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雑誌目次

論文

臨床検査6巻1号

1962年01月発行

雑誌目次

グラフ

技術者の生活日記から—読者応募写真入選作品

著者: 合田主税 ,   森賀英幸 ,   近藤英敏 ,   山田美恵

ページ範囲:P.3 - P.5

暑さに耐えかねて氷を入れた手拭をかぶり,あるいははちまきにして作業にはげむ2眼レフF3.5付ネオパンSSF5.61/50

検査机と椅子—特にその高さの検討

著者: 樫田良精

ページ範囲:P.6 - P.10

主として立位で仕事をする場合
1)採血机(東大病院中央診療部採血室)
 患者用の背付き回転イスは一定位置に坐ってもらうために床に固定してある。机の高さは75cmであるが,患者の前膳を小枕で安定させるとちょうどよい高さになる。採血机も一定位置に保つため床に固定されている。

技術解説

螢光抗体法(1)—その臨床検査への導入のために

著者: 及川淳

ページ範囲:P.11 - P.16

I.はじめに
 細菌学にせよ,組織学にせよ,顕微鏡標本を染色するということは,単に見やすくするためばかりではなく,染め分けということがその重要な目的である。これは上記の分野で最も日常的に使用されているGram染色とH.E.染色を老えれば自明であろう。染色の技術は特異的染色,すなわち問題になっている1つの物質,1つの酵素,あるいは1種類の細菌のみを他のものから染め分けることを目標にして進歩し,組織化学という体系的な学問にまで築き上げられてきた。
 さて,ある物質に特異的親和性をもつものを考える場合,生物学者はただちに酵素と抗体を想起するにちがいない。特に後者のあらわす抗原との結合の特異性は,それ自体が免疫学の主要なテーマを構成するほどに著しいものである。たとえば蛋白質の識別の揚合,現在用いられている化学的方法をもってしては,それが蛋白質であるという証明以上を出ることは困難で,超遠心,電気泳動などの物理化学的方法が,蛋白質をやや細別しうるにすぎない。ところが免疫反応を利用すれば,たとえばウシとウマの血清albuminのように化学的にも物理化学的にもきわめて類似した物質をも鋭敏に識別できるのである。

自動脱水包埋装置の扱い方

著者: 福島範子 ,   萩島寿子

ページ範囲:P.19 - P.27

いとぐち
 自動脱水包埋装置について書くようにとの御依頼ですが,最も身近に使われているヒストキネット,オートテクニコン,さくらロータリーの3種について実際にこれらを使用している国立東京第一病院,国立東京第二病院,同愛記念病院その他のデーターや御意見をあわせ紹介し責任を果たしたいと思う。
 もともとこれらの器械は従来2日ないし3日の時間をかけ人手で行なって来た病理組織標本作製上の比較的単純な脱水・包埋の過程を機械的操作におきかえ,仕事の能率化,なかでも迅速化を図ろうというもので,器械および操作方法によっては更に固定と水洗が加わり,また2段組みで染色も行ない得るものがあるが,ここでは染色過程については省く。しかし脱水・包埋は比較的単純な過程と申し上げたが,これを実際に手動式で行なってみると時間的にかなりの制約を受けるし,その方法も各人により,各施設により,また気候によりいろいろな行程があり,出来上りも決して一定した結果を得られるわけではない。

現像の知識(3)

著者: 宮本五郎

ページ範囲:P.29 - P.36

8.現像処理
 フィルム,乾板の現像を行なう場合に,現像を停止する最適時間を暗室内の暗い安全光で画像を肉眼で見て判断することは熟練者でないかぎり容易ではない。
 現像液にフィルム,乾板を浸漬してから画像が現われ初めるときまでの時間をa秒とし,使用現像液,フィルム,乾板などの特性,その他の条件に応じてあらかじめ測定しておいた係数Fを乗じた時間,F×a秒だけ現像するという係数現像法が推賞されたこともある。しかしこの方法も,最初から暗室内の安全光の下で感光材料を照明して肉眼で見ていなければならないから,今日の高感光度パンクロフィルムの現像処理には適切な方法とはいえない。

検査室管理

机と椅子について

著者: 樫田良精

ページ範囲:P.39 - P.39

 昨年の11月号に「検査室の家具」についての座談会を載せたが,その中でも机とイスの高さは検査の能率に大きく影響するので,本号のグラフ欄で東大関係者の苦心したいくつかの実例を示して,今後つくられる方々の御参考に供した。この中には失敗例も加えてある。
 写真の机,イスなどの高さは下表を参照されたい。検査室の仕事をする人の身長,坐高などで,具合のよしあしは大いに異なる。検査机の高さは75cmから84cmまでの問で,主として坐業か,立ち仕事か,兼用かで適当な高さを選ぶべきであろう。また,イスの高さが調節できることは絶対必要である。この調節で体格の差違による作業机の不満がかなり緩和できる。足の入る場所は,ことにその奥行は足がのばせるよう広くすることが望ましい。欲張って机の物入れや引ぎ出しを大きくして足の入れ場を狭くすることは禁物である。また,足はできるだけ床面に安定するように設計すべきであって,やむを得ぬとき以外,足かけ付きのイスは避けるべきである。これはどうしても足が不安定で,疲れやすくなる。足掛けは机の下部に備える方がよい。

座談会

生活の場としての検査室

著者: 野田正雄 ,   樫田良精 ,   小酒井望 ,   松本佶也 ,   佐治守夫 ,   高橋昭三 ,   加藤みよの ,   天木一太

ページ範囲:P.40 - P.59

 司会本日は皆様お忙しいところをお集りいただきまして,ありがとうございました。この「臨床検査」という雑誌はいつも臨床病理学の学問のことばかりを問題にしてきたわけですが,実際にその臨床検査を行なうもの,あるいは勉強するものは人間でありまして,人間たる以上は生活というものがある。それで生活がしっかりしていなければりっぱな仕事ができるはずがない。そういうわけで,検査室における生活というものをここで一度よく考えてみたいと思うわけでございます。この記事はちょうど新年号に出ますそうで,新しい年を始めるにあたって1年間の生活を考えるということもまた意義があることだと思います。それでは「生活の場としての検査室」をお考えいただきたいと思います。
 いろいろのテーマがあるわけですけれども,まず入りやすいところから勤務時間ということを問題にしてみたいと思います。宮庁の場合は,勤務時間というのは9時から5時まででございますか。

研究

糞便潜血反応の比較実験

著者: 影山信雄 ,   岩越栄子

ページ範囲:P.61 - P.62

はじめに
 潰瘍,赤痢,腸チフス等のような消化管の潰瘍性機転を起こす疾患の診断,ならびに治療上の道標として糞便の潜在出血を検することは,その血量の多寡,出血の持続性を知るためにきわめて重要である。われわれが日常多量の潜血反応を実施するに当っていかなる方法が最も簡易,かつ迅速であるかを知るために比較実験したので,報告し,御批判を仰ぐ次第である。

血清ルゴール反応の検討

著者: 永島慶子

ページ範囲:P.65 - P.68

 1950年Mallen1)等によって創案された血清ルゴール反応は,その本態は主として血清蛋白分屑の変動,特にA/G比と高度の相関関係があるとされており,その操作はきわめて簡便であるため,肝疾患を主とする各種疾患時の血清蛋白異常の簡易検査法としての有用性が諸家によってみとめられた。また,その判定を容易にするため希釈した試薬を逓減的に用いたり2),あるいは逆に血清を倍数希釈して判定の容易化と反応の定量化をねらった方法3)も考案されている。本院検査室においては本反応がA/G比と高度の相関があることに注目し,日常検査室でスクリーニング・テストとしてA/G比定量を行なう場合に,このルゴール反応を代行させることにより検査の簡易化をなし得るものと考え,以下の検討を加えてみた。

ユニグラフ使用による尿素クリアランス試験についての検討

著者: 森本欣吉 ,   後藤義治 ,   堀川郁英 ,   加藤荘一

ページ範囲:P.71 - P.74

まえがき
 尿素クリアランス試験は,手数はかかるが腎機能試験中最も鋭敏な方法として推奨せられている。この手数がかかるということの第一の理由は,なんといっても血液および尿中の尿素窒素定量法として臨床的に理想的なものがないことであって,現在広く行なわれているDiacetyl-Monoxim法にしても,標準法とされているUrease-Nessler化比色法にしても,また最近提案されたXanthydrol混濁法にしても決して簡便とはいいがたく試薬の調製その他にもかなりの手数がかかり,必ずしも臨床的にいつも手近かに実施しうる検査法ではなかったためと思われる。
 ところが,最近Warner-Chilcott Lab.より血中尿素窒素を定量するユニグラフ(一名,ウログラフ)が発表され,先に斉藤正行氏もこれを使用して血清尿素量を測定し,Urease-Nessler化比色法と比較して大体一致する価が得られることを発表されているが,われわれもこれを試用し,血中尿素窒素の定量法として,特に変色層高の測定を用いるならば,まず臨床的に充分用いうる精度であることを確かめた。またわれわれは,尿中尿素もこの方法で同様に測定でぎることを以下の実験結果より確かめ,更にこのユニグラフを用いて得た尿素クリアランス値についての検討を試みた。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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