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雑誌目次

論文

臨床検査9巻5号

1965年05月発行

雑誌目次

特集 産婦人科領域における臨床検査 カラーグラフ

腟内の微生物

著者: 伊藤英雄

ページ範囲:P.370 - P.371

 はなはだ種類の多い腟内の微生物の中でも,日常の診療上特に関係の深いものは,相変らず親しまれているデーデルライン腟桿菌と話題の多い腟トリコモナスおよびカンジダであろう。
 ここでは,これらを中心とした所見を掲載する。

グラフ

血清学的妊娠反応

著者: 熊坂高広

ページ範囲:P.373 - P.380

セロテスト(①〜⑥)

綜説

産婦人科領域における臨床検査

著者: 古谷博

ページ範囲:P.381 - P.384

はじめに
 診断の方法としては,古くから視診,触診,打診,聴診などが行なわれ,今日でもこれらがきわめて重要な役割をはたしていることはいうまでもないが,医学の進歩した今日では,疾患の診断にはあらゆる近代的検査法を応用して,その不備を補わなければ,これら五感による診断のみで正しい診断を下し得なくなったことも明らかである。
 ことに産婦人科領域では,ホルモン,放射線,エレクトロニックスなど各方面の知識と技術を駆使してはじめて正しい診療が行なえる時代になってきた。また産科領域では特に婦人の全身の構造と機能とが複雑に関与した現象を,時々刻々正確にとらえるために,頻回に多数の検査を次々と行なわなければならないことが非常に多い。

技術解説

産婦人科領域感染症起因菌の検査法

著者: 水野重光

ページ範囲:P.385 - P.392

 産婦人科領域感染症起因菌のうち重要な徴生物は化膿性細菌(ブドウ球菌,レンサ球菌,淋菌,大腸菌),結核菌,原虫類(トリコモナス),真菌(主としてカンジダ)などである。
 婦人の性器およびこれと密接な関係にある尿路における主要病原微生物とその主な侵襲部位を示すと,腟トリコモナスは腟,尿道(その他,頸管,スキーン腺などに侵入),カンジダは腟,外陰,尿路,淋菌は成人では頸管,子宮付属器,バルトリン腺,尿路,小児では腟,結核菌は卵管,子宮体部内膜,卵巣,頸部,子宮腟部,腟,外陰,ブドウ球菌は子宮付属器,子宮,腟,尿路,バルトリン腺,外陰,レンサ球菌は子宮,付属器,尿路大腸菌は卵管,子宮,バルトリン腺,尿路,プロテウス菌は尿路,緑膿菌は尿路,Haemophylus vaginalisは腟である。

血清学的妊娠反応

著者: 熊坂高弘

ページ範囲:P.393 - P.401

はじめに
 産婦人科領域における日常検査法の一つとして尿中HCGの証明およびその定量が,妊娠診断あるいは絨毛性腫瘍の診断に欠くべからざるものであるが,従来は主として生物学的方法が用いられてきた。近年免疫化学と蛋白化学の進歩によつてそれがin vitroでしかも短時間の内に行なわれ得るようになり,その利用価値も極めて高くなりつつある。しかしなお現段階では定量法としては生物学的方法の補助的手段として用いられているにすぎないが,血清学の進行により漸次定量的にも応用され得る段階にいたるものと思われる。

母児間血液型不適合の診断と血清ビリルビンの測定

著者: 白川光一 ,   久永幸生

ページ範囲:P.421 - P.429

 核黄疸の原因疾患として新生児溶血性疾患(胎児赤芽球症)(Hemolytic disease of the newborn(Erythroblastosis fetalis))が最も代表的なものであるが,本症の診断は母児間血液型不適合の証明なくしては全く論じえられないものである。

日常外来で行なう精液検査

著者: 飯塚理八

ページ範囲:P.430 - P.435

はじめに
 精液検査は男性不妊検査の項目中では主軸をなすもので,女性不妊の検査項目が種々あり複雑なのに比し,ある意味では簡単明瞭な検査とも云える。精子,精液の研究は極めて興味ある対象で生化学的,法医学的,あるいは免疫学的に多方面にわたっているし,実験室で精巧な器具を操作して核酸分析,蛋白分画なども行なわれているところである。今回は日常不妊の診療に必要な面からの精液検査についてふれてみたい。

座談会

婦人科の細胞診

著者: 石束嘉男 ,   樫田良精 ,   高橋正宜 ,   天神美夫 ,   山崎正道 ,   山岸紀美江

ページ範囲:P.410 - P.420

材料の採り方
 司会(石束)本日は,お忙しいところ,お集りいただきましてありがとうございます。今回は,"婦人科の細胞診"というテーマについて各方面のエキスパートの方々に,忌憚のない御意見を伺いたいと思います。本日は主として,体癌を含めた子宮癌について御討論願いたいと思います。この他に細胞診の対象としましては炎症性の変化やホルモン細胞学など重要なものがあるのですが,今回は子宮癌だけということにしたいと思います。
 それではまず,材料の採取方法なのです。われわれの婦人科の方では腟と頸管スミアが主な資料ですが,その他にも子宮体内膜,あるいは子宮頸内膜のアスピレーション,あるいは,キュレッタージといったものがあるわけです。その点について,臨床家の天神先生から,お話を伺いたいと存じます。

講座 検査技術者のための臨床病理学講座12

臨床化学検査(4)—無機塩類の検査とその臨床

著者: 河合忠

ページ範囲:P.436 - P.439

 われわれの体は体重のほぼ70%を水分が占め,その体液(水分)のなかで一部の塩類はイオン化して存在する。このイオンの状態で存在しうる無機塩類のことを一般に電解質とよびこれらの電解質は生命の維持に欠くことのできない重要な役割をもち,種々の病気で各電解質相互間の量的変動がおこる。生体内細胞の活動性を維持するには細胞内体液の(1)水素イオン濃度(pH),(2)滲透圧,(3)各種イオンの種類と濃度,(4)膠質の種類と濃度,(5)栄養素の補給,(6)代謝不用産物の排泄,(7)細胞の温度などが適当でなければならない。(1)のpHの変動を臨床的に酸塩基平衡の異常とよび,(2)(3)の変動は電解質平衡の異常とよばれているのである。電解質はイオンの形で体内に存在するから,必ずそれが溶解している水分が必要で,電解質平衡と水分平衡とは臨床的にきりはなして考えることができないし,また酸塩基平衡とも密接に関連している。それで無機塩類の臨床的意義とともに水分平衡,酸塩基平衡についても簡単にのべる。

英会話

Laboratory English—No.12

著者: 河合忠 ,   河合式子

ページ範囲:P.440 - P.442

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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