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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査6巻10号

1962年10月発行

雑誌目次

グラフ

第1回一般臨床検査士試験行なわれる試験場でのスナップ

ページ範囲:P.645 - P.646

 ここに掲げるのは第1回一般臨床検査士試験の会場て拾ったスナップのいくつかです。当日の最高気温34℃という悪条件にもめげぬ受験者と試験委員の真剣な表情を汲みとっていただきたい。686ページの座談会とあわせて御覧下さい。

尿沈渣の見方(1)

著者: 林康之

ページ範囲:P.647 - P.650

 日常しばしば行なわれながらそれに習熟することのむずかしい検査の一つに尿沈渣の検査があります。本誌ではここに好個の教材というべき写真を得たので,2回にわたり掲載します。参考としておおよそのシェーマを付しました。次回は12月号になります。

検査技師のための解剖学3

著者: 横地千仭

ページ範囲:P.651 - P.652

 前号では頭部の前額断面と正中断面を示したが,本号ではこれと直交する二つの水平断面をお見せする。

技術解説

血清鉄の定量法

著者: 松原高賢

ページ範囲:P.653 - P.658

まえがき
 血清あるいは血漿中の鉄は血清タンパクの一つたるβ1グロブリンと結合して存在し,正常平均男138,女120mcg/dlである。鉄欠乏性貧血,感染症,癌では低下し,はなはだしい場合は0に近くなる。再生不良性貧血,悪性貧血,溶血性貧血,急性肝炎では上昇し,はなはだしい場合は400mcg/dlを越すことがある。かくて血清鉄は貧血や黄疸の鑑別診断に役立つ。
 血清鉄の測定法は多数発表されているが,その中で最も精度が高く,実用性をも考慮に入れ総合的に見て最もすぐれているのは筆者の方法1)と思われるので,血清鉄測定を常用検査として行なう検査室には本法を勧めたい。精度は劣るが最も簡易なのはRamsay法2)である。小検査室において参考までに臨時に血清鉄を測定してみたいという場合には本法が適している。そこでこの両者を解説することにする。

滅菌および消毒法(2)—化学的作用による方法

著者: 林治

ページ範囲:P.661 - P.667

はじめに
 前号で,滅菌および消毒について言葉の意味とその違いを述べ,ついで物理的作用による各種の方法を解説した。
 今回は,化学的作用による方法,すなわち,主に化学薬剤による消毒法について述べたい。

赤血球抵抗試験

著者: 福岡良男 ,   菅芳一

ページ範囲:P.669 - P.672

 Duncan(1867)が萎黄病患者の低張食塩水に対する赤血球抵抗試験を報告して以来,Hamburger(1883)らによって多数の赤血球抵抗試験法が考え出された。
 赤血球抵抗試験法のうち代表的のものを列記すると,
 (1)低張食塩水法

血清の分離法

著者: 臼井美津子

ページ範囲:P.675 - P.678

 最近臨床検査がめだって多く行なわれるようになり,血清学的諸検査はもちろんのこと,他の検査においても検体として血清をもちいる場合が非常に多い。血清の代わりに血漿を用いても差しつかえのない場合もあるけれども,補体結合反応とか,溶血反応などのように血漿では反応が全く抑制されてしまうものがあり,多くの場合,血清が要求されるわけである。しかも検査の内容によっては,血清がすこしでも溶血を示していたり,乳ビになっていたりしては具合のわるいものもあり反応がみにくくなって検査に支障をきたす場合がかなりある。また検体にかぎらず,免疫動物より得る抗血清にしても,補体としてのモルモット血清にしても,できるだけきれいに分離された血清がのぞましいし,かつ収量よく分離されることが要求される。そこで,きれいに,しかも収量をよく血清を分離するための一般的な注意と,検査の内容によっては採血・分離の際に特に強く要求される事柄もあるので,そういった特殊な場合における分離法についても考えてみたい。

医学常識

輸血に必要な血液型抗原と抗体(5)

著者: 竹内直子 ,   保木本幸子 ,   大野公子

ページ範囲:P.681 - P.684

Ⅴ.ABO式,Rh式以外の血液型(つづき)
5.Lewis式血液型
 Lewis式血液型は,1946年にMourantによって発見された。けれどもその遺伝についての完全な解釈は多くの研究者を困らせ続けている。この抗体はO型血液の24〜25%を凝集する二人の婦人の血清中に発見された。2年後にAndresenは血液の70%を凝集する(Mourantの抗原に対立する)抗体の発見によって対立因子を記載している。この2つのLewis式血液型の発見以来,抗-Lea,抗-Lebその他多くの抗体が見い出され,抗血清は,表13に示されるように3つの表現型を決定する能力をもっている。

座談会

第1回一般臨床検査士試験を終えて

著者: 日野志郎 ,   樫田良精 ,   小酒井望 ,   佐々木正五 ,   松村義寛 ,   石井暢 ,   福岡良男 ,   内海邦輔 ,   丹羽正治 ,   富田仁 ,   仁木偉瑳夫 ,   阿部裕 ,   永井諄爾 ,   山崎晴一朗 ,   長岡文 ,   相賀静子 ,   石川さき子

ページ範囲:P.686 - P.697

 一般臨床検査士資格認定制度による第1回の試験は既報のとおり7月23日に東京大学医学部本館で行なわれたが,翌日には早速判定会議が開かれた。結果は意外に低い合格率となって出たが,これは一面一般検査のむずかしさを示したものといえようか。試験する側,される側の双方ともこの点での再認識があるものと思われる。本誌では判定会議の後,試験委員の先生方にお集り願いこの座談会を催した。試験委員は35名の多数にのぼったため全員おいで願うわけにはいかなかったのは残念であった。
(左上,右下写真は試験場でのスナップ)

研究

新潟大学中央検査部における最近2年間の梅毒血清反応検査成績と二三の考察

著者: 屋形稔 ,   滝沢行雄 ,   小林茂孝 ,   広川宏

ページ範囲:P.703 - P.708

Ⅰ.緒論
 わが国において,第二次大戦前幾分減少傾向にあった梅毒は,終戦を機として爆発的増加をきたしたことは周知のごとくである。しかし,医学のめざましい進歩,とりわけペニシリンなどの画期的薬品の応用および公衆衛生思想の向上により,反転して昭和25年頃から急減してきた。このことは田中,石田1)および足立2)らの統計的観察によっても明らかである。
 ところで今日,顕症梅毒はほとんどみられなくなり,このため最近の梅毒は,先天梅毒をも含めてほとんどすべてが潜伏梅毒ということになってしまった。従って,その診断はもっぱら梅毒血清反応の成績に依存しているといっても過言ではない。もちろん梅毒血清反応は,その特異度および鋭敏度において最近飛躍的に高揚はされたが,抗原そのものが梅毒と無関係な非特異的なものである以上,梅毒以外にも当然陽性を示す。すなわち生物学的偽陽性反応(Biologic False Positive Reaction(BFP))として注目されているものである。すなわち現在梅毒の診断,治療の面だけでなく,血清学的方面において,特に膠原病等のBFPに関連して,種々の問題点を含んでいると言わざるを得ない。

トピックス

今年の人事院勧告—特に衛生検査技師の給与をめぐって

著者: 佐藤乙一

ページ範囲:P.711 - P.713

まえがき
 今年は勧告がだされるまえから人事院当局は,「研究職,医療職,教育職については特別の考慮を払わなければなるまい」という意味のことを述べていた。かくて8月10日,政府と国会にたいして勧告を行なったのである。その後労働組合,日経連,政府はそれぞれの立場から多くの批判をくわえているが,これらのことは一応おいて,従来の例からこの勧告案はおおむね10月から実施されるのではないかという見通しのうえにたって,医療職Ⅱ俸給表,とくに衛生検査技師の適用部分がどのようにかわるかについてのべてみたい。

質疑応答

臨床化学検査における正しい値

著者: 川越昌男 ,   松村義寛

ページ範囲:P.715 - P.716

〔質問〕
 貴誌6巻7号に「同一試料による臨床化学検査データ」が発表されましたが,平均値のみにては判断のつきかねるところがありますので,貴誌においてチェックされた正確と思われる数値を示して下さい。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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