増大号 心電図判読のスタンダード 基本を極めて臨床で活かす!
はじめに
著者:
河合昭人
ページ範囲:P.1123 - P.1123
心電図検査の歴史は古く,動物の心筋が心拍とともに電気を発生することを発見したのはイタリアのMatteucciです(1843年).臨床的に活用できるようになったのは1929年に市販されるようになってからで,当時は写真の現像式だったということです.心電図検査は長い歴史のなかで大きな進歩を遂げて今日に至っています.その歴史ある心電図検査は循環器学のなかで基本中の基本といわれており,その判読は医師のみならず検査技師にとっても重要となっています.本増大号は,読者の方々に心電図を基本的な判読法から学んでいただき,12誘導心電図を一定程度,判読できるようにすることを目的として企画しました.
第1章ではまず,基本的な解剖や心筋活動電位,記録方法や判読方法を解説します.続いて,第2・3章では各種波形に注目して,P波,QRS波,T波などの異常から読み解くポイントを解説します.ここでは,脈の乱れから不整脈を攻略するポイントについても,できる限り詳細に述べています.また,ペースメーカー調律についても,最新のトピックも織り交ぜながら解説しています.第4章では,患者さんの主訴をどのように心電図の判読に役立てるか,さらには,その主訴からどのようなことがわかるのかを解説します.第5章では,一般的なパニック値(クリティカルバリュー)の基準を理解し,判断ができるようにするために各施設での取り組みについて紹介します.患者さんを目に前にして行っている心電図検査では急変時の対応も求められています.その対応について救急医学の立場から解説いただきました.第6章は心電図症例を示し,今までの章で培った判読能力を試すことで,さらにステップアップを目指しています.第7章は「教えて先生!」と題して,読者からの疑問に答えるかたちで,基礎レベルではないステップアップした心電図の判読や抗不整脈薬,ペースメーカーの最新デバイス,さらには心電図検査の未来まで解説をいただきました.第8章で指導・育成と精度管理を解説することによって,日々の業務を行ううえで大切な実運用を習得していただけると考えています.