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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査8巻7号

1964年07月発行

雑誌目次

グラフ

日赤中央血液銀行の冷凍室

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.511 - P.514

■日本赤十字社中央血液銀行血漿製剤室
 血漿よりコーンのアルコール分画法でアルブミンやガンマグロブリンなどを製造するための−20℃の冷凍室である。小規模のものとしては完備したものといえよう。

血清コレステロールの測定

著者: 斎藤正行

ページ範囲:P.515 - P.518

 血清コレステロール値は心・血管疾患,腎疾患,糖尿病,甲状腺機能異常などの内分泌疾患などでかなり有意の変動を示すことから臨床化学のroutine workとしての比重は大きい。
 一方今日の焦点である成人病の予防に関連してそのAtherogenecityの一資料として集団検診必須の項目として取り上げられて来ている。

技術解説

支持体を用いる血清タンパク質の電気泳動(1)

著者: 島尾和男

ページ範囲:P.519 - P.523

 支持体を用いる電気泳動法の一般的な事柄についてお話をしょうと思います。
 まず,どういう支持体を用いる電気泳動法をとりあげるかということでありますが,臨床化学検査に使うものとしては,濾紙,寒天,OXOID紙,デンプンゲル,シアノガムといったものが考えられます。

心音計の扱い方

著者: 町井潔 ,   関口寿

ページ範囲:P.524 - P.532

はじめに
 最近心臓外科の進歩に伴って心臓弁膜症,先天性心疾患のより精密な診断が要望されるようになり,心音図はレントゲン写真,心電図と並んで最も基本的なルーチンの検査となってきた。心音計も次第に普及して大病院でこれを備えない所はまずないといってよい状態であるが,比較的新しい検査法であること,心音計の規格が心電計のように一定していないこと等が妨げとなってまだ充分活用されていないようである。
 表1は東大病院中央診療部の心電図室で,今年の1〜3月に記録した心電図と心音図の件数である。中央診療部では東大全体の外来患者の心電図の約半分を処理しているが,心音図は,最も対象患者の多い2つの内科がそれぞれ自分のところで記録しているので,比較的件数が少ない。

白血球のBrachet-Test

著者: 富田昭夫

ページ範囲:P.533 - P.540

はじめに
 近年化学治療剤のめざましい発展により多くの疾患においてその治療がかなり容易に行なわれるようになった。しかして適切な治療を行なうにはまず診断を確立することが重要である。血液疾患についても,特に白血病およびその類縁疾患に関してはなおGiemsa Haematologieが診断上主要な位置を占めている。しかし形態学的診断にはかなり主観が入り,とかく独善的なものになりがちである。客観的方法としては超生体染色,位相差顕微鏡,組織培養,ペルオキシダーゼ反応,その他の特殊染色法等があるが,日常の検査にはペルオキシダーゼ反応のみが簡単に使用されている。
 このような意味で日常検査に取り入れらるべき検査法として近年次第にその価値を認められだしたのが白血球のBrachet-Testである。

質疑応答

不思議な尿についての質問

著者: 高木康史

ページ範囲:P.549 - P.549

 私はある中病院の生化学検査室に勤務しておりますが,最近不思議な尿を検査する機会を持ちましたので教えていただきたいと思います。
 被検尿は12歳の子供の尿で外観は正常尿に類似し,冷蔵庫に一日放置すると黒褐色になりました。検尿はNylander試薬強陽性,ただし沈殿は生じませんでした。Benedict試薬にては陽性,茶褐色から黒色に変化。テステープにては陰性。Pavy隈川にてはかなりの還元性を示す。さらにミロンの試薬にては灰褐色の沈殿になりました。糖以外の還元性物質の存在を推定でぎますがビタミンCその他の薬剤の服用中ではありません。アルカプトン尿を疑いましたが黒化する傾向が少ないとのことで指導の医師から否定されました。以上の参考になること,参考書などを知りたく思います。

座談会

冷やす/検査室における冷却と冷凍の諸問題

著者: 春日誠次 ,   天木一太 ,   松橋直 ,   高橋昭三 ,   山崎寛治 ,   山崎公丸 ,   樫田良精

ページ範囲:P.550 - P.564

 冷やすということ,これは医学的には,どういう効果,どういう役割りを持っているのだろうか。そして検査室に関係する生化学的な立場,細菌学的な立場,血清の立場などから,あるいは,その実際面にわたってこの"冷やす"ということを掘り下げてみよう。

〈講座〉 検査技術者のための臨床病理学・2

検尿とその臨床(その2)

著者: 林康之

ページ範囲:P.565 - P.567

IV.泌尿器系疾患を除く諸疾患と尿異常
 前回尿異常について総括的に述べ,主な泌尿器系の病気の概要を記した。今回は検尿の第2回として,泌尿器系以外の病気でどんな種類の尿異常がおこり得るか,又どんなに多くの病気で尿異常がおこるかということを中心にまとめてみた。従って,取り上げた病気の中には,尿の変化が主症状とならないものもある。このような病気では血液検査や他の種類の検査成績にその病気に特有な検査所見や臨床所見の認められることが泌尿器系の病気と異なる。それで今回はなるべく重複を避けるため,個々の病気については今後説明する各項目を参照して頂くこととし,病名と尿所見のみを解説することとした。

研究

コレステロール定量用濃硫酸使用による血清総コレステロールの定量

著者: 樋口かをる ,   下沢三千代 ,   那須倫子 ,   中村正登 ,   永井諄爾

ページ範囲:P.568 - P.570

 血清コレステロールの定量には古くはBloor1)の方法があり,ついでSchönheimer-Sperry2)あるいはSperry-Webb3)の方法が標準法として採用されてきた。これらの標準法は失水酢酸と濃硫酸とによるコレステロールの発色を比色定量するのであるが,このとき生じる青色は不安定であり,満足できる結果を与えにくいものである。
 また古くはKiliani4)微量の塩化第二鉄と濃硫酸とによってコレステロールが赤紫色に発色することを観察していたが,1957年Zak5)とHenly6)とはそれぞれこの呈色反応を血清コレステロールの定量に応用し,その呈色が安定であるため,わが国ではいわゆるZak-Henly法あるいはその変法として,現在臨床検査に広く採用されている7)

肺結核患者のRA,TAテストと二,三の検査成績について

著者: 塩田敏雄 ,   片岡佐智子 ,   山崎幸一

ページ範囲:P.571 - P.572

はじめに
 最近中央検査室では人手を上まわる検体を毎日取り扱わねばならない現状であり,当然簡単で時間を要せず結果に信頼のおける検査法が要望される。このような問題の解決策の一つとして簡易検査法の製品が幾種類か販売されるようになり大病院の検査室から診療所にいたるまで普及し検査法に対する追試検討が多数報告されるにいたった。
 今回われわれはKitで行なう検査の中でRAテスト(ハイランド社製,リウマチ様関節炎のスクリーニング試験)およびTAテスト(ハイランド社製,橋本病のスクリーニング試験)について検討する機会を得たので肺結核を主にその成績を述べたい。

読後感

アメリカの臨床検査技師

著者: 堤昭憲

ページ範囲:P.570 - P.570

 この座談会の記事は,面白くよませてもらった。日本の臨床検査技術師は,現今,para medicalの中最も薄い待遇しか受けていない。諸種給与調査の中で,X線技師より高給である統計を見たためしがない。職務内容が,医療行為そのものにつきすぎる関係からか,業務に医師の指導監督という厳重な枠があるし,何故か,国家試験を受けながら,免許登録は,都道府県に行なうなど他に見られない不過がまちかまえている。国家登録と都道府県登録の差だけでも,つめたい眼がつきまとう。そのことは,日本衛生検査技師会が,当面の運動目標の一つに入れていることからでも明らかである。事務系統や他産業の技術屋には能力に対する地位や身分の報酬がある。しかし検査技師は,畢生縁の下の力持ちにすぎない。すばらしい能力にもそれはそれだけで縁の下の力が大きくなるにすぎない。また病院規模の差によって検査技師の能力を測る尺度についての見方も異なるのではないか?,ともあれ,検査部門管理についても,優秀なる頂点は巾広い底辺に支えられなければならない反面高い頂点に対する魅力にこそ底辺が押し広げられる法則が循環するはずである。
 終戦後,日本の医療について,アメリカは最も顕著なものとして,臨床検査と麻酔の立ち後れを指摘したそうであるが,アメリカ医学との接触の中で生れ育つて来たわれわれ臨床検査技師が,アメリカの臨床検査のシステムによせる関心は,やはり,一種の郷愁とでも云うべきであろうか?,私ども臨床検査技師は,日本の医療のためにもつと恵、まれなければならないと考える。

英会話

Laboratory English—No.2

著者: 河合忠 ,   河合式子

ページ範囲:P.574 - P.575

検査室メモ

感受性試験を行なう薬剤の選択について

著者: 金沢裕

ページ範囲:P.576 - P.577

 抗生物質を主とする多くの有力な化学療法剤の出現により細菌感染症の治療成績は著しく向上しています。しかし一方薬剤の使用につれて耐性菌が増加し,とくに多剤耐性菌の蔓延がみられています。したがって適正な治療を行なうには有効な薬剤を選択投与する必要があります。
 薬剤選択の指針としての感受性試験として感受性ディスク法が広く行なわれていることはいうまでもありません。忙しい臨床検査室の業務としてディスク法が新たに加わったわけで,とくに最近の合成ペニシリンなどすぐれた薬剤の出現により,検査の対象としての薬剤の数も増加し,臨床医側も,検査担当の方々も有効な薬剤を見落すことなく,しかも仕事の能率を上げるためには,菌の種類,病気の種類により,検査薬剤をあらかじめ合理的に選択しておく必要があると思われます。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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