座談会
心電計の扱い方
著者:
中曾根慶蔵
,
古山市造
,
北村和夫
,
杉崎輝子
,
弓納持慶子
,
長尾透
,
樫田良精
ページ範囲:P.324 - P.338
樫田 最近成人病の中でも心臓疾患が非常に世間の注目を浴びております。心臓関係の検査ということになりますと,レントゲンで心臓の大きさをはっきりさせる,それから血圧を見る,同時に心電図をとって心筋あるいは冠状動脈の変化などを見るというのが現在の一般的なやり方であります。そういうわけで心電計の持つ役割が非常に大きくなってきております。現在普通に使われている少し高価な診断用器械を挙げてみますと,第一に普及しているのはレントゲンで,その次は心電計です。今から十何年前までは日本の心電計はまだ優秀な品が少なく,生産も十分でなかったんですが,最近は外国品に劣らない,あるいはそれよりまさるような心電計が各メーカーの努力でできるようになりました。そして,値段も外国品に比べれば安いので,かなり多くの開業の先生も買って自分でお使いになるし,もちろん病院と名のつくところは必ず持っている器械の一つになってぎました。ただし病院などではこの心電計の利用頻度が高いためにお医者さん自らがやることは少なくなってきて,特に訓練された技術者がやるようになっております。すなわち,病院ではレントゲン技師と同じように,心電計を動かす技術者の働きが非常に重要になってきている。ところが,まだレントゲンのように充分な教育機関がない。それで現在はいろいろな方法で独学して,そして目本臨床病理学会の2級の技術士資格試験に「心電図」というのがありますが,その試験を受ける人がずいぶん多い。この試験を知らない方もいろいろと努力して心電計の扱い方などを勉強しておると思います。
今日は心電計に関係の深いいろいろな方々にお集まりいただいて,独学してる方々がこの座談会を読めぱ,普通の本ではなかなかわかりにくいようなところも手に取るように教えていただけるよう,またお医者さんといえども一般的には心電計については本当は素人なんで,そういう方にも参考になるようなことを話し合ってみたいと思います。