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雑誌目次

論文

臨床検査57巻8号

2013年08月発行

雑誌目次

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開

著者: 伊藤喜久

ページ範囲:P.829 - P.829

 特定健診・特定保健指導はメタボリック症候群を早期に発見,予防を図り広く国民の健康増進,維持を図る保健制度の1つです.特定健診はアンケート調査,身体計測,関連検体検査,生理機能検査から成り,正確な診断から保健指導に至るまで臨床検査は中心的な役割を担っています.とりわけ測定標準化の推進が,現場での実効性の大きな鍵を握っているといっても過言ではありません.本特集では,まず特定健診の概要をご理解いただき,さらに代表的な関連項目について,測定標準化の置かれた現状と問題点,さらに解決へ向けての最新の取り組みを各専門領域からご紹介いたします.

特定健診の現状と将来展望

著者: 渡辺清明

ページ範囲:P.830 - P.835

■特定健診は生活習慣病の予防のために5年前から行われている医療制度であり,臨床検査は健診項目の中核をなしている.

■現在の実施率は約45%で半分にも満たないのが最大の課題である.

■2013年4月に見直しが行われ,新たに健診プログラムの改変がなされ,課題改善策がとられた.

■生活習慣病は国民の死因の3分の1を占めるので,特定健診の国民一人一人への十分な理解が健康推進に大変重要である.

HbA1c,血糖測定の標準化

著者: 桑克彦

ページ範囲:P.836 - P.844

■日常診療および健診などで用いるHbA1cは,従来のJDS値から日常診療の場で国際的に用いているNGSP値に移行した.

■NGSP値は,NGSP認証を受けた日常検査用の測定システムを用い,これらの測定システムについての技能試験が毎年実施される.

■日常検査に用いるNGSP値の校正基準は,新ロットのJCCRM 411-3(JDS Lot 5)が設定され,国際的に用いることができる.

■日常検査に用いるGLU値の校正基準は,JCCRM 521である.

脂質測定法の標準化

著者: 三井田孝 ,   平山哲

ページ範囲:P.845 - P.851

■LDL-C直接法の試薬には,キットによる明らかな性能の差がある.

■大部分のLDL-C直接法では食後検体の影響は少ないが,試薬によって高トリグリセライド(TG)血症の影響を受ける.

■HDL-C直接法の標準化は,LDL-C直接法より進んでいる.

■TGの標準化のために,測定対象を何にすべきか議論が必要である.

AST,ALT,γ-GT測定の標準化

著者: 山舘周恒

ページ範囲:P.852 - P.858

■特定健診における臨床検査データは,厚生労働省の定めた保健指導プログラムに基づいて階層化が行われているが,この一律の層別化は臨床検査データの共有化のうえに成り立っている.

■酵素項目であるAST,ALT,γ-GTの測定データの共有化には,標準化された測定法と標準物質からなるトレーサビリティ体系に沿った日常測定の実践が重要である.

■トレーサビリティは国際的視野でなされるべきものであることから,今後,ASTとALTのJSCC常用基準法についてはIFCC法との相違点を解決していく必要がある.

尿試験紙検査の標準化

著者: 菊池春人

ページ範囲:P.859 - P.862

■特定健康診査のなかで尿検査項目は蛋白とブドウ糖であり,試験紙で検査される.

■この2項目については,「尿試験紙検査法」JCCLS提案指針(追補版,2004年)によって1+の濃度がそれぞれ30mg/dL,100mg/dLと規定され,現在の国内の試験紙はこれに従っている.

■しかし,その上限,下限の濃度,他のランクの濃度については,特にブドウ糖で試験紙の間でかなり異なっている.

■日本臨床検査標準協議会(JCCLS)尿検査標準化委員会では標準物質,標準測定法を定めてさらなる標準化を目指しているが,溶媒の問題が障害となっている.

尿アルブミン免疫学的測定法の標準化

著者: 伊藤喜久

ページ範囲:P.863 - P.867

■尿アルブミン測定では,検体保存,採取保存法,測定システムなど全ての検査過程からの影響因子を念頭におくことが大切である.

■遺伝子組み換え体による一次標準物質候補の作製,LC-MS/MS法による最上位のレファランス測定システムの構築が進められている.

■LC-MS/MS法は測定感度,再現性においてさらなる技術向上が必要で,費用面も含め現時点での日常検査への利用には限界がある.

今月の特集2 輸血関連副作用

著者: 山田俊幸

ページ範囲:P.869 - P.869

 本特集は,輸血検査から少し離れている方々を想定して,輸血副作用の現状を理解していただくため企画しました.輸血の副作用といいますと,不適合輸血による溶血性副作用や血液を介する感染症がまず思い浮かびます.それらは検査の進歩と関連職種の努力により,かなり予防できるレベルになった印象があります.最近は,肺障害など他の副作用が注目されてきています.そのあたりをまず総論的に,次に各論的に執筆していただきました.また,輸血を担当する検査技師は,血液型の検査だけでなく,輸血療法全体の支援として副作用のチェックにも関与が求められる傾向にあります.その取り組みを最後に紹介いただきました.

輸血関連副作用の最近の考え方

著者: 田崎哲典

ページ範囲:P.870 - P.875

■近年,輸血関連急性肺障害(TRALI)などの免疫学的な副作用の重要性が強調されているが,新興感染症も含め,血液製剤に潜む微生物の伝播が重要な問題であることに変わりはない.

■輸血は必要最少量とすべきであるが,その前に,輸血をしないという選択肢を再考すべきである.

■ヘモビジランスによる輸血関連副作用の情報の共有化は,再発や拡大防止に有効と考えられているが,さらに輸血医療全般の改善にもつながると期待されている.

■生物由来製品による被害は完全には防ぎえず,生物由来製品感染等被害救済制度で補償されるが,適正使用が救済の条件であることを認識すべきである.

溶血性輸血副作用

著者: 小嶋俊介 ,   石川伸介 ,   竹村佳代 ,   遠山美里 ,   下平滋隆

ページ範囲:P.876 - P.883

■溶血性輸血副作用(HTR)とは,赤血球輸血後に患者体内での免疫学的機序により引き起こされる溶血反応の総称である.

■HTRは,ABO不適合輸血により輸血後24時間以内に生じる急性溶血性輸血副作用(AHTR)と,不規則抗体の二次免疫応答により輸血後24時間以降に生じる遅発性溶血性輸血副作用(DHTR)とに大別される.

■輸血に関連した有害事象のうちでインシデントとニアミスの結果起こるHTRを防止する必要がある.

輸血による感染症

著者: 紀野修一

ページ範囲:P.884 - P.892

■東大分院輸血梅毒事件,ライシャワー事件(輸血後肝炎),凝固因子製剤によるHIV感染により,輸血感染症対策は進歩した.

■地球規模の気候変化,生活環境の変化,高速移動手段の発達に伴い,ウエストナイルウイルス,デングウイルス,チクングニアウイルスなどが輸血感染症の原因となる可能性がある.

■輸血前検体保管は輸血による感染か否かを確認するうえで非常に重要である.また,輸血前検査が行われていない感染症,輸入感染症,未知の病原体に対する輸血感染症などの原因究明にも有用である.

■輸血による感染症伝播リスクを低減するためには,輸血用血液製剤の安全性を向上させるとともに,血液製剤の使用現場における対策も重要である.今後,患者中心の輸血医療(PBM)の普及が望まれる.

輸血関連急性肺障害

著者: 藤井康彦

ページ範囲:P.893 - P.898

■輸血関連急性肺障害(TRALI)は急性肺障害(損傷)/急性呼吸窮迫(促進)症候群(ALI/ARDS)の概念に含まれる非心原性肺水腫である.

■非心原性肺水腫は輸血以外の原因で起こることが圧倒的に多い.

■TRALIは輸血以外の原因によるALI/ARDSに比較して,早期に発症するが,回復は早く,死亡率が低い.

■輸血による心原性肺水腫である輸血関連循環過負荷(TACO)との鑑別診断がしばしば問題となる.

輸血後GVHD

著者: 浅井隆善

ページ範囲:P.899 - P.904

■輸血後GVHDは重篤であることから,全ての輸血に際して,放射線照射による予防が必要である.

■緊急輸血に備えて,常に照射済み血液が使用できるように,院内体制を整備しておく必要がある.

■同種血の院内採血は極力回避すべきであり,未照射での院内採血輸血をしてはならない.

■放射線照射済み赤血球製剤では上清のカリウム値が上昇しやすいことに注意が必要である.輸血速度の調整などで影響を回避できることが多いが,必要があればカリウム除去フィルター使用を考慮する.

アレルギー性輸血副作用

著者: 梶原道子

ページ範囲:P.905 - P.910

■アレルギー性副作用は最も頻度の高い輸血副作用である.

■原因抗原は特定できないことも多いが,反復する場合や重症の場合は精査を行う.

■トリプターゼ測定はアレルギー性副作用の診断に役立つ.

■治療には抗ヒスタミン薬,ヒドロコルチゾン,アナフィラキシーの場合はエピネフリンを用いる.

■アレルギー性輸血副作用を反復する症例では,洗浄赤血球液,洗浄・置換血小板を使用する.

輸血検査技師の取り組み

著者: 寺内純一

ページ範囲:P.911 - P.917

■輸血用血液製剤および血漿分画製剤などは,ヒトの血液を原料としているため,感染症の危険性をはじめとした輸血に伴う副作用・感染症のリスクが存在する.

■輸血用血液製剤を輸血する際にはその必要性,危険性などについて文書による説明を行い,同意書を残すことが必要がある.

■輸血の安全性を高めるためには副作用報告,遡及調査は重要である.

■輸血後感染症検査のお知らせを患者へ発送することなどを検討し,その検査実施率を上げることに努める必要がある.

表紙の裏話

耳の中のアンプ,血管条辺縁細胞の機能を探る

著者: 山地真裕美 ,   安藤元紀

ページ範囲:P.828 - P.828

 音が聴こえるとはどういうことか.音,すなわち空気の振動は,外耳道を通って鼓膜を振動させ,中耳の耳小骨を介してリンパ液で満たされた内耳に伝わる.こうして空気の振動がリンパ液の振動に変換される.リンパ液の振動は内耳の基底板を揺らして,その刺激により音受容器である有毛細胞のイオンチャネル(イオンの通り道)が開き,+の電荷を帯びたK(カリウム)イオンが細胞内に流入することで電流が生じる.この電気信号が神経を介して“音”として認識される.

 有毛細胞がその機能を最大限に発揮する“場”を作るのが,内耳蝸牛内の血管条組織である.筆者らが研究対象としているのはこの組織の辺縁細胞と呼ばれる上皮細胞で,内リンパ液で満たされた内リンパ腔に面し,その名のとおり“縁”に位置している.この細胞が聴覚機能の場を作るのに中心的な役割を果たしている.今回の表紙をご覧になって,変わった形の細胞だと思われたであろう.辺縁細胞は,内リンパ液に接する部分は平らである一方,その反対側は細胞膜が高度に折れたたまれた構造をしている.この折れたたまりは表面積を増大させるための工夫であり,その表面に埋め込まれたたくさんのイオンポンプが,せっせとKイオンを内リンパ腔に向けてくみ上げている.そのKイオンを有毛細胞が利用して電気信号を発生させる.

Advanced Practice

問題編/解答・解説編

ページ範囲:P.918 - P.918

「Advanced Practice」では,臨床検査を6分野に分け,各分野のスペシャリストの先生方から,実践的な問題を出題いただきます.

知識の整理や認定技師試験対策にお役立てください.

異常値をひもとく・8

血栓症が強く疑われた患者において発見された異常フィブリノゲン血症ヘテロ患者,fibrinogen Hamamatsu Ⅱの機能解析

著者: 竹澤由夏 ,   寺澤文子 ,   奥村伸生

ページ範囲:P.919 - P.925

はじめに

 フィブリノゲン(fibrinogen;Fbg)は,血液凝固カスケードの最終段階でトロンビンの作用によりフィブリン(fibrin;Fbn)に変化し止血に関与する分子量340kDaの糖蛋白であり,健常人血漿中には180~350mg/dL存在する.Fbgは肝細胞において,Aα鎖(アミノ酸数610個,分子量67kDa),Bβ鎖(461個,56kDa),γ鎖(411個,47.5kDa)の3種のポリペプチドとして合成されたものが,S-S結合により(Aα・Bβ・γ)複合体となり,それらがさらにN末端領域のS-S結合により2量体(Aα・Bβ・γ)2に組み立てられ肝細胞から分泌される.これらAα鎖・Bβ鎖・γ鎖をコードするFbg遺伝子は第4染色体長腕に存在している.Fbg分子は3つの領域(region)とそれをつなぐ構造(coiled-coil connectors)が認められ,中央に存在し2量体形成部位であるN末端側はE領域と呼ばれており,両側に対称に広がるC末端側はD領域と呼ばれている1,2)

 Fbgは入院時あるいは手術前の凝固スクリーニング検査の1項目として測定される.後天的に血漿Fbgが低下する疾患・病態として,①重症肝障害による産生低下,②巨大血栓症や播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation;DIC)などによる消費亢進,③治療としての蛇毒・L-asparaginase製剤投与などがある3).一方,先天的な異常としては,①血漿中にFbgが存在しない無Fbg血症(ホモ接合体),②蛋白質は存在するものの機能に異常を有するFbg機能異常症(ホモあるいはヘテロ接合体),③無Fbg血症のヘテロ接合体型である低Fbg血症の3つの型が存在し,全世界で合わせて約400家系が報告がされている(http://site.geht.org/site/Pratiques-Professionnelles/Base-de-donnees-Fibrinogene/Base-de-donnees/Base-de-donnees-des-variants-du-Fibrinogene_40_.html).このうちFbg(機能)異常症の症状としては出血傾向を有するものが25%,血栓症を呈するものが20%,無症状であるものが55%である.このため,遺伝子解析を行い報告例と比較することにより,どのような症状を呈する可能性があるかどうかを明らかにすることは,患者本人や家族のQOL(quality of life)向上のために必要である.今回は,血栓症を強く疑われた患者において発見されたFbg機能異常症患者において,異常Fbgが原因であるかどうかを検討したので提示する4,5)

エラーに学ぶ医療安全・8

改善策の立案―尿検体の取り違い事例

著者: 河野龍太郎 ,   筑後史子 ,   田村光子

ページ範囲:P.926 - P.930

はじめに

 前回は,時系列事象関連図を見ながら問題点を抽出し,その問題点のなかで最も防止したい最終事象を筆頭に,背後要因関連図を作成した.今回は,その背後要因関連図を使って,いよいよ改善策の立案について考える.本稿では,分析の最終目標は業務の効率化やコストの低減であるため“改善”を用いたが,エラーやリスクに対しては“対策”を用いている.

 なお,事例の詳細については第6,7回を参照いただくとともに,本事例が架空の事例であることをあらためてお断りしておく.

次代に残したい用手法検査・2

酵素比色マニュアル法

著者: 片山善章

ページ範囲:P.931 - P.937

はじめに

 臨床化学検査(用手法が中心であった時代では生化学検査,化学検査などと呼ばれていた)のうち,酵素活性を用手法で測定していた項目は,アミラーゼ,トランスアミナーゼ,アルカリホスファターゼ,乳酸脱水素酵素が中心であった.なかでもトランスアミナーゼは,いずれの検査部(室)でも測定が行われていた.なお,トランスアミラーゼであるAST(aspartate aminotransferase),ALT(alanine aminotransferase)は用手法で測定されていた当時,それぞれグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(glutamic oxaloacetic transaminase;GOT),グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(glutamic-pyruvic transaminase;GPT)と呼ばれていた.今回はあえてGOT,GPTと表現する.

 したがって,本稿では用手法の時代のAST,ALTのReitman-Frankel法と紫外部測定(ultraviolet;UV)法について解説する.

研究

食品・環境測定用腸管出血性大腸菌検出キットの臨床検査への適応

著者: 山口明 ,   藤井紀行 ,   荒井孝 ,   山本英明 ,   下條誉幸

ページ範囲:P.940 - P.946

 食品・環境検査用に開発されたLAMP法EHEC検出試薬を用いて,培養ヒトふん便検体におけるベロ毒素(VT)遺伝子検索への適用を検討した.LAMP法はPCR法に比べ,培養ヒトふん便,便中既知反応阻害物質,腸内細菌による反応阻害への影響が少なかった.また臨床検体において便培養の診断結果と一致したことから,LAMP法はEHEC感染症における遺伝子検査において非常に有用な測定法であると考えられた.

短報

化学療法中にCK-MBが高値を示した子宮体部癌肉腫の一例

著者: 鯉渕晴美 ,   簗瀬直穂美 ,   小谷和彦 ,   山田俊幸

ページ範囲:P.947 - P.949

 子宮体部癌肉腫患者の化学療法2クール目にCK(creatine kinase)-MBが45.8%と異常に高い割合を占めた.心電図など精査を施行したが,急性心筋梗塞をはじめとする心筋傷害は否定的であった.肉腫部位の病理所見と過去の文献から,このCK-MBは子宮体部癌肉腫由来のものと推察した.

INFORMATION

2013年度日本サイトメトリー技術者認定協議会技術講習会

ページ範囲:P.951 - P.951

 下記の要領で,技術講習会を実施します.奮ってご参加いただきますようお願い申し上げます.

 本講習会は,「認定サイトメトリー技術者」認定試験の指定講習会と,サイトメトリー初心者のための入門講習会を兼ねております(午前は共通,午後はコース分け).従来の技術講習会(2007年度まで)の「基礎コース」に相当します.

第16回日本サイトメトリー技術者認定試験案内

ページ範囲:P.951 - P.951

受験資格:
①~⑤のすべてを満たす者

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「検査と技術」8月号のお知らせ

ページ範囲:P.862 - P.862

書評 《標準臨床検査学》免疫検査学

著者: 石井規子

ページ範囲:P.868 - P.868

 免疫はおもしろい.

 ジェンナーの種痘の話やパスツールによる病原微生物の発見などはノンフィクション小説のようである.免疫反応理論を読むと生命の神秘を感じずにはいられない.例えばアミノ酸1個の置換で血液型が異なることもあり,一方で多少の遺伝子の変異や欠損があっても生命は維持できる.HLA型の頻度からは人類の起源と祖先の地球規模の大移動も見えてくる.また生体防御機構はウイルスや細菌と人類との攻防そのものである.

バックナンバー一覧

ページ範囲:P.910 - P.910

書評 決められない患者たち

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.950 - P.950

 今般医学書院から,アメリカでベストセラー作家といわれてきたJerome Groopman医師とPamela Hartzband医師合作の“Your Medical Mind: How to decide what is right for you”という著書が,札幌医科大学卒業後米国留学の経験をもつ堀内志奈医師によって日本語に訳され,『決められない患者たち』という邦題で出版された.

 これはハーバード大学医学部教授と,ベス・イスラエル病院に勤務する医師の二人が,患者とその主治医に密着して得た情報を行動分析して,一般読者にわかりやすく書かれた本である.

投稿規定

ページ範囲:P.952 - P.952

次号予告

ページ範囲:P.953 - P.953

あとがき

著者: 佐藤尚武

ページ範囲:P.954 - P.954

 この「あとがき」の原稿は梅雨の時期に書いていますが,東京地区に関しては,今年は梅雨の時期の雨量が少ないようです.本号が発行される頃は暑さも本格化しているでしょうが,水のほうは大丈夫でしょうか.

 さて,今月号は「特定健診項目の標準化と今後の展開」と「輸血関連副作用」を取り上げました.「特定健診」は鳴り物入りではじまりましたが,本誌にも記載がありますように,その普及は満足できる状況ではなく,当初期待していたほどの効果も上げていないようです.わが家の状況を考えても,私自身は職場の健診で特定健診項目も検査していますが,専業主婦である家内は受診していないようです.受診率の向上は当面の課題であり,効果的な戦略を練る必要がありそうです.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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