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雑誌目次

論文

臨床検査60巻1号

2016年01月発行

雑誌目次

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査

著者: 山田俊幸

ページ範囲:P.5 - P.5

 臨床検査の本務はもちろん,医療現場において,品質の高い臨床検査を提供することです.近年は,医療だけでなく,災害援助活動,学術活動,種々の啓発活動などを通して社会に貢献することも私たちの行うべきこととなっています.本特集は,この社会貢献をテーマにして,まず,臨床検査の価値を高めるうえでの問題点や将来展望を整理しました.簡単ではない状況のなかで,どのように価値を高めていくべきかが問われています.次に,臨床検査を担う臨床検査技師,臨床検査専門医の取り組みを取り上げました.望まれる業務,臨床サービスを充実する方向で論じられています.さらに,災害時における貢献のあり方や,臨床検査現場から発信する学術活動も紹介いただきました.日常を離れたことにも思いを巡らせてください.また,予防医学への貢献にも理解を広げてください.2016年の年頭,私たちの立ち位置から医療や社会をみつめてみましょう.

臨床検査の進むべき道

著者: 村田満

ページ範囲:P.6 - P.11

Point

●臨床検査は医療のなかで重要な位置を占めているが,現時点では,その評価は必ずしも十分ではない.

●臨床検査にまつわる課題の克服には,臨床検査に従事する者のみならず多くの者の視点が必要である.

●臨床検査の啓発や価値の向上を行うとともに,サイエンスとしての魅力を広く伝えていく必要がある.

●臨床検査の発展のためには,基礎医学の進歩や臨床医学の変化を常にキャッチし,呼応していくことが肝要である.

臨床検査技師の社会貢献—日常業務・対外活動を通じて

著者: 宮島喜文

ページ範囲:P.12 - P.15

Point

●日本衛生検査技術者会結成大会における「採択宣言」.

●“病院完結型医療”から“地域完結(支援)医療”への転換.

●“臨床検査技師”の認知度アップを目指した事業展開(季刊誌,検査と健康展).

●“持続可能な社会保障制度”に向けた医療体制の変化.

●社会貢献を目指した人材育成.

臨床検査専門医の社会貢献—求められる専門医像

著者: 佐守友博

ページ範囲:P.16 - P.21

Point

●臨床検査医のなかで,一般社団法人日本臨床検査医学会の専門医認定試験に合格した医師を臨床検査専門医と呼ぶ.

●臨床検査医の職場にも多様性があるので,臨床検査医の社会貢献にも多様性がある.

●臨床検査に関する正しい情報提供を行ってわが国の医療に貢献することも臨床検査医が行える社会貢献である.

●日本臨床検査専門医会ネットワークを用いた専門分野別Q&Aシステムがある.

地域医療,災害医療で活躍する臨床検査

著者: 坂本秀生

ページ範囲:P.22 - P.28

Point

●世界的に,臨床検査室外や医療施設外での臨床検査に関心が高まっている.

●POCTはチーム医療の道具として有効である.

●地域医療現場で臨床検査は工夫次第で生かせる.

●日頃の地域医療の実践は災害医療でも役に立つ.

臨床検査の現場から発信する医学研究—日常検査における異常データから発見された遺伝子異常症とその異常データを生じる原因の解明

著者: 奥村伸生

ページ範囲:P.30 - P.35

Point

●自動血球計数装置の白血球スキャタグラムに異常パターンを呈した症例を経験した.その原因として,ヘモグロビン異常症(HbC)に起因するヘモグロビンの結晶化が疑われた.

●LDアイソザイム検査における異常パターン(アノマリー)の原因解析によって,slow型Hサブユニット異常症のホモとヘテロ症例を検出した.

●活性測定法におけるフィブリノゲン(Fbg)値が異常低値を呈したFbg機能異常症患者血漿では,Fbg測定試薬の違いによって測定値に大きな乖離が生じた.

●Aα鎖の遺伝子異常に基づく無Fbg血症(ホモ)患者の両親(ヘテロ異常)のFbg測定値は正常であった.siRNA添加実験から,Aα鎖遺伝子から転写されるmRNA量が他のポリペプチド鎖遺伝子によるmRNA量よりも2倍以上多いことが原因であることを証明した.

臨床検査と未病—健康社会へのポテンシャル

著者: 櫻林郁之介 ,   吉田博 ,   福生吉裕 ,   津田聡一郎 ,   森嶋祥之 ,   横田佳子 ,   丸山篤芳 ,   高木洋子 ,   高山清香 ,   花田浩之 ,   加瀬澤信彦

ページ範囲:P.36 - P.42

Point

●未病の定義と意義を述べる.社会との関係において,セルフメディケーションとして未病臨床検査が行われている実例を挙げ,それぞれの特徴と功罪について考察する.

●最近,注目されている神奈川県行政の未病の取り組みについて概説する.

●社会とのコミュニティーのあり方,重要さについて未病検査の役割を述べる.また,未病を捉えるための検査データの活用法について例示する.

●未来像としての未病臨床検査の実践活動に向けて,日本未病システム学会の姿勢と学会制度を述べる.また,“未病専門指導師”の資格について紹介する.

今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

著者: 岩田敏

ページ範囲:P.43 - P.43

 抗菌薬が医療の世界で使用されるようになって以来,各種抗菌薬に耐性を示す耐性菌による感染症は,常に臨床上の問題となってきました.耐性菌感染症への対策には,施設内で耐性菌が広がらないようにするための感染防止対策の徹底,耐性菌を増やさないようにするための抗菌薬適正使用,耐性菌感染症に有効な新規抗菌薬の開発やワクチンの導入を含めた治療法および予防法の開発などが挙げられます.人の行き来や物流のグローバル化が進む今日,ある地域で増加した耐性菌が短期間で世界に広がるというような状況も実際にみられており,耐性菌感染症への対応は,地球規模で評価し考えていく必要があります.本特集では,そのような耐性菌感染症の疫学と診断・治療・予防上の問題点について,臨床上重要な耐性菌を中心に解説していただきます.

ペニシリン耐性肺炎球菌—乳幼児へのPCV7導入前後における肺炎球菌の変化

著者: 生方公子

ページ範囲:P.44 - P.50

Point

●乳幼児への7価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)の公費助成前後における肺炎球菌の莢膜型と薬剤耐性率の変化について分子疫学解析を行い,ワクチン効果を明らかにした.

●乳幼児へのPCV7導入によって成人に対してもワクチンの間接効果がみられている.

●非ワクチンタイプのgPRSPに対してmultilocus sequence typingを行い,その由来について諸外国の分離株との比較を行った.

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌

著者: 二本柳伸 ,   花木秀明

ページ範囲:P.52 - P.60

Point

●MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の略であるが,現実的には多剤耐性黄色ブドウ菌である.近年,市中関連型MRSA(CA-MRSA)が市中でも院内でも増加している.

●抗MRSA薬として,細胞壁合成阻害のバンコマイシン(VCM)とテイコプラニン(TEIC),蛋白合成阻害のアルベカシン(ABK)とリネゾリド(LZD),膜障害のダプトマイシン(DAP)の5薬剤が認可されている.

●VCM,TEIC,LZDの短時間殺菌力は弱いが,ABKとDAPは強い.菌血症などの早急な除菌が必要な症例には殺菌性を考慮すべきである.

●米国臨床検査標準協会(CLSI)で感性と判定されるVCMの最小発育阻止濃度(MIC)値が2μg/mLを示す株に対しては,VCMによる治療はPK/PD理論からも期待できない.

マクロライド耐性肺炎マイコプラズマ

著者: 諸角美由紀 ,   生方公子 ,   岩田敏

ページ範囲:P.62 - P.67

Point

●わが国ではマクロライド系薬に耐性を示す肺炎マイコプラズマ(MRMP)は2003年ごろから増加し始め,2011年の大流行時には分離株の約90%を占めた.世界各国においてもMRMPは増加しつつある.

●MRMPの耐性メカニズムは,薬剤の作用標的であるリボソームの23S rRNA上に生じた点突然変異である.

●MRMP感染例では,発熱や咳嗽などの臨床症状が遷延化する.

バンコマイシン耐性腸球菌

著者: 富田治芳 ,   谷本弘一 ,   久留島潤 ,   千葉菜穂子 ,   野村隆浩 ,   橋本佑輔

ページ範囲:P.68 - P.82

Point

●バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は腸管内常在菌の腸球菌(主にEnterococcus faeciumとEnterococcus feacalis)が外来性に耐性遺伝子(VanA型,VanB型など)を獲得することによる獲得耐性であり,多くは多剤耐性を示す.

●欧米諸国をはじめ近隣諸国(中国,台湾,韓国)の医療環境でVREが増加・まん延しており,主要な院内感染症起因菌として高度先進医療を行ううえで深刻な問題となっている.

●国内ではVRE感染症は5類感染症に分類され,バンコマイシンの最小発育阻止濃度(MIC)値16mg/L以上を示す腸球菌による感染症は全数報告の義務があり,年間100例前後の発生を認める.

●VREは患者や保菌者の排泄物,汚染物を介した経口感染によって他の患者,および健常人(医療従事者)の腸管内に定着し,保菌状態となる(院内伝播・拡散).

●VREは院内で拡散しやすいため,その制御には適正な抗菌薬使用と同時に,保菌者の把握(VREの早期発見,正確な検出)と接触予防策を含めた積極的な感染対策が重要である.

基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌

著者: 石井良和

ページ範囲:P.84 - P.90

Point

●基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)は,オキシイミノ基を有する第三世代・第四世代セファロスポリン系薬およびモノバクタム系薬を分解し,これらの抗菌薬に対する耐性を付与する.

●ESBLの主要産生菌は大腸菌,肺炎桿菌,Proteus mirabilisなどの腸内細菌科細菌である.

●ESBL産生菌は,院内・外来のいずれからも分離される耐性菌である.

●検出される主要なESBLはCTX-M-型であり,同酵素産生大腸菌の多くがフルオロキノロン系薬にも耐性を示す.

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌

著者: 長野則之 ,   長野由紀子 ,   荒川宜親

ページ範囲:P.92 - P.99

Point

●カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)による感染症は,感染症法で2014年9月に5類全数報告疾患に指定された.

●CREがカルバペネム耐性を獲得する主たるメカニズムはカルバペネマーゼの産生であるが,カルバペネマーゼには,種々のタイプが出現している.

●CREの菌種はKlebsiella pneumoniaeが多いが,カルバペネマーゼの遺伝子は伝達性プラスミドにより媒介されていることが多い.その他のさまざまな腸内細菌科の菌種に伝達し,それらがCRE化されることがある.

●カルバペネマーゼの遺伝子を保有していても必ずしもカルバペネム耐性と判定されない株や,逆に,カルバペネマーゼの遺伝子を保有していなくてもカルバペネム耐性と判定される株があり,日常検査での鑑別が難しい.

●CREにはカルバペネマーゼとともにCTX-M型やCMY型などの別種の広域β-ラクタマーゼを産生する株もみられ,それらの識別には専門的な知識と技術が求められる.

多剤耐性緑膿菌,多剤耐性アシネトバクター

著者: 松本哲哉

ページ範囲:P.100 - P.105

Point

●多剤耐性緑膿菌(MDRP)および多剤耐性アシネトバクター(MDRA)は,3系統(カルバペネム系,アミノグリコシド系,フルオロキノロン系)の抗菌薬の全てに耐性の菌である.

●MDRPは緑膿菌全体の1%以下,MDRAはアシネトバクター全体の0.3%程度と,まれにしか分離されない菌である.

●難治性の感染を起こしやすく,MDRPにはコリスチン,MDRAにはコリスチンやチゲサイクリンが有効である.

●感染対策上,厳重に対処すべき耐性菌であり,接触感染予防策を徹底する必要がある.

寄生虫屋が語るよもやま話・1【新連載】

大胆なるかな,アングロサクソン人!—アフリカで住血吸虫に感染した日本人少女の話

著者: 太田伸生

ページ範囲:P.106 - P.107

 筆者は大学の医学部で寄生虫病学の研究・教育をなりわいとしている.国内の医学部では寄生虫学を講じる研究室が減り,必然的に同業者も減ってきた.しかし,世界では寄生虫感染者が数十億人を数え,日本国内でも一定数の感染者が毎年発生している.その結果,数少ない生き残り同業者に臨床現場から寄生虫病の診断依頼が飛び込むことが多くなっている.寄生虫は巧妙に人間と同居するすべを獲得した連中であり,感染のエピソードも相当に人間臭い場合がある.私たちは臨床家から病歴を聞いて,診断の対象となる方々の生きざまをひそかに想像しながら業務に当たっている.寄生虫を通じて人間の悲喜こもごもまでもみえるような気がするのである.本連載では,そんな寄生虫屋の経験を紹介し,読者の方々にも寄生虫病という人間臭い感染症について共感いただけたらと思っている.

検査説明Q&A・13

健康診断で尿ウロビリノーゲンが陽性でしたが,ほかの検査には著変はみられません.どのようなことが考えられますか?

著者: 神保りか ,   下澤達雄

ページ範囲:P.109 - P.111

■ビリルビンの代謝とウロビリノーゲンの生成(図1)

 赤血球が寿命を終えると,そのなかのヘモグロビンは脾臓で鉄を含むヘムとグロビン蛋白に分解され,ヘムはさらに鉄と間接ビリルビン(非抱合型ビリルビン)へと分解される.この間接ビリルビンは非水溶性であり,アルブミンと結合して肝臓へと送られる.間接ビリルビンはアルブミンと結合しているため,腎臓で尿として濾過されない.

 肝臓において間接ビリルビンからアルブミンは外され,グルクロン酸転移酵素によってグルクロン酸の抱合を受け,水溶性の直接ビリルビン(抱合型ビリルビン)となる.この直接ビリルビンは黄色い色素で,胆汁色素とも呼ばれ,ほとんどが胆汁の一部となって腸管に分泌される.直接ビリルビンは腸内細菌の働きによって還元されてウロビリノーゲンとなる.ウロビリノーゲンはさらに還元されてステルコビリノーゲンになり,別の部位が酸化されて最終的にはステルコビリンになる.このステルコビリンは大便の茶色の元である.

検査レポート作成指南・5

心電図検査(安静時)編

著者: 高梨淳子

ページ範囲:P.112 - P.118

 心電図検査は,患者の四肢や胸部に電極を装着して心電計の記録開始ボタンを押すだけで誰でも簡単に記録をすることができる.記録時は仰臥位,安静状態で記録するのが一般的であるが,患者の状態によっては体位を変えたり,波形を確認して追加誘導を記録したりすることも必要となる.

 心電図の報告は,記録された波形をそのまま報告書として提出している施設が多い.また,循環器専門医師が全症例を判読することは困難であるため,自動解析判定を報告している施設も少なくはないと思われる.しかし,自動解析による判定が正しいとは限らない.循環器が専門ではない医師の一部が自動解析判定をうのみにし,不必要な検査や診療を行っている事例もある.

 北里大学メディカルセンター(以下,当院)では循環器医師による判読は行っていない.検査技師がコメントを記載することで誤診しないよう対応している.また,体位や電極の位置を変えた場合などもコメントを記載している.

元外科医のつぶやき・13

手術を受ける

著者: 中川国利

ページ範囲:P.121 - P.121

 手術当日は4時30分に目が覚めた.天井を見ながら,前立腺癌で生まれてはじめて全身麻酔下に腹腔鏡下手術を受けることを自覚した.私の罹患を心配する親友から贈られた,想いのこもった小石を握り,手術が無事終わることを願った.

 8時45分に妻に見送られ,手術室に徒歩で入室した.中央に手術台があり,片隅にはシートに覆われたda Vinci®が控えていた.促されるまま手術台に横になって天井を見上げると,外科医時代に見慣れた無影灯があった.外科医としての40年間はあくまでも手術は行う立場であり,自分自身が患者として手術を受けるとは露にも思ってもいなかった.麻酔や手術は安全であると思ってはいても,患者としてはやはり不安が募った.

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バックナンバー一覧

ページ範囲:P.21 - P.21

「検査と技術」1月号のお知らせ

ページ範囲:P.28 - P.28

書評 糖尿病に強くなる!—療養指導のエキスパートを目指して

著者: 鞍田三貴

ページ範囲:P.105 - P.105

糖尿病を取り巻く環境の変化に素早く順応する力を養う

 私が管理栄養士として病院に勤務し,糖尿病教室や栄養食事指導を始めたのは1990年頃です.当時の糖尿病教育入院は,40〜50歳代の肥満を伴う糖尿病患者さんが多く,食品交換表の勉強などが組み込まれていました.糖尿病療養指導は,多職種によるチームで行われておらず,栄養・食事指導は食物栄養のみに着目した指導型教育であったように思います.

 しかし時が流れて今,わが国は世界に類を見ないスピードで高齢化が進行し,超高齢社会に突入しました.その中で,医療においては,単に長く生きるのではなく,健康を維持・増進しつつ寿命を延ばす取り組みがなされています.これを実現するために,医療従事者には,指導教育型から脱却し,セルフエフィカシィ(自己効力感)を高める技術が求められます.本書は,そんな社会のニーズに合わせて,糖尿病の基本から,ライフステージごとの生活指導に留まらず,心理面とそのケア,行動変容を促すアプローチなどについても述べられています.また,災害時の対策と対応から服薬アドヒアランス,糖尿病とがんなど,教科書にはみられないコラム記事がとても新鮮です.

次号予告

ページ範囲:P.123 - P.123

あとがき

著者: 佐藤尚武

ページ範囲:P.124 - P.124

 この“あとがき”は秋に書いていますが,2015年は夏の終わりから秋にかけて,いくつもの大きな台風と大雨に見舞われました.大雨では,関東地方でも多くの河川が氾濫し,さまざまな場所で被害が出ました.幸いなことに,私の居住する地区や勤務先のある場所は大きな被害を受けずに済みましたが,本誌の編集委員のなかにも被害を受けた先生がいらっしゃるようです.東日本大震災における津波のときにも痛感しましたが,水害の恐ろしさをあらためて認識させられました.被災された方々には心よりお見舞い申し上げるとともに,1日でも早く元の状態に戻ることを祈念するものです.もちろん,単に元の状態に戻るのではなく,防災体制がこれまで以上に整備される必要があることは,言うまでもありません.

 さて,本号の第1特集は「社会に貢献する臨床検査」です.新しい年,2016年の幕開けを飾るのにふさわしい特集だと思います.本誌の名称でもある“臨床検査”は,一般の人々や社会に貢献できてこそ,その存在価値が認められます.臨床検査分野のリーダーの方々に,さまざまな観点から“臨床検査”の社会貢献に関して解説をしていただきました.ちょうど東日本大震災について前段で少し触れさせていただきましたが,臨床検査の一分野であるPOCT(point of care test)の災害医療における貢献が語られています.POCTは地域医療や在宅医療の分野でも大きな貢献ができる可能性が示されています.臨床検査に携わる人間は,その社会貢献を常に頭の片隅に置いておく必要があると考えます.年の初めに本特集をじっくりお読みいただきたいと願う次第です.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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