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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査5巻11号

1961年11月発行

雑誌目次

グラフ

血液培養の手技

著者: 小酒井望

ページ範囲:P.677 - P.681

1)採血に当ってはまず部屋の窓,扉をとざし,10〜20分経て,塵埃を落ちつかせる。
 ついで穿刺部位を中心に広くヨードチンキを塗布する。

各社顕微鏡油浸レンズによる血球写真の比較

著者: 天木一太

ページ範囲:P.682 - P.684

技術解説

血液培養の手技

著者: 小酒井望

ページ範囲:P.685 - P.689

 かつては受持医が自分で血液培養を行なったけれども,最近では受持医が採血をし,検査室の技術員が培養す場合が多くなった。なかには技術員が患者のところへ出向いて,採血から培養まで患者のそばで行なっているところもある。
 血液培養では採血から培養に至るまでいくつかの操作があるが,そのすべてが無菌的に行なわれなければならない。化学療法以前と現在とを比べると,血液単位容積当りの菌数が少ない場合が多い。菌数が多ければ,血液4〜5mlをとって混釈平板を2枚くらい作れば,容易に検出できるし,また雑菌が一二混入したとしても,鑑別はやさしい。しかし菌数が少ない場合には,混入した雑菌と区別しにくい場合が多くなる。それに最近はすでに化学療法を受けた患者,あるいは現に化学療法を受けつつある患者が多くなったが,このような場合には混釈平板だけで菌を検出しにくく,どうしても菌が発育しやすい液体培地を豊富に使用しなければならない。それゆえ昔のように受持医が自分で血液培養を行なおうとすれば,無菌操作に関して相当な熟練を必要とする。従って受持医は,採血だけは自分で行なって,あとは熟練した技術員にまかせるということになる。

各社顕微鏡油浸レンズによる血球の写真撮影試験

著者: 天木一太

ページ範囲:P.691 - P.693

 日本のカメラレンズは,世界にその優秀性が認められており,輸出の花形となっているが,顕微鏡レンズは世界的にみた場合,果たしてどんなものであろうか。使用する側からみれば,少しくらい高価であっても,できる限り性能のよいレンズを使用したいのは論をまたない。特に写真を撮影するためのレンズは,通常は使用せずにしまっておいても,最高のものを手に入れたいと思う。
 最近カール・ツァイスのレンズを購入したところ,すばらしい結像を示し,従来の国産品に比して,相当の差があるように思われたので,国産の代表的レンズと比較実験をしてみて,本邦品がもし劣っていれば,使用する側としてメーカー側に奮起を促したいし,もしすぐれているならば大いに国産品を愛用し,またいささかなりとも輸出のお手伝いをしたいと考えた。

ジデロブラスト(含鉄赤芽球)染色法

著者: 桝屋富一 ,   東隆介

ページ範囲:P.695 - P.698

緒言
 赤血球内の遊離鉄については,かなり古くから記載があるが,脚光をあびて来たのは近年のことである。
 1941年,Gruneberg1)は,ある種のマウスの貧血で,赤血球中にベルリン青(prussian blueあるいはBerlinblau)反応陽性の顆粒を見出し,これにシデロサイト(siderocyte,含鉄赤血球)と命名した。以後主として病的状態におけるシデロサイトの報告が見られるが,1947年,Dacie2)は骨髄の赤芽球中にも同様の顆粒が存在することを見出した。1954年に至り,Kaplan3)は,小児において,健康者を含む諸種疾患についてこれを追及し,決して病的状態においてのみ出現するものではないことを明らかにし,これにジデロブラスト(Sideroblast,含鉄赤芽球)と命名した。また彼は血清鉄とジデロブラスト出現率との相関を指摘し,これが鉄欠乏の重要な指標となることを述べている。

現像の知識(1)

著者: 宮本五郎

ページ範囲:P.701 - P.706

1.現像の意義
 写真感光材料に普通の写真撮影に必要な程度の露光を与えた場合は,肉眼で見てはもちろん顕微鏡で見てもなんの変化も認められない。しかし適当な露光を受けて光化学変化を起こした個々のハロゲン化銀結晶は,そのままでは肉眼では見えない潜像を形成しているのである。この潜像を現像液といわれる適当な還元剤の溶液で発展させて,肉眼に見える画像にする過程が現像である。
 ハロゲン化銀に充分多量の光を与えると,現像処理を行なわないでも光分解による多量の中性銀の析出で潜像の領域を脱して,ついに変色して肉眼に見えるようになるが,あまりにも時間がいりすぎて今日の一般写真撮影には問題にならない。

座談会

検査室の家具あれこれ

著者: 樫田良精 ,   小川健比子 ,   杉富士雄 ,   野口照久 ,   山本俊一 ,   松村義寛 ,   天木一太 ,   高橋昭三 ,   松橋直

ページ範囲:P.710 - P.722

 司会 本日はお忙しいところを臨床検査の読者の皆さんのためにお集まりいただきありがとうございます。今日は,臨床検査にとって大切な実験机であるとか,戸棚,棚,いろいろの台,その他流しなどといったようなものがあるかと思いますけれども,そういった家具—検査室のものまで家具というのはおかしいかもしれませんけれども—その家具について,いろいろ検討していただき,検査室で,いうなれば最小の労力で最大の効果をあげようというようなことを検討していただきたいと思います。それで今日はゲストとして,建築のほうの大家でいらっしゃる小川先生においでいただいて,建築学の立場からいろいろご意見を伺い,また実験室内のそういう家具,その他の小道具について深い造詣を持っておられる日本曹達の野口先生にもおいでをいただきまして,その薀蓄を語っていただき,また,衛生学の山本先生からは衛生学的な立場からいろいろご批判をいただきたいと思います。そしてまた,メーカーという立場から寿商店の杉さんにもおいでいただきましたので,われわれとしては非常に便利だと考えても,そういうのはメーカーという立場からいったらできないとか,あるいはそれはコストが高すぎて,おそらく日本では実現不可能であるというようなことなど,ご意見がおありかと思いますので,そういったことなどについてお話ししていただきたいと思います。

研究

副腎皮質予備能検査について(2)—ACTH-Z test

著者: 武内和之 ,   渡辺富久子 ,   田中冨美子 ,   上田昭栄

ページ範囲:P.725 - P.728

 下垂体副腎系の機能検査法は近年特に注目され,尿中・血中の副腎皮質ホルモンの測定法も進歩し,各検査室においてこれらの測定が実施されているが,副腎皮質機能検査としては,分泌量と同時に向腺ホルモン,すなわちACTHによる副腎の予備能を検索することが最も重要であり,前回でも述べたようにThorn's testは短時間において簡単に実施できる検査法として,その価値が認められている。しかし,ACTH25単位1回筋注のみでは充分に副腎が賦活されない場合があること,さらに好酸球数は前回に述べたごとく日によってその変動も左右される。実際尿中あるいは血中17-OHCSの消長と好酸球数変動は平行しない場合も多い。そこでさらに詳細に副腎皮質の予備能を判定するためにACTH反覆筋注法1),ACTH点滴静注法2)または持続性製剤を用いる方法3)4)が提唱されている。持続性製剤としてはACTH-GelまたはACTH-Z5)8)があげられる。
 私どもはACTH-Z 20単位を投与し,その後の好酸球数変動にあわせて,血中ならびに尿中17-OHCS値の変動を経時的に追求し,日常検査として比較的容易に実施しうるACTH-Z 20単位1回筋注法を確立したので,それを紹介するとともに諸家の御批判を仰ぎたいと思う。

臨床病理2級試験から受験者のために—テクニックの批評と指導

著者: 木村義民 ,   橋本敬祐 ,   阿南功一 ,   天木一太 ,   鈴木秀郎 ,   小池繁夫 ,   長尾透 ,   江部充

ページ範囲:P.731 - P.743

 2級臨床病理技術士の資格認定試験は今夏で早くも8回を数えましたが,年ごとに盛んとなり,その意義をますます深めておりますことはまことに喜ばしいことです。本誌では今年もすでに合格者氏名(第9号),模範解答と講評(第10号)を掲載してきましたが,さらに初めての試みとして実地試験における実技の批評とりあげました。毎年同じような技術的失敗をして不合格となる受験者が多い現状から,それぞれの専門の先生方にテクニックの誤りやすい点,注意の足りない点など受験者のウィークポイントを指摘していただき,かつ,これに対する今後の心構え等を具体的に解説指導していただきました。受験を志す方にはもちろん,すでに合格された方にも参考となれば幸いです。

海外だより

アメリカの検査室での勤務

著者: 寺村公子

ページ範囲:P.745 - P.745

第1便(9月17日)
 1961年4月13日,Mount Sinai Hospitalにtraineeとして就職した。
 この病院はresearchの病院として有名なだけに,中央検査室としての運営はかなりまとまっており,24時間制なのでevening technician(3:30pm〜12:00mn),night technician(12:00mn〜8:30am),cail technician(5:00pm〜8:30am)がきちんと配置され,その他2,3人のrotating technicianが忙しい検査室を応援に行けるようになっている。普通のテクニシャンは8時半から5時までが勤務であるが,皆が出勤する前に検体が検査室に届けられているように採血チームというのがある。ほとんどの日本の病院は検査の採血はドクターかナースが行なっているが,ここではテクニシャンがあらゆる検査の採血(ただし血算の採血は指からなので別)を行ない,他の職員が8時半に出勤して来たときにはすぐに検査に取りかかれるように血液が用意されているわけで,日本のように朝は検体係というような人をむだに使おないいかにもアメリカ的なやり方だが,日本でもこの制度をまねて仕事の能率を計るべきだと思う。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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