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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査8巻1号

1964年01月発行

雑誌目次

グラフ

第3回フォトコンテスト第1部入選作品

著者: 早川清也 ,   大竹敬二 ,   小野寺理 ,   山際定生 ,   辰巳宣博 ,   石墨政明 ,   森賀英幸 ,   松原公彦 ,   福岡幸基 ,   合田主税 ,   柳川弘

ページ範囲:P.9 - P.14

技術解説

溶血性貧血の検査法

著者: 小宮正文

ページ範囲:P.17 - P.23

I.溶血性貧血の概念
 造血巣から血液の中に送られて来た赤血球は110〜120日ぐらいの間に老廃して死滅する。そうすると,血液の中にいつも同じくらいの赤血球数が存在するためには,造血巣から単位時間に補給される赤血球数が老廃死滅赤血球数とほぼ等しいことになる。健康人の血液中の赤血球数はこのようにして比較的恒常的な値を保っている。たとえば500万/cmmというごとくである。
 一方,赤血球が死滅すると,その主成分である血色素もなんらかの過程で代謝されるわけであるが,血色素成分のポルフィリン環は代謝されてビリルビンに転化し,肝細胞の働きでグルクロン酸結合型となり胆汁に排出される。健康人の血清ビリルビン濃度は0.5〜1.0mg/dlで,その大部分はいわゆる間接型ビリルビンである。

リステリアの細菌学

著者: 尾形学

ページ範囲:P.24 - P.30

はじめに
 リステリア菌(L菌)といっても,おそらく一般にはあまり親しみのない菌種名であろうし,またリステリア症(L症)とはどんな病気か関心を持たれた方も少ないと思われる。事実,わが国ではヒトの症例は1958年,伊藤ら(1959)1)によって髄膜炎の症状を呈した小児の髄液から本菌が分離され,ヒトのリステリア性髄膜炎と診断されたのが最初で,今日までにわずかに6例を数えるのみである。しかしながら,この疾患は鳥類,動物では決して珍しいものではなく,1948年,田島(1950)2)が札幌でヤギの脳炎に際し,病理組織学的に本症であることを推定したのが最初で,1951年には旭ら3)が本邦で初めて本菌を分離し,以来1962年までの15年間に,家畜の罹患したもの総計146頭(ヒツジ85,ウシ14,ヤギ46,ブタ1)に及んでいる。1926年,Murrayらによって本菌が発見されて以来,本菌の感染は広く各種動物(少なくとも36種の動物)にわたり,その報告も広く各国,約30ヵ国からなされている。諸外国においては本菌の培養方法が確立されるに伴って,特にヒトの感染例が相次いで証明されるようになり人畜共通の伝染病として多くの関心を集めているのが現況である。

毒素抗毒素反応

著者: 村田良介

ページ範囲:P.31 - P.35

はじめに
 本稿で毒素というのは,いわゆる"外毒素"に限り,糖脂質を主成分とする"内毒素"には触れない。毒素はタンパク質で,適当な濃度を用いれば,ほかのタンパク質と同様に試験管内で抗毒素との間に沈降反応その他の抗原抗体反応を起こす。したがって,毒素抗毒素反応も本質的には他の抗原抗体反応と異なるところがない。ここでは毒素の生物学的活性を中和する反応を中心にしてのべることにする。

自動温度制御(1)

著者: 下井吉次郎

ページ範囲:P.36 - P.42

I.概論
 温度の自動制御とは,ある装置の温度を測定して,その温度をあらかじめ決めておいた目標値と比較して,動的要素として人間を含まずに訂正動作を行なうことである。
 従って,温度を検出する検出系と,その温度を目標値と比較して訂正動作を行なう調節系との二組よりなる。

座談会

図表原稿の書き方

著者: 樫田良精 ,   真島英信 ,   松村義寛 ,   天木一太 ,   高橋昭三 ,   伊藤允三 ,   金原健 ,   臨床検査編集室

ページ範囲:P.52 - P.63

 校正を見て「あッ こんなはずではなかった」という感じを味わった方が多い思います。著者の意図が編集者に正しく伝わっていないためです。逆に,「一体この表はどう組んでもらいたいのかしら」とか「この絵はどうかいてもらいたいのかしら」と編集にたずさわる者が思い悩む例もまた多くあります。何気なしに書いた絵・統計・表などのために雑誌の編集室で,画工や製版所や印刷所と半日も額を集めて相談することがあります。著者が製版・印刷についての知識をもち,編集者が内容上の理解にもう少し富んでいたら,簡単に解決することもあるのです。今回こうした意味合いで,原稿,ことに表・絵・写真のことを中心にお話しいただきました。

研究

ジアゾニウム塩によるGOT測定法(Trans-Ac)の使用経験

著者: 野本昭三

ページ範囲:P.65 - P.69

はじめに
 近年心および肝臓疾患の診断治療に当って血清トランスアミナーゼの測定は,もはやかくことのできない臨床検査の一つとなりつつある。
 トランスアミナーゼの測定には,検圧計による法,濾紙クロマトグラフィーによる法などが行なわれていたが操作が複雑なためその臨床的意義の重要性にもかかわらず一般には普及されるに至らなかった。1955年Karmenによって紫外部分光光電光度法1)が紹介され,本法が比較的実施しやすく充分な信頼性を有しているため急速に臨床検査に取りいれられるようになった。続いて1957年Reitman-Frankel (R-F法)によってより手軽な比色法2)が紹介されるに及んで一般に広く実施されるようになり,ことに高価な紫外部分光光電光度計の普及の遅れているわが国においてはもっぱらこのR-F法が行なわれている現状である。

赤血球沈降速度測定法に関する一知見—血柱の高さによる値の変化ならびに測定簡易器具の考案

著者: 平峰繁 ,   山本愛子

ページ範囲:P.70 - P.72

はじめに
 赤血球沈降反応(以下赤沈と略す)は非特異性の生物学的反応として,結核をはじめあらゆる疾患に際してもっとも多く行なわれている検査のひとつであり,その測定方法は一般にWestergren法が一番普及しているようである。本法は一定の割合に抗凝固剤を加えた血液を注射器から直接注入または口で測定管(以下赤沈棒と呼ぶ)に吸引した後,200mmの高さにある0点に合わせて赤沈台に立てていくものであるが,この方法では,1)初心者はもちろんのこと,熟練者といえども0点合わせはなかなか厄介なことであり,とくに50件,100件といった集団検査の際はこのために非常に時間がかかる。
2)最初0点にきちんと合わせても,赤沈台に立てた際,台ゴムの隙間などから血液がもれて,せっかく合わせた液面が0点から下がることがしばしばあり,このような際には読取りのときにずれた分だけ暗算などで補正しなければならない。

尿タンパク質,糖質試験紙法の検討

著者: 大竹順子 ,   篠崎和子

ページ範囲:P.73 - P.75

はじめに
 尿定性試験紙法は特に場所も設備も要せず,誰にも簡単にでき,半定量的な判定もできるところから一般検査の能率化には欠かせないものとなりつつある。しかしその使用方法については検査方法が簡単であるだけに,しばしば注意されている使用上の問題があり,従来の検査法と同様にその成績を評価することはできないように思われる。私たちは試験紙法を現在日常検査の多数の検体に使用しており,二,三の試験紙について成績の信頼性,保存上の問題などを従来の方法と比較検討したのでその結果を報告する。

私の工夫

アルコール綿による火炎滅菌法

著者: 松下亀能

ページ範囲:P.76 - P.76

 血中細菌培養あるいは膿疱より直接検体を培地へ接種する際,検査室から診察室や病棟へ出向くことが再々ある。そのとき白金ェーゼや器具を滅菌するためアルコールランプを使用するのが常である。しかし,アルコールランプを検査室から持ち出すことは何かと不便な場合が多く,また転倒によって,火災や火傷の恐れが多分にある。
 このような点を考えて私は便利な方法として次のような処置を取っている。

日本臨床病理学会主催二級臨床病理技術士資格認定試験(第11回)一般臨床検査士資格認定試験(第4,5回)実施のお知らせ

ページ範囲:P.77 - P.77

 昭和39年度に行なう日本臨床病理学会主催の第11回二級臨床病理技術土資格認定試験および第4回,第5回一般臨床検査士資格認定試験を下記のように実施します。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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