icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床検査7巻2号

1963年02月発行

雑誌目次

グラフ

岡山大学病院中央検査部

著者: 藤森明良 ,   浜崎美景

ページ範囲:P.83 - P.88

 昭和36年6月10日,外来診療棟と病室との間に中央診療棟が完成し,中央検査部は2階の全部と1階の一部を占め総面積1130.8m2,26室を有している。現在の陣容は専任教官8名(助教授2名,講師3名,助手3名),技術員31名(男7名,女24名),看護婦2名と,特殊検査部門に配置されている兼任教官とで構成されている。
 一般検査,生化学,血液,血清,細菌,基礎代謝,呼吸機能,心電図,脳波,筋電図,胃カメラ,腹腔鏡,直腸鏡,気管支鏡,食道鏡,細胞診,病理組織検査等,多くの検査が外来・入院を対象として行なわれている。特に生化学検査では定期的に検査コントロールを行ない,常に正確な値が得られるように努めている。

検査技師のための解剖学5

著者: 横地千仭

ページ範囲:P.89 - P.90

技術解説

血液凝固に関する検査法(2)

著者: 佐竹清人 ,   盤若博司 ,   八幡浩二 ,   中田英策 ,   綿貫実 ,   田崎次男

ページ範囲:P.91 - P.96

IV.凝血因子の分別測定
 前号で述べたように,血液凝固に関与する凝血因子はかなりの数に上り,そのおのおのについて分析的に測定する方法も種々考案されているが,日常臨床の目的にはその中のいくつかを組み合わせれば大体事が足りる。ここでは比較的容易に行ないうるもののみについて解説することにする。

残余窒素の測定法—とくにRappaport and Eichhorn法

著者: 富田仁 ,   齋明寺央 ,   小野木照子

ページ範囲:P.99 - P.106

はじめに
 残余窒素(Reststickstoff,Rest-N)とは周知のとおり非タンパク性窒素(nonprotein nitrogen以下NPNと略す)のことであり,これは通常の除タンパク剤により沈殿されない窒素化合物中の窒素をいう。血中NPNは尿素,尿酸,アミノ酸,クレアチン,クレアチニン,アンモニアの他に,これらに属さない含窒素低分子化合物(総称して未定NPN<undetermined nonprotein nitrogen,unbestimmter Reststickstoff>おそらくはポリペプチドやヌクレオチドなどであって,主として赤血球中に存在する)から成り立っている。NPNはタンパク代謝の中間および終末産物である。タンパク代謝の経路をCantarow and Trumper10)より引用すれば図1に示すとおりである。
 正常状態においては,窒素出納の平衡が保たれ血中NPNおよびその成分の濃度は一定の範囲内に保たれる。

結合線維および格子線維の染色

著者: 畠山茂

ページ範囲:P.109 - P.113

I.マロリー染色(Mallory)またはアザン染色(Azan)――ハイデンハイン(Heidenhein)のアニリン青染色
 本染色法はトリクロム染色と同様に膠原線維,格子線維を染め出す点においては,後述のワン・ギーソン染色より確実かつ色調が対照的であざやかな点がすぐれており,また細胞内の顆粒および分泌物を,その性状に従って酸好性――赤,塩基好性――青および黄色にそれぞれ染別できる利点を有するので常用されている。たとえば,膵島細胞,下垂体前葉実質細胞,骨髄性細胞顆粒,ガラス滴,線維素および類線維素等が特有の色調でよく染出される。固定は,重金属塩の入ったもの,たとえばツェンケル,ヘリー固定,ブアン固定等が望ましい。

血中ビリルビンの定量

著者: 浜田金三郎

ページ範囲:P.115 - P.119

 ビリルビンはヘモグロビンのヘムの分解に由来する胆汁色素の一種である。この直接の前駆体はビリベルジンであって,これが還元されて生成される。主として肝,脾,骨髄の網内系細胞でできるといわれている。通常血液中ビリルビン濃度は一定の範囲に維持されているが,ビリルビンの生成過剰や,生成されたビリルビン処理あるいは排出の障害があると,いわゆる過ビリルビン血症が起こる。従って血清ビリルビンの濃度は,肝臓機能を判定するための,一つの重要な指標になる。
 ビリルビンは化学的に次の構造をもち,赤褐色の結晶として単離される。クロロホルム中では,450mμに吸収極大(E450**mM=57.5)を示すことが特色である1)。従ってこれと類似の吸収をもつ物質の混在しないときには,クロロホルム溶液中での450mμの吸光度を測定することによって定量することができる。

医学常識

輸血に必要な血液型抗原と抗体(8)

著者: 竹内直子 ,   保木本幸子 ,   大野公子

ページ範囲:P.121 - P.123

まとめ
 これまで7回にわたり,本書の訳を中心に輸血関係にたずさわるものに必要な基礎的な知識を書いてきましたが,今回で一応この稿を終えたいと思います。最後に私ども虎の門病院輸血部で日常実際に行なっている交差適合試験,および抗体の検出・同定について,技術的な面を主に図解によって説明しようと思います。
 このページには交差適合試験の手順を示します(図1)。

用語解説

容量分析

著者: 松村義寛

ページ範囲:P.124 - P.124

容量分析Volumetric analysis
 容量分析はまた滴定分析(titra_tion analysis)とも呼ばれる。操作が比較的簡易でしかも精度がよいので各種の定量分析のうちでも広く実用せられている。
 正しい濃度が判明している標準溶液(standard solution)を用いて目標物質が溶存している試料溶液に徐々に添加して行くと化学反応が起こりやがて反応の当量点に達する。反応の当量点を知るためには通常,指示薬(indicator)が用いられる。指示薬は当量点の前後において急激に色調の変化などの現象を示すものが用いられる。

薬剤耐性菌と菌の薬剤耐性

著者: 高橋昭三

ページ範囲:P.125 - P.125

 ある薬剤,たとえばストレプトマイシンを含む培地に菌を接種した場合,菌のコロニーが生ずることがある。生じた菌を,その薬剤の,その濃度における耐性菌という。多くの場合,耐性ということは,接種した菌の性質を表わすのに用いられ,生えて来た菌の性質を表現することは少ない。というと妙な言い方のようであるが,臨床細菌学的には耐性という言葉は,菌株の性質をあらわすのに用いられているということである。
 一人の患者から菌が分離された場合,その菌株の中には,ちょうど日本人男女の身長が大小種々あるように,耐性の高いもの低いものが,いろいろ含まれている。それを薬剤のある濃度,たとえばストレプトマイシン10mcg/mlに含む培地と含まない培地に接種すると,10mcg/ml以上の培地に発育できる菌だけが,10mcg/mlストレプトマイシン培地に発育してくるわけである。発育して来た菌は,ストレプトマイシン10mcg耐性菌という。また,接種に用いた菌株はその耐性菌を含むという。更に,菌株の中に含まれる菌の大部分がストレプトマイシン10mcg耐性菌ならば,この菌株はストレプトマイシン10mcg耐性であるというのである。耐性菌がどのくらい含まれているかは,薬剤を含む培地と含まない培地の両者にほぼ同数の菌を接種し,生じた集落数を比較すればよいわけである。

座談会

臨床検査と看護婦

著者: 清水友子 ,   木村みつ ,   益田千枝 ,   沢井美智子 ,   永谷陽子 ,   松村義寛 ,   高橋昭三 ,   天木一太

ページ範囲:P.128 - P.139

 臨床検査技師と看護婦とは医師を中心として車の両輪のごとき役割を果たしておりますが,多くの臨床検査が医師の手を離れて中央検査室の技師に移されてからまだ日の浅いわが国の病院においては,両者の間にさまざまな問題があると思います。この座談会はこの主題に対する看護婦側からのアプローチであります。結論はまだ先のことですが,いろいろな問題が提起されているのを感じられましょう。この問題を別の側から採り上げる必要性も充分考えられますが,いずれまたの機会にゆずりたいと考えます。今回御出席の方はいずれもこの二つの業務が分化した病院の看護婦さんです。

研究

血清トランスアミナーゼ活性値測定試薬(関東化学社製)の検討

著者: 山形敞一 ,   海藤勇 ,   涌井和夫 ,   長島慎 ,   佐藤俊一 ,   伊藤清

ページ範囲:P.143 - P.147

I.はじめに
 血清Transaminase活性値測定の重要なことは,Wroblewski & La Due1)により心筋梗塞時の上昇が指摘されて以来多くの臨床成績の一致しているところである2)〜5)
 しかるにTransaminaseは心筋梗塞だけでなく,各種肝疾患時の診断にも広く利用されており,さらに血清内活性値のほかに組織内活性値の測定も始められ6)〜8),各種疾患の病態生理の理解に役立っている。

糞便潜血反応濾紙法の一改良

著者: 福田寛 ,   源川孝子

ページ範囲:P.150 - P.151

はじめに
 近年疾病の診断上,臨床検査が重要視されるに至り,その件数は益々増加を示している。また人間ドックおよびその他の集団検診も増加するに及び,臨床検査の手技はますます簡易・微量化を考慮せざるを得ない状態に至った。
 中でも糞便潜血反応は消化器官の潰瘍性機転を有する疾患の診断上,不可欠の方法である。従来,潜血反応として行なわれているものの中でも,濾紙を用いた方法が数多く発表されている。Levine & Watt変法1)は塗抹濾紙面に50%酢酸,過酸化水素,ベンチジンアルコール液を順次に反応せしめ,Gregerson2)は過酸化水素の代わりに,過酸化バリウムと酢酸を使用し,Ham3)は塩酸ベンチジンを酢酸で溶解し,過酸化バリウムを使用している。また米国Ames社から発売されているヘマテストは検体塗抹濾紙面上に,オルトトリジンを使用した錠剤をおき,水をかけて反応せしめている。一方,わが国では,ベンチジン末,有機酸,過酸化バリウムを使用したシノテスト法や,ベンチジンを可溶性デンプンとともに濾紙に付着させた参木法4)等がある。

赤痢菌の検出に関する二三の知見

著者: 粟島彰 ,   畑稔 ,   本間勝己 ,   立浪信一 ,   室崎たみ ,   増岡正枝 ,   徳田三郎 ,   摂津浩二

ページ範囲:P.152 - P.153

はじめに
 赤痢の決定は赤痢菌の検出にあることは申すまでもないところである。しかしながら検出に当って絶えず二三の疑点がある。すなわち成績陽性ならば問題はないが,陰性の際には,本当に陰性なのか,あるいは技術上の誤差なのか迷うものである。この点を解決するため若干の検索を行なったので,その成績について報告する。以下培養基としてSS培地およびBTB培地を使用した。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?