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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査8巻2号

1964年02月発行

雑誌目次

グラフ

京都で行なわれた一般臨床検査士試験

ページ範囲:P.93 - P.94

 一昨年からはじめられた一般臨床検査士資格認定試験の第3回試験が,昨年11月23,24日の両日にわたって京都大学医学部外科講堂で開かれた。この第3回試験は舞台を初めて地方に移したものであって,いろいろな意味で注目されていた。試験は両日とも快晴に恵まれ,順調に進んで大成功裡に終了した。近畿を中心に北海道,九州まで各地から参加した受験者315名中合格者221名,合格率は63%であった。ここに両日の試験場スナップをお見せして第3回試験の成功をよろこびたい。なお4月号には座談会「第3回試験を終えて」を掲載することになりている。本年の一般臨床検査士試験は既報のごとく第4回が7月12日東京で,第5回が9月6日大阪で開かれる予定である。

毛細管ヘマトクリット管を利用したLEテストの方法

著者: 寺村公子

ページ範囲:P.95 - P.97

 ここに述べる方法はシカゴのマウント・サイナイ・ホスピタルで研究され発表されたものである。まだ新しい方法なのでアメリカでも広くは行なわれていないが,The Carl Howard Litvin Fellowship for LeukemiaResearchやシカゴのThe Hematology Research Foundationから支持されているということである。
 この利点は,1.血液が少量でよいし,指または耳朶からも採血できる。

光電比色計および分光光電光度計の光源の調整

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.98 - P.100

 光電比色計や分光光電光度計の光源ランプはよく切れるが,ランプを交換したあとではフィラメントの位置を正しく調整することが必要である。フィラメントの位置が悪いと感度が悪くなり,100合わせが困難になることがある。ここに用いた光電比色計は日立EPO-B型,分光光電光度計は同じくEPU—2型であるが,他種のものでも同様な操作で調整できるようになっている。

新卒業生に贈ることば

医療における臨床検査の役割

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.101 - P.101

 医学技術の専門教育の課程の研修を終えて,今春卒業される方々に対して,心からおよろこびの言葉を申上げます。
 医学の最近の進歩は目まぐるしいものがありますが,その推進力の一つは,医師以外の専門職業の方々による協力であります。

真理をつかむチャンス

著者: 富田仁

ページ範囲:P.102 - P.102

 2年間の専門教育を無事終えて,実社会に出て行かれる諸君に祝福の言葉をおくります。一抹の不安やら解放感の喜びやら,さまざまの気持でいっぱいでしょう。この後の国家試験の関所を通過するまでは,本当に卒業した気持にならないかも知れません。しかし大部分の方が就職先も決定し,新しい希望に燃えていられることと思います。
 公衆衛生,臨床検査室などで衛生検査技師の果たす使命は年々増大していっています。日本には少なくとも約30,000人の衛生検査技師が必要だといわれているにもかかわらず,現在約12,000人しかおりません。そのうち諸君のように正規の衛生検査技師学校を卒業した者は,2割に達しません。年々500〜600人の卒業生だけでは,補充さえもできないくらいです。従って新卒業生諸君の果たす役割は,いやが上にも上昇してきて,下働きではなく,最初から検査室主任という指導者になって行かれる人もあるくらいです。衛生検査技師としての心構え,諸注意は,衛生検査総論その他の教科で充分聞き尽しておられることでしょうから,私は二,三のことだけを強調してはなむけの言葉とします。

「永久」の重み

著者: 永井諄爾

ページ範囲:P.103 - P.103

 私は私たちの大学の付属衛生検査技師学校に新しい学生が入学してくるたびに,これからの二年の修業時代をずっと将来になってふりかえってみたとき,それがなつかしい思い出になるような,そんな二ヵ年を過してほしいと,話してきたものでした。今年もこの学校を20人の人たちが卒業していきます。卒業にあたって学校をふりかえってみた気持など,やたらに人にしゃべれるものではありませんから,別に一人一人から聞いてみたいとも思いませんが,それだけ私にとって興味が深いのです。
 こうした人たちが,今年も全国で何百人か卒業していきます。全国のすべての学校を卒業する何百万人の人にくらべると,この人数はほんの一部分です。しかしこの何百人かの新しい卒業生が出るということは,非常に意味深いことだと思います。

座談会

アメリカの臨床検査技師

著者: 寺村公子 ,   河合式子 ,   徳平滋 ,   阿部裕 ,   松村義寛 ,   天木一太 ,   松橋直 ,   高橋昭三 ,   樫田良精

ページ範囲:P.104 - P.117

今春3月には各地の衛生検査技師学校から多数の卒業生が新しい職場へそれぞれ門出されます。現在日本全国の衛生検査技師学校から毎年500名ぐらいが卒業すると思いますが,そういう方々へのはなむけとして,きょうは技師のいろいろな問題を広くとりあげてみたいと思います。最近アメリカから帰国された河合さんと寺村さん,またこの種の学校の問題について関係の深い文部省の徳平課長補佐さんにおいでいただきました。これらの方々を中心にお話を進めたいと思います。中央検査室が日本で新しい制度として発足したのは今から十年前になるかならないという若い歴史ですし,また検査技師学校もわが国で一番古い東京文化医学技術学校が今年で12回生が出るという程度です。日本の衛生検査技師はまだ歴史が浅いのです。古くから,確か1920年代から臨床検査技師の制度が発達しておりますアメリカの事情などいろいろお聞きしながら話を進めましょう。(司会者のことばから)

技術解説

電気回路の計算—特にキルヒホフの法則を中心にして

著者: 宇都宮敏男

ページ範囲:P.127 - P.131

1.はじめに
 電圧や電流などの電気の諸量は目に見えないために専門外の人にはなかなか難解とされている。そのために簡単な計算問題でも全部暗記した知識を基にして行なうような人が結構多いようである。しかし電気の知識は基本的ないくつかの法則・原理をもとにして組立てた電気理論を応用的に駆使していかなければ妙味がない。ここでは最も基本的なキルヒホフの法則から出発して,二,三の例題を解くまでのすじみちを解説しよう。

Middlebrook-Dubos反応

著者: 芳賀邦夫

ページ範囲:P.132 - P.136

はじめに
 古くから結核については補体結合反応などによる血清反応の研究が多かったが満足できる鋭敏な方法がなかった。Keogh,North&Warburton(1948)の研究報告にヒントを得て,Middlebrook&Dudos (1948)は結核患者血清および結核菌免疫ウサギ血清とツベルクリンあるいは結核菌多糖体で感作したヒツジ赤血球を用いて赤血球凝集反応の研究を発表し,その翌年Middlebrookがこの系に補体を加えて溶血反応を報告して以来,この方法ではかなり鋭敏に結核抗体を検出することができるので斯界の注目を浴びるようになった。そんなわけでMiddlebrook&Dubosの赤血球凝集反応およびMiddlebrookの溶血反応というのは結核の場合だけに使うのが正しいのであるが一般に他の抗原を使う場合にも使われている。
 以下結核におけるMiddlebrook&Dubosの抗原感作赤血球凝集反応,Middlebrookの抗原感作赤血球の溶血反応および進藤・Middlebrookの抗原感作赤血球の溶血反応について説明する。

検査材料の保存について—受付から検査まで

著者: 福田寛

ページ範囲:P.137 - P.141

 近年臨床検査の進歩はまことに目ざましく,日に日に検討せられ,改良が加えられて迅速にしてしかも正確な成績を得るために,多数の業績があげられている。
 しかしながら,われわれ臨床検査を日常実施しているものにとっては,検査材料を受付けたら直ちに検査にとりかかるのが原則ではあるが,時には煩雑な検査を実施中であったり,あるいは他に用事があったりして,やむを得ぬ理由で直ちに検査にとりかかれないことを誰しも経験していられるであろう。

Thorn testの好酸球算定に関する経験

著者: 森田節子 ,   亀井喜恵子 ,   岸上俶子

ページ範囲:P.142 - P.144

はじめに
 Thorn testは副腎皮質機能検査の一方法として広く行なわれているが,私たちの検査室でも完全に日常検査の一つになっている。最近,日野1)は好酸球算定に用いるHinkelmanの液に誤植のあったことを推定し発表しているので,それについて検討してみるとともに,今までの経験を通して二,三の問題点につき述べたいと思う。

自動温度制御(2)

著者: 下井吉次郎

ページ範囲:P.145 - P.152

IV.温度自動制御におけるサイクリング
 最適の自動制御結果を得る場合は,プロセスの特性をよく調べて,これに合った制御系を組み合わせるのが肝要なことであるが,この決定はなかなかむずかしいので,経験と判断によっている。2位置制御が一般に一番多く使用されているのは価格と取扱簡単という点と,実際のプロセスでは2位置制御程度で満足できるものが案外多いことが考えられる。しかし2位置制御では制御体がサイクリングすることは避けられないので,なるべくこれを少なくするように炉自体の設計,あるいは調節回路の調整をすることが必要であろう。一般に熱関係のプロセスでは,時間おくれ,伝達おくれ等があるために図1のような応答曲線を示す。すなわち,弁開度を0から100%開いたときあるいはヒーター電源を"off"の状態から"on"の状態にしたとき,制御変数たる温度はおくれのためにS字状の曲線を描いてバランスした温度に落ち着くことになる。従ってこのバランスした温度が,たまたま希望する温度であれば,別に自動制御装置をつけなくともよいわけで,このためには入力電源にスライダック等を挿入して電圧を加減し希望値に合うようにバランス点を見出す。しかし実際には電源電圧の変動,プロセス周囲温度の影響等によってバランス点を一定に保つことは困難であり,バランスがくずれると元の温度に戻すことはなかなかむずかしい。

研究

過塩素酸—リン酸—塩化第二鉄による血清中の総コレステロール定量法と血清中のビリルビン濃度

著者: 百瀬勉 ,   上田陽 ,   中倉千春

ページ範囲:P.153 - P.155

 血清中のコレステロールの定量法には数多くの報告があるが,一般に用いられている方法は大別して,Liebermann-Burchard反応あるいは塩化第二鉄―濃硫酸による比色法に基くものである。しかし日常分析法としては両方法共に難点の多いことはあらためて述べるまでもないであろう。著者らは安定な試薬,簡便な操作,良好な再現性,被測定値の信頼度という点から,過塩素酸―リン酸―塩化第二鉄法による比色法がきわめて日常分析に適していることを見出しているが1),今回は血清中の総コレステロールの定量にあたってしばしば問題となる血清ビリルビンの存在が,この定量法に対してなんら影響を与えないことを確かめたのでここに報告する。

濾紙電気泳動法と自動記録式泳動用濃度計の実際

著者: 松谷衛

ページ範囲:P.156 - P.160

はじめに
 濾紙電気泳動法についてはかなりの報文が報告されているが,日本においてその価値があまり認識されていないのはその操作法に非常に難点があり,きれいな濾紙電気泳動像を得られず,正しい臨床診断がつかない点が大きな問題であった。つまり今までの濾紙電気泳動法では"信頼性に乏しい"ことがこの学問の発展しない主な原因であった。
 血清タンパク分屑の定量法については(1)分画抽出法,(2)デンシトメトリーの二法があるが,今日までの報文としては分画抽出法が大部分である。デンシトメトリーの発展しなかった原因として,器械(プロット式デンシトメーター)の不完全さによる泳動パターンの再現性不良に一因があるが,自動記録式デンシトメーターを使用した場合でも,きれいな泳動像でないと正しい結果が得られない,ここにも発展を阻む問題点があった。

B.M.R.測定に関する検討—短時間間隔2回測定による成績について

著者: 貝沼知男 ,   斉藤初太郎

ページ範囲:P.161 - P.163

はじめに
 最近基礎代謝率(以下B.M.R.)の測定にはSanborn型Metabulatorを用いる場合が多く,酸素消費量からB.M.R.Calculatorで算出する方法が行なわれている。しかしB.M.R.の測定にあたっては,装置の差,検者の操作あるいは被検者の諸条件などによって多くの誤差があらわれる可能性がある。特に被検者の身体的ならびに精神的安静の状態によってB.M.R.の測定値はかなり変動するので,これらの諸点に充分注意して検査する必要がある。
 今回著者らは同一患者につき比較的短時間の間に,ひきつづいて2回のB.M.R.測定を行ない,その測定値の再現性について検討を加え若干の成績を得たので報告する。

私の工夫

Benedict-Roth呼吸計の空気洩れ防止

著者: 佐藤博則

ページ範囲:P.163 - P.163

 呼吸計の検査は良く整備された器械で実施しなければいけません。空気洩れの検査は100グラムの分銅を内筒の上にのせ,10分間放置後,目盛が元に戻れば洩れのないことが明らかと成書に記してあります。故障のおこる場所として,マウスピース接続管,ゴムパッキング不良,温度計,ゴム栓,シード弁,ゴム管不良などがありますが,ネジ山部分からの空気洩れが最大と思われますので,ネジ山のところにバルカテープシールを巻いて連結すれば,ネジ部分のところよりの洩れはなくなります。
 本体の空気洩れの検査は,呼吸管連結部をゴム栓またはゴム袋で密閉して分銅をのせたとき正常であれば,呼吸ゴム管以後マウスピースの間に異常のあることがわかります。温度計部分の洩れにはゴム栓,温度計にビニール接着剤をつけて修理すれば完閉します。バルカテープの巻き方はテープをネジ部分の先端部分に「のの字」方向に強く一巻きし,約10ミリほど重ねて切断し,指でネジ山部分に押しつけてから締めつけます。熱的化学的にネジ部分を損傷させず,取りはずしが容易であります。このテープは日本バルカ工業から発売されていて,金物屋で求めることができます。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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