<検査科と臨床の話し合い>
血清糖タンパクの検査をめぐって
著者:
松崎七美
,
小俣喜久子
,
星野辰雄
,
佐藤乙一
ページ範囲:P.466 - P.467
佐藤 今日は最近次第に注目をあびつつあります糖タンパクの問題についてひろくお話を伺いたいと思います。たまたま当院で糖タンパクと脂タンパクを電気泳動法によって各分画定量を行なっており,このどちらもがかなりの検査件数にのぼっていますので話しやすいと思いますし私どもも単に検査するだけではなくて,いろいろな学説を聞きながら勉強したいわけです。まず最初に松崎副院長に内科医長という立場から血清糖タンパクの概念を話していただきたいと思います。
松崎 血清糖タンパクというのは名称もまだはっきりしていません。しかし当院では糖タンパクとよんでいますのでそれに従うことにしましょう。ただお断りしておきたいことは,私は臨床家ですから,化学的に深く追求されてもお答えできない場合が多いと存じます。さてわれわれが臨床家として一般的に理解している範囲で申しあげてみますと,糖タンパクとは血清中のタンパクにいろいろな形でむすびついた糖質の集りであるといってよいのではないかと思います。もちろん厳密にはいろいろ問題もありましょうが。……そして広義的にはこれが大きく3種類にわかれているようです。第一はHexosaminを含む高分子の多糖類(Mucopolysaccharide),第二は前者とタンパク質が極性結合し,または分離しやすいLinkageで結合しているものでややタンパクに近いもの,第三はGlycoproteinと呼ばれながらタンパクとしての性質をもっているものというふうに言われております。そしてヘパリンコンドロイチン硫酸や,C反応性タンパク(CRP)などはいずれもこの第一の部類に加わっているということです。しかし学問的にはいろいろの学説や実験等の結果もあってなかなかむずかしい問題なのです。けれども臨床的にはたしかに大きな意味がありますし,そのために複雑な検査を常にお願いしているわけですが,内科領域からみればこの検査データーは非常に興味があり,また大切なもののひとつであると思っています。