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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査8巻10号

1964年10月発行

雑誌目次

グラフ

胃の細胞診

著者: 山田喬 ,   安藤豊輔

ページ範囲:P.775 - P.780

創意工夫賞を受けた恒温熱風万能器

著者: 大竹敬二

ページ範囲:P.781 - P.782

考案の理由と特徴
 検査担当者自身が一番能率よく検査できる器械を自分の部室に合せて,一台の器械によって検体の塗抹標本を急速に乾燥させ,また溶液や検査過程における検査材料の乾燥あるいは伸展滅菌などを迅速化する7種類分別使用できる器械作製を完成したいと考えてきた。なおこの他に具備している特徴としてはすべて自動的であり,ほとんど無故障に近く小型軽量で血液検査,病理,細菌,血清,臨床化学検査の全検査部門に使用できるオールマイティ器として病院検査室では部門別に小病院検査室では全部門に利用でき製作費廉価などの点もあげうると思う。

技術解説

胃癌の細胞診

著者: 山田喬 ,   安藤豊輔 ,   垣花昌彦 ,   田林晃

ページ範囲:P.783 - P.789

はじめに
 剥離細胞診断の技術解説としては,すでに本誌に数回にわたり連載されており,本編もその一環として執筆するので,すでに記載された細胞診一般に共通な部分はできるだけ避け,胃の細胞診としてとくに必要な事項に焦点をしぼってみたい。そして実際に即したいわば"胃細胞診の技術のコツ"のようなものを,多少部分的にはくどくなっても書いてみたい。著者らは従来主として蛋白融解酵素洗滌法による胃細胞採取法を行ない,へマトキシリン・エオジン,またはパパニコロウ染色により細胞染色を行なっているので,本編の大部分はこの方法による胃細胞診断に関する記載であることをまずおことわりしたい。他の細胞採取法ならびに染色法についての細かい記載は省略し,われわれの行なっている方法との比較にとどめたい。

島津型自動血球計数器使用上の諸問題

著者: 星野孝

ページ範囲:P.790 - P.798

緒言
 近時臨床検査法の自動化がすすみ,正確な検査成績を迅速に得るために各種の器械が考案発売されている。血球数算定は臨床検査の中でも最も頻繁に行なわれる検査種目であり,単純な操作の割合に時間と労力を必要とするところから,早くより自動化が試みられた。欧米諸国と同様,わが国においても島津製作所より国産の自動血球計数器が製作発売され,早くも数年を経ている。現在わが国でも大病院検査室や研究所では各種の自動血球計数器が設備され,血球計数をはじめとして小粒子の自動的計数に大きな力となつている。京都大学病院中央検査部の血液検査室においては,早くより島津型自動血球計数器のPES-D型を備え,種々の検討を重ねた結果,日常の赤血球数算定に充分利用しうる確信を得て昭和38年3月よりすべての赤血球数算定にこの器械を利用してきた。さらに38年10月には新たに新型のPCD−4型を入手しえたので,後述する白血球数算定用稀釈液の完成とあいまって,PCD−4型(1図)を赤血球数算定に,PES-D型(2図)を白血球数算定に使用し,充分満足すべき成績を得ている。島津型自動血球計数器は,器械操作そのものはきわめて簡単で初心者でもなんらの習練を必要とせずに使用できるとはいえ,機構上ならびに実際上にかなりの問題点があり,精度の高い再現性に富む成績を得るために検討を要するいくつかの重要な要素がある。以下順を追ってこれらの問題点にふれてみたい。

講座 検査技術者のための臨床病理学講座5

血液形態学的検査の臨床的意義(2)

著者: 日野志郎

ページ範囲:P.799 - P.802

赤血球の変化を主とする病気
 赤血球の質的変化が問題になることはいうまでもないが,その場合,多くは量的な変化を伴っているので,まず量的変化をとりあげるのが便利である。
 量的変化を知る検査法には,赤血球数・血色素量・へマトクリット値の測定がある。それらが増加した状態を一般に赤血球増加症と呼び,減少した状態を貧血という。以上の3つの測定値はおよそ平行的に変化するから,これらの状態の有無を知るだけの目的なら,いずれか1つで大体間にあう。しかし病気の種類によって3つの値は必ずしも平行的に変化しないから,この事実を使って,逆に病気の種類の鑑別をすることができる。その際色素指数だのWintrobeの平均赤血球係数だのの計算がものをいうことになる。

やさしい電気の知識 2

電気計器(1)

著者: 宇都宮敏男

ページ範囲:P.803 - P.805

 電気機械装置の作動状態や特性を知るためには,電気的な状態量すなわち電圧,電流,電力,抵抗などの値を計る電気計器が必要である。本稿では電気計器を概観し,その使用方法,取り扱い上の注意などにふれてみたい。

私の工夫

マジックインク?を消し去る方法

著者: 中西寛治

ページ範囲:P.805 - P.805

 近年,墨にかわって,マジックインク類の利用が大になりましたが,書いた後,一寸消そうとして洗剤などで洗っても,よく消されない。キシレンなどの溶剤では,消されますが,高価で使用に一寸難があります。
 そこで私は,クレゾール石鹸液を,うすめず,そのまま使用しております。

座談会

臨床検査技師の身分と待遇をめぐって

著者: 今井誠 ,   小酒井望 ,   坂本一郎 ,   佐藤乙一 ,   中橋勇次郎 ,   藤原道子 ,   松下廉蔵 ,   樫田良精

ページ範囲:P.814 - P.826

 樫田きょうは「検査技師の身分と待遇をめぐって」皆さま方のご忌憚のないご意見をいただきまして,読者とともに考えてみたいと思います。
 衛生検査技師法が昭和33年にできました。これを契機としまして,従来埋もれておりました検査関係の技師が,日本でもはじめてデビューしてきたのでございます。若い読者のために,この歴史的な意味のある検査技師法成立前のお話からすすめてみたいと思います。

インタビュー

創意工夫功労賞をうけた大竹敬二氏をたずねて—恒温熱風万能器の工夫

著者: 荒垣恒政

ページ範囲:P.828 - P.829

 去る4月,第6回科学技術功労賞の表彰式が,千代田区代官町の科学技術館で行なわれたが,国立立川病院血液研究室の大竹敬二氏が,受賞者の一人に選出され,本年科学技術庁長官賞を受与された。
 受賞の対象となった仕事は,すでに本誌の「新しい工夫」欄にも発表されたことのある「恒温熱風万能器」(本号グラフ頁参照)の考案である。「医学創意工夫に顕著な功績があった」ことを認められ,大竹氏が賞を受けたことは,臨床検査技師界にとっても,朗報といえよう。

英会話

Laboratory English—No.5

ページ範囲:P.830 - P.832

研究

新大における最近分離の一般病原性細菌に対する薬剤感受性試験成績の傾向

著者: 屋形稔 ,   重野和子 ,   石川キク子

ページ範囲:P.833 - P.835

はじめに
 新大中央臨床検査部で日常行なっている一般細菌検査のうち,1962,1963年度に分離した主なる病原細菌の薬剤感受性試験成績を集計,本学における1958〜1961年度の成績1)2)と比較しつつ,薬剤耐性菌出現の最近の様相について報告する。

今年の人事院勧告を分析する

著者: 佐藤乙一

ページ範囲:P.836 - P.840

 本号座談会においても,検査技師の地位と待遇の問題が論じられているが,この論稿では,人事院勧告をめぐって賃金問題の全貌を展開していただいた。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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