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雑誌目次

論文

臨床検査58巻2号

2014年02月発行

雑誌目次

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望

著者: 山内一由

ページ範囲:P.149 - P.149

 科学的根拠に基づく医療の遂行には,臨床検査の標準化が不可欠です.ご存じのように,臨床検査の標準化活動のなかで最も進展した領域が臨床化学であり,臨床化学における活動が契機となり,あるいは模範となり,ほかの領域でも標準化の推進に取り組む機運が高まってきました.2012年には日本臨床化学会より標準化の集大成として「勧告法総集編2012年版」が出版されるに至りました.まさに,臨床化学領域における標準化のバイブルといえる1冊です.その厚みからも,標準化に心血を注いでこられた先達の情熱と苦労が伝わってきます.

 本特集では,標準化に尽力されてきたエキスパートの方々に,あらためて各JSCC勧告法が抱えている分析学的,臨床的な問題点を掘り起こしていただき,諸外国における標準化活動の動向を踏まえ,グローバルハーモナイゼーションという観点から,勧告法の今後を展望していただきました.先達が築いた勧告法を単に正確に伝承するだけではく,さらに磨き上げていくことが,生体成分を分析するプロにとっての重要な使命と考えるからです.

国際的な標準化活動とJSCC

著者: 濱﨑直孝

ページ範囲:P.150 - P.155

●臨床検査創成期から現在までの,国際的な臨床検査標準化活動についての大きな流れについて述べる.

●国際的に影響が大きい臨床検査関連学会(IFCC,CLSI,AACC,JCTLM)の概要と臨床検査標準化に果たした役割と今後のゆくえについて述べる.

●国内における臨床検査標準化活動のまとめと今後のゆくえについてふれる.

●多項目実用参照物質について概説する.

酵素項目(AST,ALT,CK,LD)

著者: 関口光夫

ページ範囲:P.156 - P.166

●酵素活性測定のトレーサビリティの頂点に位置する勧告法(広義)は非SI単位系の測定システムにおいて精確さの基準となる方法である.

●わが国の勧告法,常用基準法,JCCLS法の開発の経緯およびその特徴と適用について述べた.

●常用基準法(JCCLS法)とIFCC-RMP法よるAST,AST,LDの測定値の比較において,一部の患者血清では一致性が低いものがある.

酵素項目(ALP,γ-GT)

著者: 山舘周恒

ページ範囲:P.167 - P.173

●アルカリ性フォスファターゼ(ALP)の日本臨床化学会(JSCC)法と国際臨床化学連合(IFCC)法との相違点を再認識して,今後,JSCC法の改定が必要か否かを考える時期にきている.

●γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)のJSCC法はIFCC法に準じた方法であり,国際的なハーモナイゼーションに配慮された方法であるが,本法の反応指示物質である5-ANBは全世界的に公的機関の認証物質が存在しないため,その登場が望まれる.

糖・糖関連項目

著者: 谷渉

ページ範囲:P.174 - P.178

●血清グルコースの勧告法は,前処理操作を厳密に行えば精確さの優れた測定法である.血清(血漿)を得るまで,全血の解糖を完全に阻止するための採血管の使用手順を示した指針が新たに設定された.

●HbA1cの日常診療がJDS値からNGSP値に移行されたことに伴い,これまでのHbA1c関連の勧告法などは,JDS値の維持とNGSP値の標準化に活用される.

●血清アルブミン中の糖化リジンを同位体希釈質量分析法(ID/MS法)で測定するグリコアルブミン測定の勧告法と糖化アルブミンを測定する日常法とは,測定原理は異なるが測定値の互換性がある.

血液ガス・電解質項目

著者: 桑克彦

ページ範囲:P.180 - P.192

●血液ガス成分(pH,pCO2,pO2)と電解質成分(Na,K,Cl,イオン化Ca,Ca,Mg)の測定の標準化は,化学分析の合理性に従ってトレーサビリティ連鎖図を組み立てて行われている.

●血清標準物質などの実試料標準物質が日常検査法の校正に有効である.

●日常検査法のトレーサビリティが確保されると基準範囲,個人の生理的変動幅,許容誤差限界が設定され,これらを共通に用いることができる.

●大規模EQAとして,血液ガス成分についての実施が今後必要である.

●イオン化Caの測定については,救命救急では最重要項目ではあるが,臨床でのニーズを得る努力が必要である.

含窒素項目

著者: 大澤進

ページ範囲:P.193 - P.200

●日本臨床化学会(JSCC)の含窒素成分の勧告法は検査医学標準物質機構(ReCCS)の常用参照標準物質の値付けに利用され,わが国では試薬と測定機器が複雑に利用されている環境で測定値の標準化に大きな貢献をしている.

●しかし,クレアチニンなどの値付けに使用される勧告法の変更は,その根拠と国際的な整合性を公に周知して,利用者である検査室や試薬提供企業に示す必要がある.

血清蛋白免疫学的測定法―標準物質を中心に

著者: 伊藤喜久

ページ範囲:P.202 - P.207

●測定標準化/ハーモナイゼーションの成否とその程度は,対象蛋白の構造,物性,抗体の性状,マトリックス効果により異なる.

●トレーサビリティ連鎖は,国際標準物質─検量物質を中心とする体系で構築される.

●標準物質から検量物質作製まで,測定システムにも今後改善・改良の余地が残されている.

脂質項目

著者: 杉内博幸

ページ範囲:P.209 - P.216

●勧告法は,測定器具・機器の校正,試薬調製や操作が煩雑なため,熟練が必要などの理由から実施できる施設が限定される.

●酵素はメーカーにより,至適pH,特異性,活性化剤,阻害剤などが異なるので注意が必要である.

●中性脂肪やコレステロール測定では,エステルのアルカリ加水分解,除蛋白にコツが必要である.

●低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)勧告法の超遠心条件では,分離できない症例がある.

今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

著者: 山田俊幸

ページ範囲:P.217 - P.217

 花粉症の方はそろそろ気になる頃でしょうか.第2特集はⅠ型アレルギーです.まず最初に診断の流れ,最近の診療の動向を解説いただきました.続いてⅠ型アレルギーといえばIgEです.今回はアレルゲン特異的IgE検査を,3つの視点で掘り下げました.外部委託検査となっている施設も多いかとは思いますが,医師または患者への説明のため必要な内容と思います.具体的には,①よく知られていないと思われる試薬の成り立ち,②測定の実際と問題点,③臨床家はこの検査をどのように評価しているか,の3点です.そして最後に新しいマーカーについて取り上げました.全部に目を通すと“究める”に近づいたことがわかるでしょう.特に私たちが専門とするIgE検査がどのように位置付けされているか,理解を深めていただけたら幸いです.

Ⅰ型アレルギーの機序と診断の流れ

著者: 萱場広之 ,   齋藤紀先 ,   糸賀正道 ,   山本絢子

ページ範囲:P.218 - P.224

●抗原特異的IgE(IgE RAST)はアレルゲンの種類などで差はあるが,おおむね80~85%が皮膚試験と一致する.

●Ⅰ型アレルギー反応はIgEを介した反応が典型的ではあるが,複雑な病態を有しており,IgEのみに頼った診断には限界がある.

●アレルゲン検査は患者の症状や経過などの詳細な問診から選択することが推奨される.

Ⅰ型アレルギー診療の最近の動向

著者: 鈴川真穂 ,   大田健

ページ範囲:P.225 - P.230

●日本において初めてスギ花粉症を対象とした舌下免疫療法が承認される見通しである.

●特異的免疫療法は,アレルギー性鼻炎の重症度にかかわらず適応することができる.

●特異的免疫療法により,アレルギー性鼻炎に対する効果だけでなく,全身的な効果が期待できる.

●舌下免疫療法を受ける際は,免疫療法の意義と方法を,十分に理解する必要がある.

●2009年から使われ始めたオマリズマブにより,重症喘息診療が向上した.

アレルゲン特異的IgE検査試薬の成り立ち

著者: 中山哲 ,   北村薫

ページ範囲:P.231 - P.236

●特異的IgE検査の品質保持には,アレルゲン試薬の厳格な品質管理が必須である.

●アレルゲン試薬のみならず,標識抗体の特異性もまた検査品質に影響を及ぼす要因の1つである.

●一般に特異抗体を対象とした定量測定は困難だが,イムノキャップは比較的定量性の高い測定が可能である.

●近年はアレルゲンコンポーネントを利用した検査が開発されており,さらなる日常診療への応用が期待されている.

特異IgE抗体検査の実際

著者: 岡本愛

ページ範囲:P.238 - P.243

●特異IgE抗体の測定はアレルギー疾患の診断,治療効果判定において,血液で容易に行うことができる有用な検査である.

●種々の測定方法が存在し,用いられる抗原の種類・抗原量・測定試薬などの違いにより反応性が異なる.

●最近ではアレルゲンコンポーネントなどの症状誘発に関連する,エピトープに対する特異IgE抗体の測定が行われている.

●特異IgE抗体が陽性であることと,それに対する症状が引き起こされるかどうかは必ずしも一致しない.

アレルゲン特異的IgE検査の臨床的信頼性

著者: 秋山一男

ページ範囲:P.246 - P.251

●血中アレルゲン特異的IgE抗体の存在は,感作の指標ではあるが,疾患の原因アレルゲンの候補を示すにすぎない.

●現時点での原因アレルゲン確定のゴールドスタンダードは,負荷・誘発試験である.

●粗アレルゲンは,多種のコンポーネントから成り立ち,抽出方法などにより,その含有コンポーネントが異なる場合がある.

Ⅰ型アレルギーのバイオマーカー

著者: 藤澤朋幸

ページ範囲:P.253 - P.258

●ヒスタミン遊離試験(HRT),好塩基球活性化試験(BAT)は,in vitroでⅠ型アレルギーにかかわるエフェクター細胞(好塩基球)の機能を直接評価できる臨床検査で,食物アレルギー,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎などⅠ型アレルギー疾患における原因抗原の診断に有用である.

●TARCは,アトピー性皮膚炎における診断や重症度評価において有用性が示されている.

●ペリオスチンは,気管支喘息において重症度評価や治療反応性の予測におけるバイオマーカーとして有用性が期待される.

●呼気一酸化窒素(NO)測定は,非侵襲的に好酸球性炎症気道炎症を検出できる検査であり,気管支喘息の診断に有用である.

今月の表紙

ALT alanine aminotransferase 2

ページ範囲:P.148 - P.148

 2014年表紙のテーマは“生命の森”.生命活動を支える重要な物質である蛋白質のうち,実際の臨床検査でも馴染みの深い12種類の蛋白質を厳選.その3D立体構造をProtein Data Bankのデータから再構築.大いなる生命のダイナミズムを感じさせるようにそれぞれの蛋白質を配置し,並べたときには蛋白質による“生命の森”を表現します.

INFORMATION

The 9th Cherry Blossom Symposium International Conference of Clinical Laboratory Automation and Robotics

ページ範囲:P.230 - P.230

日 時:2014年4月17日(木)~19日(土)

場 所:横浜赤レンガ倉庫1号館

    〒231-0001 横浜市中区新港1-1

千里ライフサイエンスセミナーE5「生命科学・医薬研究を拓くマイクロRNAの研究最前線」

ページ範囲:P.275 - P.275

日時・場所:

 2014年2月21日(金) 10:00~17:00

 千里ライフサイエンスセンタービル 5Fライフホール

Advanced Practice

問題編/解答・解説編

ページ範囲:P.259 - P.259

「Advanced Practice」では,臨床検査を6分野に分け,各分野のスペシャリストの先生方から,実践的な問題を出題いただきます.

知識の整理や認定技師試験対策にお役立てください.

異常値をひもとく・14

アポE異常の発見

著者: 山村卓

ページ範囲:P.261 - P.270

はじめに

 アポリポ蛋白(以下,アポ蛋白)は血中の脂質蛋白複合体であるリポ蛋白の蛋白質成分で,いくつかの種類が存在する.血清リポ蛋白の代謝には,脂質代謝酵素,脂質転送蛋白,リポ蛋白受容体などが関連しているが,アポ蛋白も重要な機能を果たしている.これらの異常はリポ蛋白の代謝を乱し,脂質異常症の原因となる.

 アポ蛋白のなかでも,アポEはリポ蛋白受容体のリガンドとして,血清リポ蛋白代謝に重要な機能を果たしている.さらに,アポEは一般人口中にアポE対立遺伝子に基づく3種類のアイソフォームが存在し,それぞれリポ蛋白代謝における意義が異なっている.これに伴う遺伝性高リポ蛋白血症の代表的疾患が,家族性Ⅲ型高脂血症である.

 本稿では,アポE異常に基づく家族性Ⅲ型高脂血症の病態とその診断を中心に,アポE異常について述べることにする.

次代に残したい用手法検査・8

尿総蛋白検査

著者: 芝紀代子 ,   金森きよ子

ページ範囲:P.271 - P.275

はじめに

 尿総蛋白定性検査法といえば,pH指示薬の蛋白誤差を利用した試験紙法,とすぐ答えが返ってくるほど専用自動機器による試験紙法が今日圧倒的に多く用いられている.臨床検査のバイブルといわれる臨床検査法提要1)の尿蛋白の項をみてみると,最初に出てくるのはスルホサリチル酸法(sulfosalicylic acid test)による比濁法,次いで煮沸法である.わが国で長きにわたってなじみがあるのはスルホサリチル酸法であることから,本稿ではスルホサリチル酸法を取り上げた.

樋野興夫の偉大なるお節介・2

国を超えて,時を超えて,懸け橋をつくる!~国際教養の人材資質~

著者: 樋野興夫

ページ範囲:P.278 - P.279

 第59回日本病理学会秋期特別総会(甲府)に出席した.筆者は,ランチョンセミナー「リンチ症候群診断へのミスマッチ修復蛋白質に対する免疫染色の応用」の座長の機会が与えられた.近年,遺伝性腫瘍に関する注目度が高まり,このテーマでは,今年7月の日本家族性腫瘍学会(別府)のランチョンセミナーに引き続き,2度目である.リンチ症候群は,「ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とする常染色体優性遺伝性疾患である」と定義され,この診断に免疫組織化学的検査が重要な役割を果たす時代到来である.まさに「風貌を見て,心まで診る」=「病理細胞形態を見て,遺伝子まで診る」病理医の時代的出番である.今後,遺伝に関する指針やガイドラインに沿った検査の実施が必要となろう(拙著『リンチ症候群とミスマッチ修復遺伝子~疾患の概要と免疫組織学的検査を中心に~』,Advanced Staining News,2013年11月号参照).


 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業)「神経皮膚症候群に関する調査研究班」で,筆者は,「結節性硬化症」について発表する機会が与えられた.米国・癌研時代の研究テーマ「遺伝性がん疾患モデル」から,単離・同定した遺伝子(1994年)が,ヒト結節性硬化症の原因遺伝子(TSC 2)のホモローグであった.中皮腫のマーカー(expessed in renal carcinoma;ERC)も,このモデルの多段階発癌の解析中に単離・同定したものである(1995年).まさに「小さな源流から拡がる本流」の川の流れのごとくである.

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バックナンバー一覧

ページ範囲:P.192 - P.192

「検査と技術」2月号のお知らせ

ページ範囲:P.200 - P.200

書評 基礎から学ぶ楽しい学会発表・論文執筆

著者: 渡辺晃紀

ページ範囲:P.244 - P.244

はじめの一歩を踏み出すための勇気を与えてくれる本

 保健医療では地域保健という分野がある.全国の地方自治体に勤務する保健師32,124人(常勤,2012年)をはじめ,多くの職種が携わり,地域住民の疾病予防や健康増進のためと称し,啓発,教育,健診など日々介入の努力をしている.ところが実際に地域保健活動に取り掛かると,エビデンスや効率などが重視される昨今,「うちの地域でもこの方法で良いのか」とか「この点を明らかにしないと次の施策に進めない」など,たちまち疑問や課題に包まれ,評者も含め従事者の悩みは尽きない.

 「この地域や集団の実態をまとめたい,自分でもエビデンスを作りたい,そして保健活動を進めたい」と考えている人は多いと思う.この本は,そのような人が調査や研究の成果を「世に出す」はじめの一歩を踏み出すための勇気を与えてくれる本である.調査や研究を「まとめたい」「発表してみたい」と思っている人,あるいは「発表することになってしまった!」という人は,ポスターやスライド,論文の該当する章から読み進めれば,すぐに実践的なアドバイスが得られるだろう.

投稿規定

ページ範囲:P.282 - P.282

次号予告

ページ範囲:P.283 - P.283

あとがき

著者: 三浦純子

ページ範囲:P.284 - P.284

 幼少期,私は猫の額ほどしか平野がなく海も山も手が届くような田舎で育ちました.夏は生家の裏浜で毎日泳ぎに明け暮れ,春と秋は祖母に連れられ山菜やキノコ狩りを楽しみました.蚊にもたびたび刺されましたが,赤く腫れても翌日にはその痕跡がわずかに残る程度でした.また,春先に杉林へも頻回に入りましたがスギ花粉のアレルギー症状が出るでもなく,今思うと幸せな幼少期でした.大人になり東京にある現在の病院へ就職してからのことです.休日に故郷の浜辺を思い出し海が見たくなった私は,伊豆の浜へ出掛けた折,蚊に刺されました.田舎で蚊に刺されたときとは異なり,赤く大きく腫れ上がり熱をもち,シコリになったままなかなか治らず,ついには皮膚科のお世話になる始末でした.それが私の痛痒いアレルギー疾患デビューです.その後,スギ花粉による「スギ花粉症」デビューもし,今では毎年2月になると「そろそろ花粉症の季節がやって来ますね,去年よりいい薬が出ていれば嬉しいのですが何か情報はありますか」などとスギ花粉症仲間に問いかけています.実は昔,スギ花粉症デビュー直後に,皮下注射による減感作療法にチャレンジしたことがあります.しかし,残念なことに体が抵抗し途中であきらめた経験があります.そんなこんなで,今月号の特集の1つ,“Ⅰ型アレルギーを極める”は,私にとっても身近なテーマを取り上げました.Ⅰ型アレルギーの機序にはじまり,診療の最近の動向,試薬や検査,バイオマーカーの話まで丁寧に解説してあります.特に,Ⅰ型アレルギー診療の最近の動向についての鈴川真穂先生のご論文で取り上げられた,わが国において初めてスギ花粉症を対象とした舌下免疫療法が承認される見通しであるという朗報には多くの読者が目をとどめたと思われます.

 一方,今月のもう1つの特集,“JSCC勧告法は磐石か?─課題と展望”については,誰でも中高年になると重大関心事になる「メタボ健診」を例に標準化が必要だった理由と標準化をいかにして進めてきたかを,歴史を踏まえて知っていただけるようになっています.そのうえで,各種酵素項目,糖・糖関連,血液ガス・電解質,含窒素項目,血漿蛋白,脂質項目など,各種項目ごとに現状と今後の課題や展望をまとめてあります.読者の皆さまには,臨床検査の標準化先進国であるわが国が将来にむけ,さらなる改善を行うヒントをくみ取っていただけることを願います.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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