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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査3巻5号

1959年05月発行

雑誌目次

グラフ

心電図をとる際に必要な心得

著者: 樫田良精

ページ範囲:P.243 - P.250

 心電図をとる人は誰でも次の手順で行うことが望ましい。
(1)心電計を患者と電源コンセントの中間の位置におく。

技術解説

腎機能検査法(その5)—濃縮力試験,尿蛋白定量,Addis勘定

著者: 古川俊之 ,   梶田知道 ,   浦壁重治

ページ範囲:P.251 - P.255

 前回は腎疾患診断のための臨床検査法の種類と撰択について述べ,日常検査の枠としてネフログラム(腎機能スペクトル)を紹介したが,今回はそれにつづいて濃縮力試験,尿蛋白定量法,Addis勘定検査をとり上げて解説することにした。

換気機能検査法(3)

著者: 横山哲朗

ページ範囲:P.257 - P.264

5.O2およびCO2の吸収剤について
 吸収剤としては4規定の苛性カリで30%にハイドロサルファイトを溶かした液を用いる。
 ハイドロサルファイトはアルカリにはよく溶けるが,空気と接触すると空気中の酸素のために酸化されてしまうので,あらかじめ十分に手順をととのえた上で仕事にかかる。4規定苛性カリで30%になるようにハイドロサルファイトを溶かし,手早く攪拌しながら濾紙あるいは吸取紙で濾過する。この操作中は液は空気と接触している。従つて濾過するに要する時間を短かくするために吸引ロートを用いるとよい。濾過後は空気と遮断するため通常流動パラフインを用いる。

試薬について

著者: 松村義寛 ,   島宗昭夫

ページ範囲:P.265 - P.269

I.はしがき
 臨床化学検査は無論ですが,その他の検査でも臨床検査の実施に当つて常に悩まされる問題は試薬であります。
 実際,試薬の選択が上手であれば,検査室運営の50%は片付いたと申しても過言ではありません。

尿,膿の細菌学的検査

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.271 - P.274

I.尿の細菌検査
 尿は,無菌な液体である。これは腎臓で作られ,腎盂にあつまり,輸尿管をとおつて,膀胱にたまり,尿道から排出される。尿道口から出て,はじめて外気にふれ,空中その他の雑菌と接触する。尿の採取法には,カテーテルを膀胱に入れてとる方法と,排尿されたものを,滅菌容器(試験管,コツプ等)にうける方法の2つがある。外気即ち雑菌にふれずに取る事ののぞましいのは,腎盂,腎臓,膀胱に細菌感染があるかどうかをしらべたい場合であるが,カテーテルを入れる事は,1つの刺激ともなるので,膀胱,尿道の感染のある場合は行わず,専ら排尿された材料による。又雑菌の混入が問題となる場合でも,結核菌感染の時以外は,証明される病原菌の量が甚だ多いのが普通で,それに比べれば,材料に含まれやすい雑菌の量は,0.1%以下なるであろう。したがつて,多くの場合,排出された尿を用いた検査で充分な事が多い。しかし,女子の尿については,とかくグラム陰性,陽性の桿菌の混入の避けられない事が多いため,時にはカテーテル尿でなければ検査の結果に疑問の生ずる場合が生ずる。この場合でも,培養された菌の数の最も多いものの事を考えれば,大抵の場合は間に合うはずである。即ち,尿1エーゼから,雑菌混入のために生ずる集落は,たかだか数個にすぎないであろう。
 患者には,なるべく空中雑菌を,とつた尿に入らせないように,注意を与えておかねばならない。

座談会

採血検査の諸問題

著者: 斎藤正行 ,   熊取敏之 ,   茂手木皓喜 ,   柴川のぶ ,   相賀静子 ,   松村義寛 ,   松橋直 ,   天木一太 ,   高橋昭三 ,   樫田良精

ページ範囲:P.276 - P.287

 樫田 本誌では昨年8月に"臨床検査に必要な採血法"という座談会をいたしましたが,採血をして行う検査というものは,臨床検査の中で非常に重要な役割を占めておりますので,これについてもう少し別の観点から突込んで検討をしたいと思います。血液を採る検査と申しましても,いろいろな専門領域で違つたやり方があるので,まず最初に生化学領域の検査に必要な採血の問題について松村先生から始めて頂きます。

〈検査室メモ〉

臨床生化学メモ(V)—蛋白代謝

著者: 茂手木皓喜

ページ範囲:P.288 - P.291

I.血漿蛋白質
 血液中の血球以外の成分を血漿といい,この中には種々の形をした蛋白質が7〜7.5g/dl含まれ,生理的に重大な役割を演じている。
 血漿蛋白質を大きくわけると,アルブミン,グロブリンおよびフイブリノーゲンの3つである。これらは溶解度のちがいからいろいろの溶媒(大抵は硫酸ソーダ)や電気的操作によつて分けられる。

新しい検査室

心電図迅速仕上げの新工夫

著者: 滝野純治

ページ範囲:P.292 - P.294

I.まえがき
 近年循環器疾患に対する一般の関心が増大すると共に心電図検査の重要性が認識せられ心臓疾患のみならず電解質代謝,内分泌疾患,外科手術等に際しての利用価値も増大し,心電図撮影は日常不可欠の臨床検査としてその地位を確保するに至つた。
 加えて電子工学の発達は心電計にも多くの改良をもたらし,就中直記式心電計の出現は臨床上容易に撮影を行い得る新しい途を拓いたものと見做されるが,我国の現状では撮影上其他になお種々未解決の問題を貽しその普及率も未だ写真式には及ばない様である1)。一方写真式心電計は古い歴史を有して直記式で得難い精密な曲線が求められ,記録の保存性にも優れている等多くの捨て難い長所を有するのであるが2)3)4),共通した欠点として現像に少なからぬ時間と手数を要し,臨床上至急結果を観察せんとする場合非常な障害を及ぼしている。

私の検査室

前橋赤十字病院の中央検査室について

著者: 木島滋二

ページ範囲:P.295 - P.298

 当病院は270床である。その程度の地方病院としては,この検査室はよく整つている方であろう。さて,現在室数は図のように5室,このほか図にはのつていないが,外来に付属する小検査室,心電図室と,剖検室,動物小屋が別にあつて,勤務員は15名(兼任の医師2と専任の技術員12,他に1)である。
 最初から計画的に設備されたのではない。病室をあけてもらつて,その一室からスタートしたものが,一歩一歩検査項目を殖やし,それに伴つて人員が殖え,部屋が手狭になつて増築,改築を加え,10年間で現在の状態となつた。この間の状況は,表の検査物件数に現われているが,この検査室の歴史は日本の臨床病理学界の歩みを,そのまま反映しているものとも云える。将来まだまだ整備拡充の必要があろう。いずれは,遠大な計画で合理的な施設を,と考えている次第である。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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