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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査5巻9号

1961年09月発行

雑誌目次

カラー口絵

スポット・テスト法による尿定性検査

著者: 丹羽正治 ,   永島慶子 ,   渡部敏子 ,   欠畑典子

ページ範囲:P.539 - P.540

 原色図の色は実際とは多少異なっている。正しい色は本文記載(45頁参照)の要領で呈色,観察されたい。

グラフ

ウサギの免疫

著者: 木村一郎

ページ範囲:P.541 - P.548

A免疫に用いる各種の注射器と注射針

技術解説

動物の免疫のしかた

著者: 木村一郎

ページ範囲:P.549 - P.553

〔I〕はじめに
 血清学的方法は化学的に検出できない程の微量の抗原を特異的に鋭敏に検出できるので血清学的診断法,高分子化合物の研究の有力な武器である。しかし,それには特異性が高く力価の強い抗血清を得ることが先決問題であるが,免疫法の組織的な研究は少く,各研究室,各人がそれぞれの経験的な方法を用いている現状である。そこで免疫に際し留意すべき一般的な事項と共に,比較的よく用いられている方法の技術的な面を述べてみたい。

結核菌の迅速耐性検査の手技

著者: 小川辰次 ,   斎藤直蔵

ページ範囲:P.555 - P.557

まえがき
 結核症の化学療法に,結核菌の耐性検査を必要としないと考えている外国の学者もあるが,わが国では,耐性検査を実施して化学療法を行う事に一致している。投与前には,化学療法剤の選択の為に,投与中には耐性の上昇をコントロールする為に,投与後は,今後の化学療法の方針をきめる為に,実施される事が望ましい。ところで結核菌以外の一般細菌では,耐性検査は,2〜3日中に完了するから,その成績を直ちに臨床の上に反映させる事が可能であるが,結核菌の耐性検査は直接法が約1カ月,間接法ともなれば2カ月もの長期を要する。この点は現在使用されている耐性検査法の大きな悩みである。しかし耐性の検査を早く完了してもらいたいといつた要求は最近余り聞かない。結核症のテンポがおそいから,そう急いでやる必要がないと云うのか。そうではない。結核症は慢性疾患であるとは云え,早期診断,早期治療は結核症における常識である。したがつて結核症においても可及的に判定して臨床に応用する事は,当然であろう。それなら何故,迅速耐性検査の要求が少いのであろうか。それは一つには,耐性の検査の成績がわからなくとも,2剤,あるいは3剤の併用療法をやつておけば,1剤あるいは2剤に耐性であつても,残りの1剤あるいは2剤に効果が期待できるし,たとえそれが当らなくとも,結核症では,安静だけでもある程度の症状は消失する。

ペルオキシダーゼ染色の実際

著者: 鈴木保

ページ範囲:P.559 - P.559

銅法原法:佐藤関谷氏法
試薬第1液0.5%硫酸銅溶液
第2液乳鉢の中で「ベンチジン」を水と擦り混ぜながら,0.1%の「ベンチジン」水溶液を作り,その濾過液100ccに3%過酸化水素水を2滴入れる。(併し,現在原法第2液と称しているもめは濾過せずに3%過酸化水素水を加え,使用時にも濾過しない)。

座談会

血液凝固検査のすすめ方

著者: 安部英 ,   福武勝博 ,   山下行子 ,   樫田良精 ,   松橋直 ,   天木一太

ページ範囲:P.560 - P.575

 司会(天木)それでは始めさせて頂きます。今日は血液凝固検査のすすめ方という題で,安部先生と福武先生にお話を伺うことになつております。凝固の検査というと,非常に難しいという感じが先ずさきにたちまして,専門家でないとなかなかとつつきにくい。この方面の大家である加藤勝治先生が,あるとき,血液凝固学というものは専門家以外には,ギリシャ語のように難しい,と言われたことがありますがその通りだと思います。しかし凝固の検査というものは,非常に必要なものですし,殊に外科方面で手術する場合などには,出血性素因を知らずに手術して事故を起こしたということも聞いておりますし,それから日本では凝固の異常というものが,割に少ないかと思つておりましたのですけれども,最近はそう重症ではないけれども,かなり日本人にもあるということがいわれておりますし,今後この方面の検査は今よりも遙かに普及して行かなければいけない検査と思いますので,今日は一つできるだけやさしく門外漢にでも分かりますように御説明を頂きたいと思います。

検査室紹介

北大附属病院中央検査部試薬検査室

著者: 伊在井康子

ページ範囲:P.577 - P.579

 北大付属病院の中央検査部は,14部門に分れている。生化学,電解質,内分泌,細菌,血液,血清,一般,基礎代謝,呼吸機能,病理組織,脳波,心電図,筋電図及び〃試薬検査室〃である。各部門の専任技術員は1名か2名で,試薬検査室は1名薬剤師である。これは,現在行つている仕事の内容からみて試薬調製室と称するのが,妥当と思われる。
 仕事は,試薬の管理及び,試薬の調製,精製に分けられる。中央検査部で使用する試薬培地,血清の類はすべて試薬検査室を通じて薬局事務に請求され,入荷したものは記帳され,必要のある部門へ渡すシステムになつている。これが管理であるが,仕事全体からみると,あまり大きな部分は,しめていない。

研究

スポット・テスト法による尿定性検査の検討

著者: 丹羽正治 ,   永島慶子 ,   渡部敏子 ,   欠畑典子

ページ範囲:P.581 - P.586

 尿の定性検査は患者の診断を下す上に最も大切な検査の一つとして以前から一般に広く実施されていた事は周知の通りである。然しその検査方法は各種の定量検査方法の急激な発展に較べて著しく立ち遅れており,各施設で現在広く使われているものは恐らく数十年前のそれと大して変つていないものと思われる。この事はこの種の検査が低級なものと見做され,「高級」な検査に従事している人々に軽視されていた為と考えられる。然し乍ら現在各施設の検査室で行われている検査件数の半数以上はこの種の検査によつて占められており1),また最近の臨床検査の発展に伴つてその絶対件数も急激に増加しているためどの施設に於てもその能率的処理に悩んで居る事であろう。即ち尿定性検査を低級視してその検査方法の改良を怠つた報を現在受けていると言えるであろう。
 この時に当つて尿定性検査を能率化して大量の検体処理を可能にするため,試験紙,錠剤或はアンプレ入り試薬などの市販品を使つて検査方法を改良することも行われており,それに関する文献も一括表記されている2)。また細長い濾紙に使用試薬を滲み込ませておき,その上に尿を次々と滴下して検査することも記載されている3)。これらの方法はいずれも尿定性検査を能率化するに適切なものと思われるが,それらに対して筆者の経験は乏しい。

定量的尿培養法の検討

著者: 井村棲梧 ,   高杉昌幸 ,   天児和暢 ,   吉川和

ページ範囲:P.589 - P.594

1.はじめに
 欧米では近年,剖検例の6〜20%に腎盂腎炎が見られると報告され,臨床的にも尿路の感染症は上気道感染と並んで頻度の高いものであると言われている。従来,尿の細菌学的検査には,カテーテル尿の培養,沈渣の塗抹染色,塗抹培養などが行われてきた。しかし尿道の先端から2〜3cmの間は正常でも細菌が存在すると言われており,外陰部を充分に消毒し,カテーテルで採尿しても細菌の混入は避けられない。そこでこれらの汚染による結果を除外することができて信頼度が高く,簡単に実施できる方法として定量的な尿細菌培養が行われるようになつた。
 そこでこの定量的細菌培養について,採尿方法,培養方法について検討を加え,若干の知見を得たので報告する。

虎の門病院における基礎代謝率測定の統計的吟味

著者: 江部充 ,   三上智久 ,   勝山幹子 ,   外丸弘子 ,   見形依久子 ,   三平征子 ,   埋田信子

ページ範囲:P.597 - P.599

 日常臨床検査に従事する者は正しい結果を出すために努力すると共に,被検者に必要以上の生理的負担をかけないように心掛けなければならない。しかしながら基礎代謝率(BMR)の測定は被検者自身の生理的条件による1変動と測定方法,装置及び検者の技術の巧拙によりかなりの範囲に測定値が分散するため同一被検者について同時に繰返し測定を行うことが必要とされている。
 我々は最近2年間虎の門病院臨床生理検査室において測定した627例につき統計的に測定値の吟味を行つた。

私の工夫

インク染色による直接塗抹検便法

著者: 松下正一

ページ範囲:P.599 - P.599

 一般に直接塗抹検便法による虫卵検出は,糞便を生理的食塩水又は常水でまぜあわせ,鏡検を行つているが,塗抹の厚さや視野の明るさにより,虫卵の判別が困難な場合がある。寄生虫卵の染色し難い性質を利用して,私は常水のかわりにインキ稀釈液を使用して鏡検を行い,良い成績を上げている。即ち,市販のインクを直接使用すると濃く染まつて鏡検に不適当のため,常水にて5倍に稀釈したものを使用して,塗抹標本を作成し,鏡検の際には,コンデンサーを開いて視野を明るくして検索を行う。
 糞便成分はインクにより,青色に染まるものと染まらないものがあるが,鉤虫,蛔虫受精卵等は染色し難いので,周囲の青く染まつた部分より浮き出て卵殻がはつきりと見え,又その内容物も良く判別出来る。蛋白膜を持つ蛔虫受精卵,不受精卵では,卵殻の附着物は染まるがその内容物は染まらないので,他の類似雑夾物との見分けが簡単である。黄褐色の鞭虫等は周囲の青色とのコントラストがよいので判別しやすい。

私の失敗

O—アミノジフェニルの不良品

著者: 北村元仕 ,   有松芳子 ,   山崎京子

ページ範囲:P.601 - P.601

 血糖の定量にO—アミノジフエニル法(柴田変法)1)を導入してから能率ががぜん上昇した。操作が1段階で何より簡単であるし,はじめて作つた検量線にして胸のすくような直線性と良好な再現性である。まれにでる混濁や調製したての試薬が使えないなどの問題があるが,それらにもまして本法の簡易性はその価値を決定づけ,検査の要求も能率化に応じて著増した。
そんなある日,異変がおこつた。呈色調が一様に低いのである。ブドウ糖標準液の吸光度も弱い。検量線は引けるけれども,色調が黄緑色でなくむしろ黄橙色である。試みに,濃厚なブドウ糖液(1,000/dl)で発色させると濃い橙褐色。明らかに,O—アミノジフエニルの反応ではない!

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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