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雑誌目次

論文

臨床検査8巻12号

1964年12月発行

雑誌目次

グラフ

ミリポアフィルターによる細胞集収法

著者: 田嶋基男 ,   山岸紀美江

ページ範囲:P.955 - P.960

実用的な安価な恒温槽の工夫

著者: 斉藤正行

ページ範囲:P.961 - P.962

 体液酵素活性の測定とか血液凝固時間の測定は今日の診療には欠かせないものとなっているがいずれも恒温槽を必要とする。恒温槽を医療器械店に頼むと安くて1万円の極めてチャチなものか撹拌装置つきとかいう実に大きな数万円のものを持ってきて,小さな検査室には置場所がない。第一そんなものは診療所の検査室などではとても買ってもらえないのが現状のようである。ところがデパートの熱帯魚の売場で買い物をしてごらんなさい。数万円に相当する撹拌装置つきの美しい恒温槽が何と3000〜4000円で直ちにでき上り,その精度も0.5°以内で日常診療には勿論のこと研究上にも充分役立つ。

技術解説

ミリポアフィルターによる細胞集収法—細胞診への応用

著者: 田嶋基男 ,   山岸紀美江

ページ範囲:P.963 - P.965

はじめに
 癌診断における細胞診の役割は,近時,しだいにクローズアップされてきた。それは細胞診が,ある条件下では組織診と共に,直接診断法の一翼を担い得る場合があるからである。たとえば,胃,肺,膵などに癌腫の存在が想定される場合,子宮や乳腺などと異なり,試験切除による組織診の施行がはなはだ困難であり,胃液,喀痰,膵液などによる細胞診が,もっとも確診率の高い診断法として取り上げられてくるわけである。
 現在,各科領域において細胞診はすでに相当の成績をあげているが,さらにこれを向上させるためには,悪性像を如何に認識するかに関する医師の知識と経験とを向上させる事と平行して,いかにして検体の中から,良い状態で,より多くの細胞を集めるかという,技術の向上がこれに伴わなければならない。

線維素溶解現象の測定法—プラスミン系の測定法

著者: 岡本歌子

ページ範囲:P.966 - P.971

はじめに
 最近プラスミン系の測定は臨床各科にわたって重要な臨床検査項目になりつつある。しかし測定法は種々報告されているが,決定版ともいうべきものがなく,新しい検査項目に加えようとする時には,まず測定法の選択に困惑することが多い。この解説はそういう場合のために,従来発表されている方法を筆者らの経験にもとずいて,日本の臨床検査の現実の中で実施しやすい形にして解説風に書いたものである。
 プラスミン活性充進の臨床例をはじめて記載したのはMacFarlane (1937)であった1)。彼は手術を受けた27例の患者中24例に急速な線維素溶解が起こることを報告した。また出血傾向を有する無線維素原血症の小児の症例報告(1938)をした2)。これらの発表は臨床的に出血とプラスミン活性亢進との関連に注目を惹かせる端緒となった。以後プラスミン活性と種々の疾患時の出血傾向との関係に関する論文は多数報告され,今日では血液プラスミン活性は,再生不良性貧血,白血病に伴う出血傾向,特発性腎出血,機能性子宮出血,分娩時の異常出血,網膜出血,蜘蛛膜出血などに際しては,測定すべき一つの検査項目となりつつある。

色素による血清アルブミン定量法

著者: 高橋浩 ,   松田信義 ,   大庭雄三

ページ範囲:P.972 - P.976

はじめに
 血清の総蛋白濃度は疾患に際してもなかなか正常範囲からはずれないものである。臨床検査室で日々測定されている被検血清の蛋白濃度の値は大部分が正常値を示し,これがはっきりと低下するのはネフローゼ症候群,大出血,癌の末期など限られた症例に見出されるにすぎない。また血清蛋白濃度の上昇も骨髄腫とか一部の炎症に限られている。
 しかし血清蛋白の組成の面からみると,病的状態では鋭敏に組成の変化をきたし,しかもそれは疾病の種類および程度を反映する。ゆえに血清蛋白の検査は単に総濃度の定量にとどまることなく,その組成の変化をうかがうことが是非必要となってくる。

脳の組織切片染色法

著者: 鈴木恒道

ページ範囲:P.977 - P.982

はじめに
 私がここに記す染色法は,決して,脳病理専門家に向くとはいえず,日常,主として解剖例を検索していくのに手頃な方法といえよう。
 すなわち,われわれが,日本医科大学病理学教室および,東京警察病院病理検査室において,解剖例について行なっている方法に,若干の特殊なものを加えて記すに過ぎない。われわれとしては,脳も,体の主要臓器の一つであり,他の器官と大きな共通性をもつていると考え,脳だけを別個に取扱うことはしない。したがって,比較的容易に,気軽に切片を作成し,染色できるという方法を選んでいるわけである。

講座 やさしい電気の知識 4

電動機の原理

著者: 宇都宮敏男

ページ範囲:P.991 - P.993

1.はじめに
 電力を機械的な動力に変換する装置として電動機(モーター)はきわめて多方面で重要な役割を演じている。われわれの家庭では,電動機を用いた機器として,電気洗濯機,電気掃除機,電気冷蔵庫,電気扇,空気調和装置,電気かみそり,ミキサー,電気時計……と数えだしたらきりがない。これらが文化的生活の支えになっているのはいうまでもない。さらにこのような文化生活のもとになっている各種工業製品の生産過程で,また人や物資の輸送などに使われる電動機の種類や数は莫大なものである。
 機械的動力を発生する装置には,もちろん電動機以外にも内燃機関や蒸気タービンなどの熱機関の占める位置も重要である。しかし電動機には動力を迅速に制御できること,廃棄物を生じることなく運転できること,エネルギー変換の効率の高いことというすぐれた特長がある。大きな欠点としては電力を供給するための電線が必要なので随意に移動するものにはむかない。

検査技術者のための臨床病理学講座7

血液凝固検査を必要とする病気(その2)

著者: 河合忠

ページ範囲:P.1005 - P.1008

代表的な出血性疾患の検査の進め方
 前回,血液凝固機序の概説と出血性疾患の臨床像のあらましについて述べた。今回は,臨床像から出血傾向があると疑われたならばどのような順序で血液凝固検査がおこなわれるか,またその検査成績はどのように解釈されるかを述べる。
 ある種の出血性疾患は検査成績のみから診断が可能であるが,まず病歴ならびに臨床所見の検索が診断の第一歩として行なわれる。つぎに血液凝固検査に移るが,それには多くの方法があり,一つ一つのテストが,ある特定の部分を調べるように作られているので目的に応じた使い分けがおこなわれる。また,それらのテストをどの順序で行なうかを適確に知っておく必要がある。

私の工夫

C. R. P.-Testの毛細管内抗血清と検査血清の混合法/メイ-ギムザ速染法

著者: 中西寛治 ,   柴原好彦

ページ範囲:P.993 - P.993

 臨床検査Vol. 5 No. 6のグラフに試験術式が,非常にわかり易く,図解されてありますが,数件体の場合は,1〜2件体分指でつまんで,混合すればいいが,件数が多くなりますと,一寸時間の無駄になります。
 そこで,私は,空箱(ストレプトリジン0.栄研1号)を,利用して,同時に10数件体分図の如く,輪ゴムで毛細管をおさえ,拇指で念のため軽くおさえる。そして,上下に静かに動かす。

座談会

自動血球計数器をめぐって

著者: 天木一太 ,   岩田弘 ,   小沢七兵衛 ,   金井正光 ,   菅野誠 ,   田村宏夫 ,   新谷和夫 ,   星野孝

ページ範囲:P.994 - P.1004

■サンボーン型の原理と測定法
 天木臨床検査の中でも,血球算定という仕事は非常に大事なことですけれども,また煩わしい能率の悪い疲れる厄介な仕事です。これを機械でやることができれば非常に有難いことですが,化学の方の検査と違って顕微鏡の下で非常に細かい粒子を一つ一つ数えることですから,機械でやっても問題があると思います。
 機械の種類もずいぶん出ているようですが,この機械の説明は全部するわけにゆきませんので,比較的よく目につく機械を扱っておられる会社の方とそういう機械について御経験の深い先生においでを頂きました。はじめにサンボーンのbloodcell counterをお使いの新谷先生からどうぞ。

英会話

Laboratory English—No.7

著者: 河合忠 ,   河合式子

ページ範囲:P.1009 - P.1011

貭疑応答

脳波について

著者: 江部充 ,   伊藤弘多加 ,   船井昭男

ページ範囲:P.1012 - P.1013

質問
 ①脳外傷における異常波はどのようなものがありますでしょうか。脳外傷に特異的な異常波はないようにいわれておりますが,最もひんぱんにみられる異常波を御教示下さい。
 図示して戴ければ幸いです。

研究

病院における新しい滅菌方法としての酸化エチレンガス滅菌方法

著者: 金子康男 ,   斉藤貞夫

ページ範囲:P.1014 - P.1017

緒論
 病院における医療用器具,検査室用器具などの消毒滅菌は,煮沸,蒸気,乾熱,高圧,フォルマリンガスその他が行なわれているが,それぞれ一長一短がある。
 近時欧米ではガス滅菌の研究が進み,とくに酸化エチレン(Ethylene Oxide以下E.0.と略す)ガスによる滅菌は,低圧,低湿でしかも迅速,安価に滅菌ができるため,熱を用いない滅菌方法として注目され,熱,湿度に不安定な材料の滅菌に工業用のみならず医療用にも使われているが1),わが国ではいまだ注射セットなどに一部使用されているにすぎない。

東大中央検査部における一般細菌の統計的観察

著者: 清水喜八郎 ,   坂上ノリ子 ,   江森清子 ,   鳥山煕子 ,   舘野捷子

ページ範囲:P.1019 - P.1023

はじめに
 臨床各科の日常診療にさいして,感染症の動態は年次的に変りつつあり,しかも化学療法の発達につれて,菌交代現象耐性菌の増加という不可避な問題が,提起されている。
 つまり臨床医家にとっては耐性菌出現の状態,起炎菌の変化など年をおって変化する感染症の変貌を動態的に把握することが,必要なことは言をまたない。

C反応蛋白の直接法と毛細管法の比較検討

著者: 塩田敏雄 ,   片岡佐智子

ページ範囲:P.1024 - P.1026

はじめに
 最近各種炎症疾患や組織崩壊疾患検索の目的でC反応蛋白検査が増加している。われわれが調査した本県30病院の結果でも月間1,000件の検査が実施されており,検査室での重要な検査の一つであることはいうまでもない。周知のごとく毛細管法によるCRP検査の術式は比較的簡単であるが最終判定には24時間を要するがハイランド社製CRテストを使用すれば2〜3分後に判定できる便利さがある。今回われわれは両法を比較検討する機会を得,また本県におけるC反応蛋白検査の実施状況をまとめたので,あわせて知見を述べたい。検査法については各社使用説明書によった。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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