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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査5巻12号

1961年12月発行

雑誌目次

グラフ

血液型の判定

著者: 村上省三

ページ範囲:P.749 - P.756

ABO式血液型判定に必要なもの

技術解説

血液型判定と交差適合試験

著者: 村上省三

ページ範囲:P.757 - P.762

 本項に関してはすでに数多くの記述があり,またここにとりあげるのは屋上屋をかする趣きがあるので,ここでは術式そのものよりも,実施に際しての注意事項に,より重点をおいて解説する。

ビオテスト,レディ・ディスクによる細菌の生化学的性状検査—その理論と実際

著者: 坂崎利一

ページ範囲:P.765 - P.770

 菌の生化学的性状検査の簡易化がもっとも強く要望されたのは腸内細菌においてである。というのは,多くの一般病原細菌では通常その形態学的および培養上の特性によって何菌であるかほぼ判定できるのに対し,腸内細菌においてはほとんどの場合,生化学的性状によらなければ確実な同定ができず,しかもそれらは日常の細菌検査でもっともしばしば遭遇するものだからである。チフス症,赤痢などの発生に際してはなるべくすみやかな治療と防疫処置がとられなければならないが,その診断の基礎となる細菌検査において,正規の方法で分離から同定までおこなっているのでは,最少限4日を必要とし,緊急の用にはたたない。このために,いかにしてその過程を短縮し,かつ確実にシゲラおよびサルモネラを摘発できるかという点に,この20数年来多くの学者の研究が集中され,かずかずの方法が考えだされた。現在常用されているクリグラの培地,TSI培地,SIM培地などはその結果として生まれたものである。
 細菌検査におけるもう一つの問題は培地である。最近における乾燥培地のいちじるしい発達と普及は,細菌学研究室あるいは検査室の手数を軽減したとはいえ,まだ臨床検査室の実情に即しているとはいえない。乾燥培地がいかに便利なものであっても,1mlの培地が必要なときにも最少限100mlを単位としてつくらなければならず,残りは保存中に雑菌がはいったり,水分がなくなったりして使用できなくなることがしばしばある。

心電計のあつかい方(2)

著者: 長尾透

ページ範囲:P.773 - P.780

II.記録した心電図の整理
 記録した心電図はクルクルと巻いて引き出しの中に入れるということはせず,必ず整理する必要がある。廃物利用としては,レントゲンフィルムをはさんである青い紙などに,のりで各誘導ごとにはりつける。また,少し厚手の紙に記入すべき項目を印刷し,その裏面にはってもよい。第27図のような台紙にはさむのが,手数がいちばん省ける。

現像の知識(2)

著者: 宮本五郎

ページ範囲:P.783 - P.791

5.現像用薬品
 現像用薬品としては現像に主として関与する現像主薬と,これら現像主薬の働きを順調に進行させるための現像補助薬とがあげられる。

座談会

輸血をめぐって

著者: 村上省三 ,   天木一太 ,   臼井美津子 ,   竹内直子 ,   山崎友久 ,   樫田良精 ,   松村義寛 ,   高橋昭三 ,   松橋直

ページ範囲:P.794 - P.809

 司会 本日はお忙しいところをお集り頂きまして,ありがとうございました。最近女子医大でお2人のRh陰性の方の大きな手術がありまして,そのため大量の輸血をしなければならないようなことが起こりまして,それがきっかけとなり,日本の供血制度とか,あるいは血液型,ことにRhは常に判定しておかなければならないというような問題が大きくクローズアップされております。
 これはわれわれ医学に,ことに医学技術にたずさわっているものにとってはまことに大切な問題であると思いますので,きょうは,日赤輸血研究所の村上先生,都衛生局の山崎薬務部長,ならびに技術者として東大血清の臼井さん,虎の門病院の竹内さんにおいでいただきまして,いろいろな立場から検討していただきたいと思います。

医学常識

臨床に必要な血液型の知識

著者: 国行昌頼

ページ範囲:P.813 - P.816

はじめに
 ヒトの血液型はABO式をはじめ,すでに40種類にちかいかずが発見されているが,しかし今日の血液型の問題は,このような数多くの血液型をたんに分類的にとらえるだけでは充分とはいえない。
 1940年におけるLandsteinerならびにWienerによるRh-Hr式血液型の発見は,それまでのいわば古典的血液型における分類学的性格のからをぬけでて,その焦点を「抗体のあり方」を中心とした免疫化学的なものに発展させた。

私の失敗

パスを含有する尿のビリルビン検査

著者: 萩原啓司

ページ範囲:P.816 - P.816

 先日当所のある病棟から新鮮尿が提出された。一見して胆汁尿と思える色調を呈し,泡沫も黄染されていた。よい教材とばかりちょうど実習に来ていた高看学生を呼んで尿のビリルビン検出法等について述べた後,鮮明な緑色輪を生じ,強陽性(以下緑色輪の発現するものを陽性,出ないものを陰性とよぶ)を呈するものと思って希釈ヨードチンキを重層したが,予想に反し緑色輪はおろか境界面になんの変化も現れない。あわててGmelin試薬を新調して検したが判然としない。この2法で検査した限りでは陰性のごとく思えた。試みに過塩素酸(60%HClO44)を用いたら弱陽性を示したので,薬物等による類似の着色か,あるいは反応妨害物が存在するのか,いろいろ調べたところパスを検出した。(あとで病棟に問い合わせて確認。同時に黄疸が出たため当日昼からパス服用を中止したことも知る。)翌日再提出された尿ではRosin法,Gmelin法ともに強陽性を呈した。そこで同尿にパスを添加(1g/dlのパスナトリウム溶液0.5mlを被検尿3mlに加えた。)したものについて行なった結果は,Rosin法陰性,Gmelin法微弱陽性,過塩素酸を加えたものは弱陽性を示した。また1鋭敏な法といわれているHarrison法,Watson-Hawkinson法等は試薬中に含まれるFeCl3とパスが反応して判定不能であった。
以上パスを含有する尿のビリルビンの検出に困難でことに最も簡便な方法としてよく用いられるRosinヨードチンキ法は全く不適であり,過塩素酸を用いることによりある程度検出できるように思った。

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「臨床検査」 第5巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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