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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査7巻4号

1963年04月発行

雑誌目次

グラフ

寄生虫卵の発育過程

著者: 小宮義孝

ページ範囲:P.239 - P.240

 寄生虫卵の構造でも線虫類と吸虫類とでは若干そのおもむきが異なっている。
 線虫類の卵はその生成の当初から,同じ細胞のなかに,胚芽と,それが発育するに必要な栄養物とが混在している。一方吸虫類の卵は生成の当初から,卵殻のほぼ中央に胚細胞があり,これをとり巻いて十数個の卵黄細胞があるのが普通である。胚細胞は発育の途次,周囲の卵黄細胞の内容を栄養物として摂取しつつその発育を完了する。

薄層クロマトグラフィーの実技

著者: 原昭二 ,   和田秋枝

ページ範囲:P.241 - P.246

技術解説

薄層クロマトグラフィーの実技

著者: 原昭二

ページ範囲:P.247 - P.249

 薄層クロマトグラフィーDünnschicht-Chromatographie;thin-layer chromatography(TLCと省略される)は,数年前より世界各国に急速に普及し,化学の広い範囲の研究に応用されている新しい分析技術である。その特色としては,従来の種々のクロマトグラフィーと比較してより微量の試料が取り扱えること,分離能が鋭敏なこと,展開の迅速性(普通15〜60分),検出の確実なこと(濃硫酸などの腐蝕性の試薬を噴霧できる),そして操作の簡易なことなどがあげられる。
 この方法は,吸着剤の薄層の上で混合物を溶媒によって展開し,分離・分析するもので,従来はカラムクロマトグラフィーの予備試験法として使われるに過ぎなかったが,Kirchnerらはデンプンやセッコウを固着剤としてガラス片または板の上にシリカゲルの吸着層を作り,植物成分の分離に応用した。これはクロマトストリップまたはクロマトプレート法と称し,今日のTLCの前身となっている。1958年以降Stahlの研究によって画期的な改良がなされ,吸着剤・操作法は標準化・簡易化された。そして再現性と数量的な表現を備えた分析法としてその形態を整えるに至った。この法はカラムクロマトグラフィーの微量法に当り,吸着および分配の両原理によって混合物を分離するものである。

血液凝固に関する検査法(4)

著者: 佐竹清人 ,   牛山清司 ,   小島直彦 ,   国島修 ,   盤若博司 ,   酒井義雄

ページ範囲:P.253 - P.258

IV.凝血因子の分別測定(つづき)
9.トロンボプラスチン(以下トプ)形成試験Thromboplastin Generation Test (TGT)
 全血またはカルシウムを再加した血漿におけるトロンビンの形成をしらべてみると,最初の数分は全くその形成がみとめられないのに,凝固がはじまりかけると突然大量のトロンビン形成が起こる。これは正常の血液中にプロトロンビンをトロンビンに転化せしめるに必要なすべての要素が存在すること,ならびに,これらが相互に作用し合それと塩化カルシウム溶液とを同時に,あらかじめ37℃に温めておいた正常血漿の中に加えればQuickの1段法プロトロンビン時間測定法と全く同じ原理で凝固時間が観察され,それは時間の経過とともに短縮して,ついに一定の最短時間になるはずである。ところが,もし内因系トプ形成因子に異常があれば,混合液中に強力なトプが形成されないから,基質(substrate)として用いた正常血漿の凝固時間(プロトロンビン時間)はそれほど短縮しない。従って混合液の内容,とくに吸着血漿と血清を健康者と患者について種々組って強力なプロトロンビン—トロンビン転化物質,すなわち内因系トプを形成するのに若干の時間を必要とすることを意味する。

胃細胞診の実際

著者: 信田重光 ,   滝田照二 ,   八木義弘

ページ範囲:P.261 - P.268

はじめに
近年,癌の死亡率の上昇とともに,癌の早期診断,早期治療の必要性が叫ばれるようになり,診断法も種々検討されて来ている。わが国で最も多い胃癌の診断については現在のところ,胃X線検査を中心に,胃鏡,胃カメラ法を行ない,臨床検査室の検査としては,糞便潜血反応,胃液検査などが行なわれていたが,近年細胞診による診断法が胃癌の早期診断の重要な一環を占めるようになり,日常検査として行なわれるようになつて来た。そして,胃X線検査を中心に,胃内視鏡法および細胞診を併用することにより,全体としてほぼ99%に近い胃癌を診断し得ることは,われわれがしばしば報告して来たところである
 。さて胃癌の細胞診については,19世紀後半より二,三の学者によってその可能性が示唆されていたが,本格的には,1946年Papanicolaou1)の報告以後,急速に進歩して来たものである。そして細胞採取法にも種々の考案がなされ,表1(次ページ)のごとく,多くの研究者によりその成績が発表されている。

いわゆる非定型抗酸菌の鑑別—特に小川培地上での結核菌との鑑別

著者: 工藤禎

ページ範囲:P.269 - P.272

まえがき
 結核菌以外にも多数の抗酸菌があることは,すでに結核菌発見後間もない1885年ごろより知られている。その後も無数の研究が発表されているがそれらの菌株のうち性状の細かい検討がなされ"種"として認められているものは現在でもはなはだ少ない。Bergeyの分類学によれば表1の14種があるだけである。
 本来非定型抗酸菌という言葉は,これらの種として決定された定型菌以外の,名まえのついていない抗酸菌という意味である(米国では非定型菌という言葉はやめて未命名とか未分類と呼んでいる)。しかしわが国では非定型抗酸菌という特別な菌があるような感じで受け取られている傾向がある。

座談会

近畿地区検査室の現況と抱負

著者: 富田仁 ,   仁木偉瑳夫 ,   宮崎武夫 ,   田中一 ,   福武勝博 ,   弓場貞子 ,   原田昭子 ,   菅沼源二 ,   山下一 ,   渡辺富久子 ,   吉田金三 ,   阿部裕

ページ範囲:P.274 - P.285

近畿地区という自覚
 阿部それじゃ始めましょう。私に司会をやれという御指命でございますが,実は先日,富田先生,仁木先生とご相談して,関西地方でもここ一,二年で検査室も充実してき,横の連絡も円滑になってきたので,今後いろいろな企画・会合をする時期にきているのじゃないかということになりました。今日はその一つとして行なわれたわけであります。
 まず最初に,この会の主眼点を申し上げたいと思いますが,ご承知のとおり,最近,検査室というのは,病院運営上必要だということで,各病院とも充実してまいりました。しかし,技術的問題,運営上の問題,その他いろいろの問題が山積しておりまして,現今,検討・充実の途上にあると言い得ると思います。

研究

東大病院中央検査部におけるCRP試験の集計成績

著者: 鈴木秀郎

ページ範囲:P.289 - P.296

はじめに
 CRP-Testは1930年Tillet&Francis1)によって始めて報告されて以来,さまざまな改良が行なわれ,McLeod & Avery2)3)にょって簡単な手技が工夫されたので盛んに臨床に利用されるようになり,日本でもようやく広く応用されるようになってきた。
 東大病院中央検査部血清検査室では昭和32年10,月にこの反応の受付を開始し,現在までに約25,000件の検査を行なっているが,今回は昭和34年12月まで7000件の成績を集計したので,ここに報告する。

分光光度計を要しない尿17-ケトステロイド定量法(Rappaport)の検討

著者: 竹中守人 ,   亀岡満子

ページ範囲:P.299 - P.301

 尿17-ケトステロイドの定量は副腎皮質機能検査として有力な検査であり,現在は日常検査の一つとして数えられるにいたった。しかし17-ケトステロイド(17KS)の定量には従来使用されている方法はBeckman型分光光度計を必要とし,分光光度計を所有する検査室が少数に限られている現状では,17KS定量をすべての検査室で実施する訳にはゆかなかった。
 私たちはRappaport1)(1960)により発表された普通の光電比色計による尿17KSの測定法を知り,これに多少の改変を加えた方法と現在私たちの検査室で行なっている三宅法3)との比較を行なったところ,分光光度計によらずとも尿17KSを定量し得るという成績を得たのでここにその方法(Rappaport法の変法)を紹介する。

第10回(昭和38年度)二級臨床病理技術士資格認定試験について

著者: 日本臨床病理学会

ページ範囲:P.303 - P.307

第10回二級臨床病理技術士資格認定試験実施要領
 臨床病理技術士資格認定制度により,昭和38年度の資格認定試験を下記のごとく実施する。
 1.試験期日昭和38年7月14日(日)前後約4日間の予定,正確な期日は受験票交付時に通知する。

第2回(昭和38年度)一般臨床検査士資格認定試験について

著者: 日本臨床病理学会 ,   緒方富雄

ページ範囲:P.307 - P.308

第2回一般臨床検査士資格認定試験実施要領
 一般臨床検査士資格認定制度により,第2回資格認定試験を下記の如く実施する。
1.試験期日昭和38年7月7日(日曜)

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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