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雑誌目次

論文

臨床検査8巻11号

1964年11月発行

雑誌目次

グラフ

注射針のいろいろ

著者: 堀越晃

ページ範囲:P.863 - P.865

注射針の刃形(倍率18倍)

血中アンモニアの迅速測定

著者: 斉藤正行 ,   内田敬嗣

ページ範囲:P.866 - P.870

 今日の診療においては肝性昏睡の診断その他のために血中アンモニアの迅速測定が救急的に依頼されることが多くなってきた。したがって化学検査室としてはいつでもその要求に迅速に応じられるよう日頃から準備をしておく必要がある。そこで私達の検査室ではこの極微量のアンモニアを正確,迅速に測定するために鋭敏なBerthelot反応を用いることとし,またいつでも測定できるように,日常検査として毎日50件位が要求される尿素窒素の測定にUreaseとの組合せでこの反応試薬を採用している(20頁参照)。

簡易臨床検査の意義

著者: 樫田良精

ページ範囲:P.871 - P.874

はじめに
 簡易臨床検査法が最近いろいろと現われてきた。この代表的なものの一つは試験紙による尿検査法であるが,この他にも特別な装置や特別な器具を用意しないで,市販の試薬あるいは試薬セットを使うだけで,だれでも,どこででも,手軽にやれる便利な検査法が利用できるようになった(表1参照)。
 簡易検査という言葉を使う以上,これに対比し得る簡易でない同じ目的の検査があるわけである。したがって従来使われていた各種の臨床検査法に比して簡易な方法であることを理解すれば,一口に簡易臨床検査といっても簡易の程度に種々の段階があることがわかると思う。

技術解説

注射針の常識

著者: 堀越晃

ページ範囲:P.875 - P.877

はじめに
 注射針は目常使用される医療器具の一つとして重要なものであり,使用に際しては充分な注意のもとに取扱うべきは勿論のこと,とくに洗浄滅菌操作は完全に行なわなければならないが,それにもかかわらず一般には注射針についての常識に案外欠けているのではないかと思う。以下最近の注射針についての調査をもとに解説してみよう。
 まず注射針として備えなければならない必要条件としては次のものがあげられる。

超微量尿素窒素測定法の日常診療への応用

著者: 斎藤正行 ,   内田敬嗣 ,   鈴木恵美子

ページ範囲:P.878 - P.883

I.はじめに
 血中尿素窒素の測定は今日では残余窒素にかわって化学検査の最頻度種目(表1)の一つとなり,腎心疾患,脱水症,胃腸管内大出血などの有力な指標として日々の診療に大きく貢献している。したがって検査室側としても従来の古典的繁雑な方法では迅速な報告は不可能となり,試験紙によるユニグラフ法の採用とか1〜2)Diacetyl-Monoxime法のAutomation化によってこれに対処してきているのが現状である。実際こういう改善をしない限り,また旧態依然として残余窒素を固執している病院では,検査室の精度・能率はおち,データは診療のタイミングにあわず,新らしく展開した種々の酵素活性測定などの導入の余地なく,非常に時代遅れの診療下におかれているか或いは膨大な検査技師により結局は病院経営,貴重な国税に,さらに患者に大きな負担をかけている。
 一方医学のめざましい進歩によって多くの新らしい知見とともに当然新らしい検査種目が日常診療の必須項目として加わってきているが,その一つに血中アンモニアの測定がある。

アイソトープの測定器械

著者: 田中茂

ページ範囲:P.884 - P.890

まえがき
 ラジオアイソープ(RI)が医学の分野に導き入れられてから今日までにはたした役割はきわめて大きなものであり,今後ますますその利用面がひろげられてゆくものと信じられる。RIを用いる場合,最終的な結著は必ず測定器によりRIの量的関係を求めることによって得られるものであるから,RIを正しく測定せぬ限りは,いかにそれまでの過程を慎重に進めてきたものであっても,無意味なものになりはてるのである。したがってRIを取り扱うためには測定器の原理構造に一応の理解をもち,その正しい使用法に習熟することが必須の条件であることはいうまでもない。

MSP(顕微分光光度計)の使用法と応用について—特に癌組織診断の補助手段として

著者: 乾直道

ページ範囲:P.891 - P.897

はじめに
 顕微分光光度計(microspectrophotometer)とは,顕微鏡的な大きさの試料に対して分光測定をすることが可能な装置である。しかし実際は,非常に小さい試料に対しては顕微鏡に写真光源装置の組合せたものとして発達してきた。
 1936年にCasperssonにより生物の細胞内物質の定量的研究を目的として顕微分光光度計が作られた。この装置は光源としてモノクロメーターを使い,単色光線で試料を照明し,その拡大像について,測光した部分の光量を測定したものであった1)。その後,Pollister & Ris2)その他多くの人々によって改良された装置が報告されているが,原理的にはCasperssonのものと同様である。

座談会

新しい顕微鏡

著者: 天木一太 ,   太田邦夫 ,   樫田良精 ,   高橋昭三 ,   上野正 ,   ブリンクマンクラウス ,   根岸正秀 ,   霜島正 ,   和田計二

ページ範囲:P.906 - P.918

顕微鏡はいろいろの点で進歩した
 天木今日は新しい顕微鏡という題でお話いただきたいと思います。臨床検査といってもいろいろな分野がございますが,病理とか,細菌とか,血液というような検査室で働いている人たちはほとんど一日中顕微鏡を使っています。そういうわけで顕微鏡には大へん興味がもたれておりますが,最近いろいろ新しい型の顕微鏡が出てきておりますので,そういうものについて,いろいろお教えをいただいたり,あるいはご注意いただいたりしたいとおもいます。
 昔は顕微鏡といいますと,いい顕微鏡を1台買っておきますと,一生使えるし,場合によっては孫の代まで使えるような状態でしたけれども,最近の顕微鏡,とくに臨床検査室で使う場合には,朝から晩まで使いますから,非常に使い方が激しいということになります。それからまた使い方としては,一日中使うわけですから,実習に使うとか,研究に使うとかいうのとは違って,使う時間が非常に長いんですから,長く使っても疲れないということも必要になってきます。

講座 やさしい電気の知識 3

電気計器(2)

著者: 宇都宮敏男

ページ範囲:P.919 - P.923

IV.テスター
 回路の試験によく用いる簡便な計器で,前述の電流測定,電圧測定のほか,抵抗の測定もできる。本体は電流計(1mAあるいはそれ以下で100%の振れを示す)1個で,多接点の切換スイッチによって多種類の並列抵抗および直列抵抗を接続替えできる。たとえばメーターの全範囲を10V,50V,100V,500V,1000V,1mA,1〇mA,100mA,1000mAなどに対応させるようなテスターが市販されている。
 抵抗測定の原理は図1で説明できる。たとえばフル・スケール250μAの電流計,10kΩ(メーターの抵抗も含む)の直列抵抗,25Vの電池Eをすべて直列にしたものが抵抗計であって,その測定端子に未知抵抗Rxをつないだときの電流値からRxが割り出せる。

検査技術者のための臨床病理学講座6

血液凝固検査を必要とする病気(その1)

著者: 河合忠

ページ範囲:P.924 - P.927

 血液凝固検査は血漿プロトロンビン時間が肝機能検査としても用いられる他,通常出血傾向を示す患者にその原因をさがすために用いられる。以下,本文は出血傾向を示す諸疾患における検査の進め方の概略を述べ,代表的な病気の臨床像を記し,多少とりつきにくいと思われている血液凝固検査に興味をもっていただくことを目的とした。しかし,これらの病気は頻度としてはまれな部類に属し,常にすべての検査ができるように技術員の訓練も含めて検査室を整えることは容易なことではない。しかし一通り知識として心得ておくことはあってもよいと思う。

英会話

Laboratory English—No.6

著者: 河合忠 ,   河合式子

ページ範囲:P.928 - P.929

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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