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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査9巻7号

1965年07月発行

雑誌目次

カラーグラフ

アメーバのシスト

著者: 浅見敬三

ページ範囲:P.558 - P.559

 虫卵検査を正確に行なえる人は数多いが,糞便内の原虫類を検出し,その種類を正しく同定しうる人は極めて少ないと思われる。一般に非常に難しい高度の習熟を要する技術と信じられているが,実はさほど難しくはない。皆,いわば食わず嫌いをして最初から敬遠しているのである。一度,原虫類の豊富に出ている材料につき,正確な知識をもった先輩や書物を参考として反覆鏡検して原虫の特異な光り方を眼に覚えさせれば次からは少なくとも検出までは容易である。練習用には猿の糞便が極めて好都合で,人の寄生種の幾つかが必ず寄生していると考えてよい。ここでは鑑別の困難とされているアメーバ類のシストを示して,相違点につき説明した。検査の目標はもちろん病原性のある赤痢アメーバである。

グラフ

超微量分析装置

著者: 春日誠次

ページ範囲:P.561 - P.568

 ここに掲げる写真はBeckman-Spinco社(米国)で製作販売している"超微量分析装置"である。以下写真の機具が1セットとなっていて,これには血清成分定量用の試薬までつけてある。
 日常生化学検査室で行なっている検査項目の大部分を,血清量0.01ないし0.02mlで行なえることになる。機具類はいつれも小型で,円いテーブルにならべ,回転椅子に坐っていれば,検査室内をあちらこちらと歩きまわることもない。

技術解説

血球のPAS染色

著者: 勝沼英宇 ,   伊藤仲治 ,   岡田光生 ,   佐藤淳

ページ範囲:P.569 - P.576

はじめに
 血球の染色には古くヘマトキシリン・エオジン法が用いられたが,Ehrlichの色素分析的研究の成果からエオジンおよびメチレン青を用いたChenzinski液がこれに代り,さらにこれが改良されて1902年,現今使われているMay-Grünwald液が生れた。そして1905年にはアヅールの使用によってGiemsa液が完成され,それから8年間経って,かの有名な病理学者Pappenheimがこの両液を併用したいわゆるMay-Giemsa二重染色法を公表して染色学の金字塔を打立てた。爾来,血球の細胞学的詳検はほとんど本法に依存し,その美麗な染色効果は細胞の形態学的診断に完壁といってよいほどの成績を与えてくれた。しかし医学の進歩はさらに多数の新しい検査術式を生み,血球の研究もただ形態のみでなく,その機能の追求に突進する傾向があらわれ,ひいては血球の機能を染色法の形で表現しようとする努力が払われてきた。最近その話題の一つとして登場したのがこのPAS染色(Periodic acid Schiffs stain)である。本稿では主としてその技術について解説を加えたい。

小児科領域における臨床検査技術

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.577 - P.583

はじめに
 小児科領域における臨床検査においては,他の領域ととくに変ったところはないが,いくつかの目立った点がある。このうちの一つである超微量定量の器具や技術は,新生児,未熟児の研究の進歩とともに盛んになり,いくつかのすぐれた装置や技術が次々と開発され,小児科領域のみならず臨床検査全般にわたって普及しつつある。これらについての紹介はすでになされているので,ここにはごく最近報告された超微量測定技術の中で,小児疾患と密接に関係のある成分の測定法を紹介する。これらはいくつかの類似した方法の中で,簡易であるものを選出した。

腎機能検査法(3)—RPF,GFRの1回静注測定法

著者: 浦壁重治 ,   折田義正 ,   小山紀久子 ,   石橋恭子

ページ範囲:P.584 - P.593

はじめに
 今回はクリアランス(Clearance)に話を進めよう。周知のようにこの概念はVan Slyke一派によって尿素クリアランスとして提唱されたものであるが,その後ひろく各種物質について追究され,腎の研究,臨床面で重要な機能指標の一つとなっている。中でも腎の物質動態計測の基本となる腎血漿流量(Renal Plasma Flow, RPF)と糸球体滬過量(Glomerular Filtration Rate,GFR)を本法によって非観血的に,しかも比較的容易に測定しることは,腎の生理ないし病態生理の解明におおいに貢献している。
 さて今,単位時間(通常分単位)の尿量をV (通常ml単位),ある物質xの尿中濃度をUx,血漿中濃度をPxとした場合,xの腎クリアランスCxは,Cx=Ux・V/Px (単位:ml/min)で表わされる。ここでUx・Vは単位時間に尿中排泄されるxの量であるから,これをPxで除したCxは,Ux・Vが一体腎に流入する血漿何mlに含有されていたかを示す。換言すれば"Cxとは腎に流入する血液中から,毎分血漿何mlに含まれるxが尿中に除去清浄されるかを表わす数値である"と定義されている。しかし今のところこの理解に少しも頭をうばわれる必要はない。要はUx・V/Pxをxのクリアランスとよぶということを心にとめておけばよい。

座談会

夏に気をつけなければならない検査—なぜ冷房は必要か

著者: 樫田良精 ,   白戸四郎 ,   松村義寛 ,   福田寛 ,   茂手木皓喜

ページ範囲:P.602 - P.611

夏,—
 室内に放置しておいた検体がくさったり,検査データがどうもへんだ,という経験をおもちの方は多いと思います。

感想

梅毒血清反応検査のバラツキをめぐって

著者: 安田純一

ページ範囲:P.612 - P.616

日常実行していくには相当の努力が
 「梅毒血清反応検査のバラツキをめぐって」について意見を求められたが,第一にこのような手間のかかる調査を計画し,実施された方々の熱心と努力に対し心から敬意をはらう次第である。
 血清学的検査をやる揚合にやりっぱなしというのが一番いけない。検査をする側では自分の出している結果がいつでも正しいかどうかということを常に反省しなければいけない。

講座 検査技術者のための臨床病理学講座14

機能検査とその臨床

著者: 河合忠

ページ範囲:P.617 - P.620

I.機能検査とは何か
 前回まで解説した臨床検査法とその臨床は,排泄物と体液成分の形態的観察と化学的成分の分析結果がいかに診断に利用されているかを説明したものである。今回とりあげた機能検査とは,生体内各臓器はそれぞれのはたしていや役割り(機能)にある程度定つたものがあることからその臓器が生体維持のためにどれくらいその役割りを遂行する能力をもつているか,あるいはその臓器の機能がどれほど障害されているかを推定するための検査方法である。したがつて,機能検査は形態学的検査や分析的手法を利用するけれども,成績の表現はある臓器の,どのような機能がどれだけ侵されているという判定になる。
 以下現在行なわれている機能検査法の種類と,それに関連する重要な病気について述べよう。

研究

血清鉄,血清銅の簡易定量法—Serum-Iron/Copperの使用経験

著者: 茂手木晧喜 ,   岡本明子 ,   海老原順子 ,   上野道子

ページ範囲:P.621 - P.623

はじめに
 最近血清鉄や血清銅の臨床的意義が大いに認識され,その測定が盛んに行なわれるようになった。銅の定量の今までの方法は発色が不安定で,他の成分の妨害をうけやすくあまりよい方法ではなかった。鉄もまた同じである。最近フェナントロリン系のキレート試薬の進歩はめざましく,銅については,特異に反応するネオキュプロイン,バトキュプロインなど,鉄にはバトフェナントロリンなどが開発され,特異な安定な測定が可能となった。最近血清鉄と血清銅をこれらの方法で同時に測定するキットを使用する機会を得た。このキットでは銅の呈色にバトキュプロイン,鉄にはバトフェナントロリンを用いてある。操作がきわめて簡便で,臨床検査上適していいと思われるので紹介する次第である。本キットは,Serum-Iron/Copperなる商品名で,スイスのSchweigerhall社製品で日本商事から提供をうけた。

Blue Tetrazoliumを呈色試薬とする17-Hydroxycorticosteroidsの定量—Corticosteroidkitの検討

著者: 石井暢 ,   倉持秀雄

ページ範囲:P.624 - P.626

はじめに
 17-Hydroxycorticosteroid(17-OHCS)の定量には一般にPorter-Silber呈色法1)が用いられている。しかしこの方法では,20-ケト,21-OH型のみが呈色し,20-OH,20,21-di OH型は適切に反応しないといわれる。その場合Norymberski法6)を用いることによってはじめて全17-OHCSが測定されるという。しかしながら本法は操作が繁雑で実用的でない。そこでChen2).Recknagel3),Izzo3)らによって,それぞれ個々に呈色をblue tetrazoliumによる全17-OHCS測定法が提唱され,改良されてきている。
 最近われわれはこのblue tetrazolium比色法をもととした17-OHCS測定用キット(Corticosteroid Kit;Clinton)を入手する機会を得たので,本法と従来から実施しているPorter-Silber法による方法とを比較検討したところいささか知見を得たのでここに報告する。

第七回衛生検査技師国家試験 第一部・問題および模範解答

ページ範囲:P.627 - P.631

 第7回衛生検査技師国家試験は,さる4月11日,札幌,仙台,東京,名古屋,神戸,岡山,長崎の各地でおこなわれ,受験者総数は1020名であった。本誌はこの問題と解答を今月号と8月号にわたって掲載する。模範解答は順天堂大学臨床病理学教室谷中誠・猪狩淳氏にお願いした。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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