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雑誌目次

論文

臨床検査60巻9号

2016年09月発行

雑誌目次

今月の特集1 睡眠障害と臨床検査

著者: 河合昭人

ページ範囲:P.933 - P.933

 厚生労働省は,より充実した睡眠についてのわかりやすい情報を提供することを目的として,「健康づくりのための睡眠指針2014〜睡眠12箇条〜」を発表しました.睡眠について,しっかりとした対策の必要性を考慮しているものと思われます.

 本特集は,社会問題にもなっている睡眠障害をターゲットとし,睡眠障害の概要と分類についてわかりやすく執筆していただきました.睡眠ポリグラフ検査(polysomnography:PSG)や,反復睡眠潜時検査(multiple sleep latency test:MSLT)などの臨床検査以外に,非薬物療法についても多角的に解説していただいています.最近は小児の睡眠障害についても話題となることが多く,耳鼻科咽喉科領域において重症の場合は手術も考慮されます.

 担当業務の方はもちろん,他のモダリティーなどの担当業務でない方も興味深くご覧いただける内容となっております.皆さまのスキルアップの一助となれば幸いです.

睡眠障害の概念と分類

著者: 宮崎総一郎

ページ範囲:P.934 - P.939

Point

●古典的な睡眠障害の診断分類は,不眠症群,過眠症群,睡眠時随伴症群(パラソムニア)の3群であった.

●「睡眠障害国際分類第3版」(2014年)では,不眠症群,睡眠関連呼吸障害群,中枢性過眠症群,概日リズム睡眠・覚醒障害群,睡眠時随伴症群,睡眠関連運動障害群に分類されている.

●臨床現場や睡眠医療機関で使用しやすく,長期的な基本統計をまとめる際に有用な診断分類の開発,整合化が望まれている.

過眠症の基礎と検査

著者: 大森佑貴 ,   神林崇 ,   今西彩 ,   山田康子 ,   清水徹男

ページ範囲:P.940 - P.945

Point

●過眠症の代表的な疾患としてナルコレプシーが挙げられる.typeⅠとされる一部の症例では脳脊髄液中のオレキシン値が低値となる.

●ナルコレプシーの症状は,日中の過度の眠気に加え,情動脱力発作,睡眠麻痺,入眠時幻覚などのレム関連症状が特徴的である.

●ナルコレプシーの確定診断には睡眠ポリグラフ検査(PSG)と反復睡眠潜時検査(MSLT)が必須である.その正確な施行のためには医療者同士の連携が重要である.

睡眠関連呼吸障害—睡眠時無呼吸症候群の検査

著者: 富田康弘 ,   成井浩司

ページ範囲:P.946 - P.954

Point

●睡眠時無呼吸の検査機器は,簡易検査に用いるものから睡眠ポリグラフ(PSG)検査に用いるものまで多様である.それぞれの機器が用いるセンサーの特徴を理解しておく必要がある.

●簡易検査は手軽に実施できる検査であり,睡眠時無呼吸患者を発見するためのスクリーニング検査として有用である.

●睡眠時無呼吸の確定診断にはPSG検査がゴールドスタンダードである.簡易検査では代用できない点もある.

●簡易検査の限界と有用性をよく理解することで,適切な診断と治療に役立てることができる.

睡眠障害と小児

著者: 杉山剛

ページ範囲:P.956 - P.961

Point

●小児の睡眠障害も成人と同様に多岐にわたるが,同一疾患であっても症状や病態は成人とは異なる点が多い.

●小児の睡眠障害において臨床現場で遭遇する機会が多いのは睡眠呼吸障害(SDB)である.アデノイド増殖・口蓋扁桃肥大(ATH)が原因であることが多い.

●ATHが原因の閉塞性SDBに対する治療の第一選択はアデノイド切除・口蓋扁桃摘出術(AT)である.臨床現場では,その適応決定のためにポリソムノグラフィー(PSG)が行われることが多い.

●わが国では,脳波測定を含むフルスタディのPSG(フルPSG)を小児,特に未就学児に実施することが可能な施設は少ないため,全例にフルPSGを行うことは現実的ではない.

●フルPSGが実施できない施設では,患者の年齢や状況に応じて携帯型検査装置や終夜酸素飽和度測定などの簡易検査を適宜,選択することが重要である.

睡眠障害に対する非薬物療法

著者: 山寺亘

ページ範囲:P.962 - P.966

Point

●睡眠障害全般の第一選択的治療法は睡眠衛生指導である.指導は,“よい眠り”の定義,睡眠時間の調整,睡眠環境の整備,入床前の心身の調整,睡眠専門医への相談,を要点とする.

●慢性不眠症に有効であるのは認知行動療法(CBT-I)である.睡眠衛生指導,認知的介入,睡眠時間制限法,筋弛緩療法などの技法を組み合わせて施行する.

●睡眠呼吸障害の身体的治療には,経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP),二層圧式陽圧呼吸(Bi-level PAP),圧順応性自動制御換気(ASV),口腔内装置(OA),手術療法などが挙げられる.

今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

著者: 齋藤邦明

ページ範囲:P.969 - P.969

 ビッグデータ解析というワードをよく耳にしますが,本特集では医療・ヘルスケア,特に臨床検査関連領域におけるさまざまな視点でのビッグデータ活用を含むデータ解析について解説をお願いしました.臨床検査を中心とした次世代データ解析の知識として活用をいただければ幸いです.ビッグデータ解析の現状について,医療・ヘルスケアで必要とされる解析,ビッグデータ解析の理解に必要な統計,今後,構築が期待されているさまざまなデータベース,さらには,医療ビッグデータ分析の現状や課題がわかりやすく解説されています.

 健康情報の活用を含め,個の医療を実現するためにビッグデータ解析は近年,重要になってきており,集積されたデータをリアルタイムに有効活用することで,関連分野が飛躍的に進化すると期待されています.健康増進や先制医療の実現を目指した新しいプログラム開発や管理運営など,さまざまな場面でビッグデータを活用する時代が到来しています.

臨床検査領域におけるビッグデータの活用と課題

著者: 吉野誠

ページ範囲:P.970 - P.976

Point

●ビッグデータの収集・解析目的を明確にしておくことが必要である.

●ビッグデータの量や種類を自然に結び付けているものは時間軸である.

●検査品質の安定化や可視化を目的としてIoTを積極的に利用していく.

健康医療データを用いた大規模データマイニングに向けて

著者: 紀ノ定保臣

ページ範囲:P.978 - P.984

Point

●検査部門システム(LIS),電子カルテシステム(EMR),そしてデータウェアハウス(DWH):医療機関では数多くの検査機器が稼動しており,医師からの検査オーダーに対して検査結果を電子カルテシステムへ自動的に返送することが一般化している.今後,検査部門自身がデータウェアハウスを活用してビッグデータの蓄積と検査結果に対する質保証,そして,基準値に対する精度管理が推進されることが期待される.

●ビッグデータの定義と活用するための環境:ビッグデータを格納することができる大規模なDWHと,大規模なデータから“エビデンス”を発見するためのビッグデータ分析手法の理解,高速なビッグデータ分析環境の整備が求められる.

●ビッグデータを活用することの意義:個々の患者に対する検査結果には偶然性が内包されている.一方,これらデータが集積されてビッグデータになった場合,そこに“科学的な根拠”をみつけることが可能になる.

臨床検査領域におけるビッグデータの意味と,その活用に必要な統計学的視点

著者: 市原清志

ページ範囲:P.986 - P.995

Point

●ビッグデータは人によって,また,利用目的によって定義が異なる.科学的な利用にはソースデータの構成や記録形式が明確でなければならない.

●次世代シーケンサーの情報はパラメータ数が巨大なだけで,ビッグデータとはいいがたい.探索的な病態解析に利用するには,大規模演算能とデータ数の確保が課題となる.

●医療分野では,施設内病院情報システム(HIS)に加え,全国規模の診療報酬請求や包括医療費支払い制度のデータベース(DB)が医療サービスの効率化・最適化に利用されている.

●臨床検査領域ではソースデータは限定されるが,検査情報システムを活用した業務支援,診療支援は可能である.本稿では,そのアプローチと解析事例を紹介する.

医療・健康分野で求められるデータベース構築と効率的検索システム

著者: 桜井雅史

ページ範囲:P.996 - P.1002

Point

●研究者が解析すべきデータは日々増加しており,それに合わせてデータの入れ物や解析方法を工夫する必要がある.

●研究用途のデータベース構築には,事前によく要件を確認し,それに合わせて適切なソフトウエアを選定して,長期的な視点できちんと設計を行う必要がある.

●使われるデータベースを構築するためには,データベースソフトウエアの機能や性能だけでなく,ユーザーインターフェースやセキュリティーなどについても構築時点から検討しておく必要がある.

DPCなどの医療ビッグデータ分析の現状と課題

著者: 石川ベンジャミン光一

ページ範囲:P.1004 - P.1010

Point

●病院情報システムの開発と普及を引き継ぐ形で,大規模医療データベースの整備が進んでいる.

●DPCデータは,医療機関への普及,データの悉皆性,臨床情報と診療行為情報のバランスといった観点から,利用しやすいデータとして注目を集めている.

●DPCデータを利用することで,診療プロセスの分析や地域医療提供体制についての検討を行うことができる.

●大規模医療データの活用に向けて多くの課題はあるが,国は医療等分野データ利活用プログラムを策定して具体的な取り組みを進めることとしている.

心臓物語・6

モンゴルで高血圧を考えた

著者: 島田達生

ページ範囲:P.932 - P.932

 2013年に,電子顕微鏡技術学会とウランバートル大学との学術協力協定の締結のため,初めてモンゴルを訪問した.今年の5月には,第1回中国河北省心臓血管健康シンポジウムで,“未病を治す”という内容の教育講演を行った.いずれも大歓迎を受け,モンゴル料理と中華料理を堪能した.おいしかったが,塩分が明らかに高かった.甘いよりも,やや塩気があったほうが多く食べることができる.ついつい食べ過ぎになった.モンゴル人の男女平均寿命は69歳,中国人は74歳.日本人の83歳に比べてかなり短い.モンゴルではウオツカ,中国では白酒で何度も乾杯をした.いずれも50度前後.男性の寿命が平均よりも3〜4歳低いのは当然だ.

 本態性高血圧の環境因子として,食塩や脂質の過剰摂取,運動不足,肥満,ストレス,飲酒,喫煙などがある.高血圧はからだにどのような形態変化を引きが起こすのであろうか.電子顕微鏡でその謎を追ってみた.走査電子顕微鏡下で大動脈の内面をみると,高血圧という強い圧力によって内皮細胞が破壊されている([1]).内皮が壊れた後の透過電子顕微観察鏡は,内皮の修復に加えて,中膜の平滑筋細胞が圧補強のために内膜内に侵入し,内膜の肥厚が起こっていることを示している([2]).その結果,内腔が狭くなり,動脈硬化が進行する.

INFORMATION

Complex Cardiovascular Therapeutics(CCT)2016 Co-medical

ページ範囲:P.939 - P.939

検査レポート作成指南・13

アイソザイム編

著者: 米川修 ,   山本晶

ページ範囲:P.1012 - P.1019

 血中酵素の多くは一部の脂質や血液凝固線溶系の酵素と異なり,細胞内で本来の生理的機能を果たしている.可溶性分画(LDなど)やミトコンドリアに存在する酵素(m-CKなど)は細胞の破壊の程度に応じて血中に湧出・出現し,膜結合酵素(ALPなど),分泌酵素(アミラーゼなど)は産生過剰を反映し増加する1)

 酵素は臓器ごとにそれぞれ分布が異なり,特定の血中半減期を有していることから,血中の酵素の種類・活性を評価すれば,損傷臓器の特定,損傷程度,あるいは損傷時期の推定も可能となる.さらに,アイソザイムを有する酵素では,アイソザイムパターンを解析することで損傷臓器を特定でき,損傷の程度や時期をより正確に推定することが可能となる1)

 酵素活性増加時にはまず,由来を推定するためにLDであればLD/AST比,CKであればCK/AST比とCK-MB,ALPであればγ-GTとの比較,アミラーゼであればP-AMYを利用する1)

 これらの情報だけでは診断のつかない症例に対しては,アイソザイムを依頼することで由来がより明らかになるとともに,先天性異常(酵素欠損)や後天性の異常,免疫グロブリンとの結合による見掛け上の高値,あるいは,低値を検出することができる.病態の本質に迫れることに加え,データ修飾に気付くことで誤った診断,対応を防ぐことにもなる2).しかし,最近は多くの施設でアイソザイムは外注化されているため,結果報告までに時間を要してしまうことが問題である.

検査説明Q&A・20

HDL-C高値は臨床的にどのように解釈すればよいですか?

著者: 伊藤公美恵 ,   吉田博

ページ範囲:P.1020 - P.1024

■はじめに

 高比重リポ蛋白コレステロール(high-density lipoprotein cholesterol:HDL-C)の高値,高低比重リポ蛋白コレステロール(low-density lipoprotein cholesterol:LDL-C)血症,低HDL-C血症,高トリグリセライド(triglyceride:TG)血症は動脈硬化性疾患発症の危険因子であることは,わが国のガイドライン(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」)1)の診断基準にも示されている通り,すでに明らかとなっています.

 その一方で,HDL-C高値についての解釈は,ガイドラインなどでの明確な指標が示されていません.

 以前からHDL-Cに“善玉コレステロール”という別名(HDLが末梢組織から過剰に蓄積したコレステロールを引き抜いて肝臓に戻す作用をもつことからそう呼ばれています)があるように,HDL-Cが高いほど冠動脈疾患の発症が低いということが,これまでの疫学研究の結果でも明らかとなっていますが,最近,日本人のデータにおいてHDL-Cが著明な高値では冠動脈疾患との有意な関連はみられないといった報告や,HDL-Cが高値の症例では動脈硬化を合併するといった報告があり,高HDL-C血症の全ての症例が抗動脈硬化的に作用するわけではないことが示唆されています2)

 日本人は欧米人に比べてコレステリルエステル転送蛋白(cholesteryl ester transfer protein:CETP)欠損による高HDL-C血症を呈する割合が多いといわれています.ほかにも高HDL-C血症をきたす原因はいくつかありますが,すでに述べたように,現在,高HDL-C血症についての明確なガイドラインは存在しないために,検査データをどう解釈すればよいのかという判断に迷うことが多くあると思われます.

 本稿では,臨床の場で高HDL-C血症の患者に遭遇した場合に,どのようなことに注意をするべきかについて説明します.

元外科医のつぶやき・21

血液供給はつらいよ

著者: 中川国利

ページ範囲:P.1025 - P.1025

 血液センターの責務は,安全な血液を確実に患者に届けることである.そこで,私はセンター長として医薬情報担当者や血液供給医療担当者とともに県内の医療機関を頻繁に訪問し,血液供給状況の把握に努めている.

 救急車専用の駐車場は救急外来に接して設置されているが,同じく緊急性の高い血液を届ける血液センターの専用駐車場を設置している施設は皆無である.逆に,血液センターは通常の医薬品納入業者と同様に見なされ,搬入に不便な病院裏口から血液を届けることが多い.さらに,血液の受け渡し窓口である検査科までの病院内行程が長く,重い血液を手で運びながら急な階段を上り下りしなければならない施設もある.血液供給に対する構造的な配慮に欠けており,当センター職員の苦労が思いやられる.

資料

海外在住日本人に対する循環器検診活動—携帯型超音波診断装置とHolter心電計の有用性

著者: 川端泰広 ,   羽根田潔 ,   長谷川進

ページ範囲:P.1026 - P.1029

 フィジー共和国在住の日本人に対して2013年以来,循環器検診を行っており,2015年の検診は39人が受診した.全体的に被検者は良好な状態にあったが,高血圧,不整脈,心臓弁機能異常,頸動脈のプラーク形成など,今後の注意深い経過観察を要する者もみられた.海外における検診実施にはさまざまな制約があるが,そのなかで,携帯型超音波診断装置による心臓や頸動脈の検査と数時間の心電図記録は特に有用な検査手段であった.

寄生虫屋が語るよもやま話・9

必要なのは“鉄の肝臓”—寄生虫症のフィールドワーク

著者: 太田伸生

ページ範囲:P.1030 - P.1031

 今回は寄生虫屋の研究現場を少しだけ紹介したいと思う.寄生虫屋には“昔の昆虫少年”が多いと以前に書いた.野原を駆け回って寄生虫をみつけるだけで幸せだというやからは確実に多い.しかし,寄生虫学も自然科学の端くれであるべきだと,結構真剣に試験管を振る連中も増えてきている.それでも,そんな実験研究者を寄生虫病の流行地に連れ出すと,“現場”の魅力に取り付かれてしまう者も少なくないなど,フィールドワークには不思議な魔力がある.

 私は大学院で人類遺伝学を勉強し,将来はいっぱしの遺伝学研究者として身を立てようと思っていた.ところが,あるとき,恩師から日本住血吸虫症のフィールドワークに行ってこいと命じられ,出掛けたのが人生の転機であった.そんな経緯もあって,自分では屋外6割/実験室内4割の寄生虫屋と自己評価している.

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バックナンバー一覧

ページ範囲:P.954 - P.954

「検査と技術」9月号のお知らせ

ページ範囲:P.985 - P.985

書評 臨床研究の教科書—研究デザインとデータ処理のポイント

著者: 村川裕二

ページ範囲:P.1032 - P.1032

作法は初心者のうちに学ぶべし

 今どきの〈愛想の良い本〉ではない.

 〈臨床研究をなぜやるか,どうやるか,ロジックは,統計処理は〉などを1cmの厚さにまとめてある.

書評 内科診断学 第3版

著者: 徳田安春

ページ範囲:P.1033 - P.1033

標準的教科書でありながら,実践的な学習書

 「医学」を意味する“Medicine”には,「内科」という意味もあります.将来専攻する基本領域にかかわらず,全ての医師には,“Medical Diagnosis”すなわち「内科診断学」の学習が勧められます.医学生や初期研修医にとっては,内科診断学は医療面接や診察法を行う基礎となる学問であり,各論的な症候学と合わせて,最も重要な臨床医学の学ぶべき領域となります.

 さらには,新しい内科専門研修を専攻する医師には,将来のサブスペシャリティー診療科の種類にかかわらず,総合(一般)内科的な知識の習得と経験が求められており,内科診断学は研修目標のコアとなるでしょう.また,総合診療専門研修を専攻する医師にとっても,病院総合や家庭医療のいずれを選択するにせよ,多くの内科系疾患の初期診断過程にかかわることから,内科診断学を学ぶことが必須です.

次号予告

ページ範囲:P.1035 - P.1035

あとがき

著者: 山内一由

ページ範囲:P.1036 - P.1036

 梅雨明けを待ち遠しく思いながら,本稿を執筆しています.太平洋高気圧が梅雨前線をぐっと北に押し上げて本格的な夏がやってくると,リオデジャネイロオリンピックの開幕です.日本選手はもちろんのこと,世界のトップアスリートの活躍が今からとても楽しみでなりません.そして,少々気の早い話ですが,リオが終わるといよいよ東京です.私は,第18回夏季オリンピックが東京で開催された1964年生まれです.開会式より4カ月ほど早く生を受けたおかげで,自宅の近くを通った聖火を父に抱かれながら見ることができたそうです.もちろん,覚えているわけではありません.しかし,テレビで当時の映像が流れると,とても懐かしい気持ちになります.どうも,そのときの話を何度となく聞かされるうちに,当時のことを記憶しているかのような錯覚を覚えるようになってしまったようです.4年後がとても待ち遠しくて仕方ありません.エンブレムの盗作疑惑,新国立競技場問題,そして都知事の政治資金問題といろいろケチがついてしまいましたが,今後は滞りなく準備が進み,“sekoi”などと揶揄されることのない世界に誇れるオリンピックとなることを心から願っています.

 さて,本号の第1特集は「睡眠障害と臨床検査」です.現代病ともいわれる睡眠障害の基礎から最新の情報に至るまで幅広く解説していただきました.人生の1/3を睡眠時間が占めるといわれています.起きている2/3を有意義に過ごすためには,質の高い睡眠が必要です.私自身,歳をとり体力がなくなってそう強く実感します.リオデジャネイロは地球の裏側です.オリンピックのテレビ観戦は楽しみですが,寝不足必至です.仕事に支障が出ない程度に,そして睡眠障害のきっかけにならないように,4年に一度のスポーツの祭典を楽しまなければいけません.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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