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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査5巻7号

1961年07月発行

雑誌目次

グラフ

身近かなガラス細工

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.403 - P.410

管や棒の切断
 1)ヤスリの角度は大切である。かならず一方向にのみ用いる。往復させてはいけない。ノコギリのように往復させると,ヤスリが傷んで寿命が短かくなる。
 2)ヤスリの引き終わり:できるなら一気にキズをつけるが,おおよそ円周の1/4程度まで左手で管や棒をまわしながらつける。

技術解説

直記式記録装置の扱い方

著者: 長尾透

ページ範囲:P.411 - P.418

I.いとぐち
 記録装置というのは,生理学的現象を観察するために,ある時間内,現象の変化を描写追究する装置である。
 記録する方式から分類すれば,直記式と写真式とに分けられるが,ここでは直記式記録装置について,その実際の扱い方を具体的に述べて見たい。

組織内の細菌染色

著者: 影山圭三 ,   戸沢秀樹

ページ範囲:P.421 - P.428

§はじめに
 組織内の菌染色は,塗抹標本のそれと同一原則で行われるが,組織が共染されやすく,その上貼布した標本がはがれやすいことなどから,一般には,細心の注意が必要とされるが,その要領を心得てしまえば,左程のことはない。脂肪染色の項で述べたように,要は反覆練習することにより,技術を身につけることである。
 以下に,一般菌染色,真菌,好酸菌,ブルセラ菌,スピロヘーターなど代表的な染色法を略説するが,染め上りは,各人の好みも関係するので,各々がもつとも好きなものを常用するのがよかろう。

濾紙電気泳動法の実際(5)—複合蛋白分画法(その2)—糖蛋白—

著者: 伊藤斉

ページ範囲:P.431 - P.437

1.血清糖蛋白について
 前回は血清脂蛋白の話をして,血中の脂質は血清蛋白と結合して脂蛋白(Lipoprotein)を形成して居り,電気泳動法により分画されることを述べたが,これと同じように,血中の多糖類も,蛋白と結合した状態で存在する。
 これを一般的には糖蛋白(Glycoprotein)と呼んでいる。

座談会

細菌検査の諸問題

著者: 小酒井望 ,   桑原章吾 ,   小張一峰 ,   樫田良精 ,   天木一太 ,   高橋昭三

ページ範囲:P.438 - P.448

 高橋 きようは「細菌検査の諸問題」という大きなテーマでいろいろな話しを伺いたいと思います。
 臨床検査の部門での細菌検査というのはほかの検査とくらべてちよつと違うところがあるように考えております。一つは細菌検査室というものの性格なんですが,技術者が材料を受け取つてから結果の判定までを行なうというところであります。しかもそこで判定されたものがそのまま報告され,この検査に限り病名が,検出された菌だけで決定することがあるということです。似たような菌の中から特定の菌だけを目安にして,仕事をしていくということが多いのも特色の一つといえます。また出た答を報告する場台に受け取る方が主治医でして必ずしも細菌の専門家でございませんので,報告の書き方もいろいろあろうかと存じます。それで,検査室の責任の限界報告の出し方などについて,まず,小酒井先生大づかみにお話して載けませんか。

研究

血清クレアチニンの微量定量(有機分析第32報)

著者: 百瀬勉 ,   向井良子

ページ範囲:P.451 - P.454

 血清中のクレアチニンを定量するにはピクリン酸とアルカリにより橙赤色を呈するJaffeの反応1)を利用し比色する2)のが普通である。この呈色反応はいわゆる活性メチレンの反応3)と考えられており,クレアチニンがピクリン酸と縮合し,次のようなキノイドイオンができて発色するものとされている4)
 この反応はきわめて鋭敏であつて,肉眼での確認限度は1滴中約0.02γである。クレアチニンはこのほかの活性メチレン試薬たとえば3,5—ジニトロサリチル酸,1,3,5—トリニトロベンゼン,あるいは1,2—ナフトキノン−4—スルホン酸カリウムとアルカリによつても呈色するが,いずれも呈色はピクリン酸よりも弱く,現在のところこれに勝る試薬は発見されていない。

細菌感受性試験剤—感受性ディスクによる結核菌の耐性試験について

著者: 斉藤直治

ページ範囲:P.455 - P.459

はじめに
 抗生物質の発見以来結核患者に対する化学療法は,長足の進歩を遂げ,結核の撲滅に大いなる貢献を果したことは今更論をまたないところであるが,爾来次第に薬剤に対する「いわゆる耐性菌」の出現が大きな問題となり,種々の薬剤の併用が試みられている現在,これら薬剤個々の耐性を検査することが,一部の機関,あるいは大病院等を除いては実施されていないものと思われる。ことに吾人のような中小病院の検査室においては,抵抗性培地は勿論分離培地においてもすべて市販品を使用しており,耐性検査は従来通り,SM,PAS,INAHおよびTB1のみで,特に前三者の併用検査のみが常用されている。かように種々の薬剤が併用されている現在,耐性検査の面においては跛行的存在であることは,誠に遺憾に堪えない。
 この時にあたり現有材料によつて何分概略的でも,各種使用薬剤に対する耐性検査を実施したいと思い,本年1月より一般細菌感受性試験剤であるディスクを使用して見たのであるが,誠に興味ある結果を得たのでここに報告し,一般の追試を願うとともに,諸賢の御批判を乞う次第である。

国家試験と臨床病理技術士試験に対する疑問と解説

ページ範囲:P.461 - P.462

 質問 私は毎月「臨床検査法」を読んでいるうちに一つの疑問にぶつかつて来ました。それは国家試験と臨床病理学会の行つておる試験について大きな不安を覚えてきたのです。
 何故ならば"臨床検査"は非常に臨床病理技術士試験にウエイトをおいているからです。

私の工夫

恒温・熱風器の考案

著者: 大竹敬二

ページ範囲:P.463 - P.464

 最近臨床検査室において,新しい検査器械の出現で私達もエレクトロニクスにたよる傾向がきわめて強くなつてきた。しかし,一台何万といわれる程の高値な器械が多く,一般検査室,研究室,開業医等では新しい器械を一度に全部揃えることもできず,年々購入して充実を図つている。そこでなんとか一台で数多くの検査,研究に便利に使用てきる器械には,種々研究検査討の結果,恒温・熱風器,なる物を考案,2年あまり日常検査に使用し,きわめて能率的に使用しているので,ここに発表し諸先生方の御批判をあおぎたい。
 この恒温・熱風器は,室温速時乾燥,定温速時乾燥,高温速時乾燥,速温恒温槽,パラフィン伸展,保温室と6種類に使用でき,血液部門を初めとして,化学,血清病理,細菌,研究部門と応用できる。

私の失敗

凝固滅菌—小川培地を調製する際の失敗の経験

著者: 中西寛治

ページ範囲:P.465 - P.466

I.まえがき
 私,結核にタッチする機会が今までなく,小川培地を調製する際,最後の凝固滅菌の段階で失敗に終り,いろいろ考えまた専門書を紐解き,小川培地は転がらないように固定して凝固滅菌しなければ駄目だという大きな失敗をしました。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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