はじめに

 周知のように個体(=細胞)がもつすべての遺伝情報の意味であるゲノム(genome)は遺伝子(gene)と染色体(chromosome)を合成した用語である.一方,トランスクリプトーム(transcriptome)という用語は,1つの細胞に存在するすべてのmRNA(transcript)情報のことを指す(図1).ヒトゲノム配列のほぼ全容が明らかになり,一度に数万のmRNAを定量できる装置であるマイクロアレイが開発された前世紀末から登場した新用語である.当初は解析手法であるDifferential display PCRやマイクロアレイの技術が未発達なこともあり,プロテオーム(proteome)という用語のほうがより知られていたが,ここ数年のマイクロアレイ技術の技術的進歩はめざましく,今や多くの研究施設において,PCR法やフローサイトメーターなどと同様に日常研究レベルで全遺伝子のmRNAへの発現状態を定量することが行われるようになっている1)

 本稿においてはアレルギー疾患病態解析のトランスクリプトーム解析の現況について筆者らの研究を中心に紹介させていただくことにする.

アレルギー疾患のトランスクリプトーム解析Ⅱ―新規アレルギー疾患マーカーとしての扁平上皮細胞癌抗原(SCCA)の同定

著者: 出原賢治

ページ範囲:P.769 - P.772

1.はじめに

 ヒトゲノムプロジェクトが終了してポストゲノム時代となった現在,「トランスクリプトーム」に大きな関心が払われている.トランスクリプトームとは,遺伝子がmRNAとして転写された状態全体を指している.トランスクリプトームが注目を浴びている理由は,一般に,ある細胞においてある時点では,遺伝子全体の約5%しか転写されておらず,ほとんどの遺伝子は活性化されていないことが挙げられる.また,トランスクリプトームを解析することにより,様々な疾患の原因を明らかにできると期待されていることも挙げられる.マイクロアレイはトランスクリプトームを解析する最も強力な道具である.マイクロアレイを用いることにより,数千の遺伝子に関する発現解析を同時に,しかも比較的簡便に行うことが可能となっている.本稿では,われわれがマイクロアレイ法を用いて新規のアレルギー疾患診断マーカーを同定した試みについて紹介したい.それ以外の気管支喘息に対するマイクロアレイの応用については,他の総説を参考にしていただきたい1)

好酸球のアレルギー性炎症における役割の見直し

著者: 茆原順一

ページ範囲:P.773 - P.779

1. はじめに

 好酸球はErhlichによる発見以来,ヒスタミン中和酵素などを含有し,炎症局所でlate phaseに出現することからアレルギー・炎症反応に抑制的に働くと考えられていた.その後,1980年代に入り,生化学を中心とした爆発的学問的発展により好酸球を特徴づけている顆粒蛋白が強力な細胞障害作用をもつことが明らかになり,好酸球はアレルギー・炎症反応を促進・惹起する火つけ役と考えられるようになった(図1).さらに1970年代までⅠ型アレルギーによる即時型反応と理解されていた気管支喘息の病態は,1980年代に好酸球を中心とする炎症細胞の選択的集簇を伴う気道の慢性炎症であるとのコンセンサスを得て,以来アレルギーの研究と治療は飛躍的な進歩を遂げた1).近年ではTh1/Th2細胞の概念が提唱され,Th2細胞から産生されるサイトカインに加え,ケモカインや接着分子の様々な作用が明らかになってきている.これらの分子が密接にかかわり合いながら活性化され,局所に遊走した好酸球は,最終的に顆粒蛋白,活性酸素などを放出し,気道上皮剥離など組織傷害性に作用する.また,脂質メディエーターも産生することで一連のアレルギー性気道炎症という病態が形成される.

プロスタノイドとアレルギー

著者: 永井博弌

ページ範囲:P.781 - P.786

1. はじめに

 気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患は,アレルギー性炎症をベースとすることが近年の研究から明らかにされている.アレルギー性炎症はいわゆる非アレルギー性炎症と種々の点で異なる.表1にその主な相違点を原因,病理学的所見,炎症細胞,抑制薬および発症因子の項目について示す.われわれは種々のアレルギーモデルおよび非アレルギーモデルを用いてその相違点を検討してきたが,非常に大きく異なる点は,プロスタグランジン(PG)の産生を抑制する非ステロイド性抗炎症薬の作用である.このような非ステロイド性抗炎症薬の作用の違いからアレルギー性炎症と非アレルギー性炎症におけるPGの役割の違いが示唆される.そこで,われわれの教室ではそれぞれの炎症におけるPGの役割をPG受容体欠損マウスを用いて検討した.その結果,PGの中にはアレルギー性炎症に促進的に働くPGと抑制的に働くPGが存在することを示す成績を得た.加えて,アレルギー反応にはPGのように物質間でバランスメカニズムが存在し,そのバランスの崩れが発症と関連するものと思われるので,それらの点についても述べる.

座談会

これからの臨床検査を考える

著者: 菅野剛史 ,   伊藤喜久 ,   片山善章 ,   坂本穆彦 ,   岩田敏 ,   濱﨑直孝

ページ範囲:P.787 - P.801

本誌,49巻3号で「今月の主題 私と臨床検査―先達の軌跡」と題して,戦中・戦後からわが国の臨床検査分野を構築された先生方に臨床検査に対する思いを自由にご執筆いただきました.各執筆者の随筆にはご苦労話,手ごたえ,様々な出会いなどが語られており,その中でわが国の臨床検査の歴史の轍が鮮明に浮き彫りにされた感を強くいたしました.そこで,引き継がれたその後の臨床検査の現況と将来展望につきまして,本誌編集委員にお話し合いいただきました.(編集室)

 濱﨑(司会) 終戦後の日本にアメリカ主導による医療システムの改革がなされ,それに伴って,病院管理の近代化が図られ,臨床検査の中央化が促進されほぼ50年が経過しました.その間,様々な変化がございましたが,近年,ますます厳しい状況にあることは否めません.

今月の表紙 染色体検査・1

染色体検査の解析技術

著者: 石原義盛

ページ範囲:P.694 - P.696

TjioとLevan(1956)がヒト染色体構成を決定して以降,細胞遺伝学における染色体検査はCasperssonら(1971)のQ-band法の開発により1番染色体から22番染色体および性染色体の24対のすべてを識別できるようになった.現在は,G-band法を始めとする各種分染法のほか染色体分裂中期細胞および休止核に直接DNA標識プローブを用いて染色体の数的異常から微細な構造異常まで検出するFISH法(Fluorescence in situ hybridization)などの技術が日常臨床検査として活用されている.

 しかしながら,検査を行う際,先天性染色体異常検査を始め,造血器腫瘍および固形組織の分析過程では,現状技術でも細胞形態学的分析結果に満足できない染色体異常が少なからず存在している.

コーヒーブレイク

内科と検査の間

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.738 - P.738

 平成16(2004)年の秋に以前在籍していた内科の同窓会で講話を依頼された.数年前から古株が一人指名されて話をすることになったらしい.調べてみるとモーツアルトとか良寛とか野口英世とかそれぞれの愛好している人物の話であった

 私自身はそんなうちこんでいる人物に心当たりがないし再三お断りした.ところが最後に口説きに来た若い医師が断りにくい人物であった.循環専門医で毎年トレッドミルで心電図をチェックしてくれている人である.5か月ほど前に「今年は今までない所見が出ているからカテーテルをやりましょう」といやがる私を3日間検査入院させた.心カテーテルなんて昔から数ある検査の中で最もゾッとしないものであったが,脚からでなく腕からの注入は案外スムースに運びホッとした.それに「心血管系に異常は認められず,心電図は案外アテになりませんでした」なんてご託宣で,気をよくしていた手前喋ることにした.

シリーズ最新医学講座 臨床現場における薬毒物検査の実際・5

確認分析法(GC・GC/MS)

著者: 斉藤剛 ,   武市早苗

ページ範囲:P.803 - P.810

はじめに

 中毒起因物質の分析を行う場合,最初に短時間でスクリーニングできる簡易検査が大抵行われるが,簡易検査による薬毒物スクリーニングは,稀にその検査特有の偽陽性が生ずる場合があるため1次試験として位置づけられている.そこで1次試験の結果が陽性の場合,確認検査として目的化合物に合わせた抽出が行われた後に1次試験よりも感度の良い2次試験が行われる.なお,簡易検査による薬毒物スクリーニングに関しては成書1,2)を参考にしていただきたい.

 確認検査は通常機器分析が行われるが,すべての検査に対して1次試験と2次試験を行う必要があるわけではない.例えばルーチン検査として行われるアルコール検査などは1次,2次試験を兼ねて初めから機器分析が行われるため,1度の検査で終了することもある.しかし,覚せい剤や麻薬など法規制されている薬物に関しては必ず1次試験としてイムノアッセイを行い,陽性を示した場合は確認検査として目的化合物毎に2次試験の機器分析を行うのが理想である.

 確認検査で使用される機器はGC,GC-MS,高速液体クロマトグラフィー(HPLC),高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC-MS)等様々であるが,これらの機器を用いて各化合物の同定と定量が行われる.

学会だより 第53回日本輸血学会総会

五月晴れの東京ディズニーランドで輸血・細胞治療の新たな幕が切って落とされた

著者: 田野崎隆二

ページ範囲:P.811 - P.812

第53回日本輸血学会総会は,2005年5月26日(木)~28日(土)の3日間,慈恵医科大学輸血部星順隆教授を会長として,東京ディズニーランドのある東京ベイホテル東急で開催された.テーマは「原点に戻って考える輸血医療・細胞治療(ドナーからレシピエントへの橋渡し)」で,ドナーや患者の安全性に重点を置いた色合いとなった.また,今回の学会では新しい試みとして,ディズニーリゾートでの開催のほか,インターネットのホームページに「サイバーコンベンション」というテーマ展示,バーチャル展示会,ネットフォーラムという3つの部門の仮想会議場を作り,学会に参加できなくても雰囲気を味わいながら議論ができる場を設けたことなどが挙げられる.

 輸血学会の役割は変貌しつつあり,かつての輸血検査や業務だけでなく,2003年7月から施行された「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」いわゆる血液新法を受けて,適正輸血の推進と血液製剤の国内自給に向けて,大所高所に立っていくつかの変革を迫られている.そのひとつは,特に血漿製剤の適正使用がある.1998年にCochrane groupがBritish Medical Journalに,熱傷などに対する急性期のアルブミン使用がかえって死亡率を増加させるという衝撃的な論文を発表して以来,世界中で論議が起こっている.これに対して,第1日目の皮切りは,輸血学会幹事で中心的役割を担う東大輸血部高橋孝喜教授,虎の門病院輸血部松崎道男先生を座長に,シドニー大学輸血部教授のDr Finferが,最新のNew England Journal of Medicineに掲載された彼らのSAFE(Saline vs Albumine fluid evaluation)studyの結果を紹介した.これはCochrane reportに対する追試で,double blindの多施設共同比較試験であるが,結論としては,CCUにおける外傷,敗血症,急性呼吸促拍症候群患者への低濃度アルブミン製剤使用は,全体としては,死亡率を増加させないものの生存率も向上させていないというものであった.この後引き続き,「輸血用血液,分画製剤の適正使用」のシンポジウムに移り,学会幹事の都立駒込病院輸血・細胞治療科比留間潔先生と慶應義塾大学輸血・細胞療法部半田誠助教授に加えて,肝臓外科出身の旭川医大輸血部紀野修一先生,岡山大学麻酔科森田潔先生を交えて,時間を超過した討論が行われた.わが国のアルブミン使用量は諸外国と比較して最も多いものの国内自給率は約半分にすぎず,平成20(2008)年までに血液製剤自給100%を提唱する厚生労働省規準の達成は極めて困難と予想される.シンポジウムでは,臨床現場と輸血部との温度差が浮き彫りになり興味深かった.輸血製剤の安全性に関しては,この他「輸血感染症」「輸血医療および造血細胞治療のリスク」「免疫性輸血副作用について」「安全な輸血体制の普及」などのシンポジウムや教育講演が行われた.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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