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雑誌目次

論文

臨床検査48巻9号

2004年09月発行

雑誌目次

今月の主題 栄養管理のパラメーター 巻頭言

栄養サポートと臨床検査

著者: 東口髙志

ページ範囲:P.933 - P.934

 栄養管理はすべての疾患治療のうえで共通する基本的医療の1つである.栄養管理をおろそかにするといかなる治療もその効力を発揮できず,逆に栄養障害に起因する種々の合併症を併発してしまうことすらある.この栄養管理を症例個々に応じて適切に実施することを栄養サポートといい,これを各科間の垣根を越え,しかも医師のみならず看護師,薬剤師,栄養士,そして検査技師らがそれぞれの専門的な知識・技術を生かしながら一致団結して実施する集団をNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)という.NST誕生の歴史的背景をみると,1968年,Dudrickによる中心静脈栄養法の開発以来,その発展・普及とともに栄養管理を専門とするスタッフが各施設で求められるようになったことがすべての始まりと考えられる.1970年,米国のシカゴに集結した代謝・栄養学を専門とする医師,栄養士,薬剤師らによって,多職種による専門的な栄養管理チームの必要性が提唱された.さらにBlackburnによって,栄養管理になくてはならならない栄養アセスメントが,初めて臨床検査の1つとして体系付けられた.そしてこのBlackburnによると1973年,米国のボストンシティー病院に初のNSTは誕生したとされている.その後,NSTは全米さらに欧州諸国へと急激に伝播していき,最近ではアジア諸国の多くの病院にも当たり前のように設立されようとしている.

 NSTの運営システムは欧米では専属チーム体制が一般的であり,医療経済の低迷と栄養療法の有用性が認識されていなかったわが国では,これまでNSTの存在さえ認知されていなかった.しかし,1998年,わが国の医療状況を考慮した新しいNSTの運営システム“Potluck Party Method(PPM:持ち寄りパーティー方式/兼業兼務システム)”が考案され,このシステムを用いた全科型NSTが鈴鹿中央総合病院に設立された.これを契機にわが国でも本格的な全科型NSTが次々と設立され,その有用性が実証されるようになった.

総説

栄養パラメーター測定の意義

著者: 東口髙志 ,   伊藤彰博 ,   飯田俊雄 ,   村井美代 ,   中井りつ子

ページ範囲:P.935 - P.943

〔SUMMARY〕 1998年,わが国独自のNST稼動システム“Potluck Party Method(PPM)”が考案された.これを皮切りに本格的な全科型NSTが全国各地に相次いで設立されるようになり,現在200以上の施設にNSTが設立され,さらに250以上の施設でNST稼動の準備がなされている.このNST活動のなかでも最も基本的でかつ大切なものが栄養評価(アセスメント)であり,その栄養評価の指標となるのが栄養パラメーターである.本稿ではNST活動の登竜門とされる栄養評価法とそのパラメーター測定の意義について概説する.

栄養パラメーターの種類

著者: 平野勝康 ,   大村健二

ページ範囲:P.945 - P.950

〔SUMMARY〕 栄養療法の進歩は,様々な疾患の治療成績向上に貢献している.適切な栄養療法を施行するためには,栄養療法開始前の栄養状態,栄養療法の適応,その効果などを客観的に評価する必要がある.正確な栄養評価には,種々の栄養パラメーターの意義と長所および短所に関する正しい知識をもつことが重要である.さらに,栄養評価を行う時点での生体の代謝状態や循環動態,栄養摂取状態なども考慮する必要がある.

栄養パラメーターと栄養管理の進め方

著者: 丸山道生

ページ範囲:P.951 - P.957

〔SUMMARY〕 身体計測,血液免疫学的データなどの栄養パラメーターから栄養評価を行い,それに基づいて栄養治療を行う.一定期間の後,再度栄養評価を行い,栄養治療の見直しをする,栄養評価→栄養治療→再評価→栄養治療のサイクルが重要である.栄養管理には経口栄養法,経腸栄養法,静脈栄養法がある.どの栄養法を用いるかは「腸が働いているなら,腸を使う」すなわち,腸が安全に使用できるなら経腸栄養法を,使えない場合は静脈栄養法を選択する.

各論

3. 免疫能評価

著者: 二村昭彦 ,   東口髙志 ,   谷口靖樹 ,   片岡康

ページ範囲:P.1017 - P.1023

〔SUMMARY〕 栄養不良状態では細胞性ならびに液性免疫能の低下が認められ,感染に対する抵抗力が低下する.栄養評価に用いられる免疫能検査法としては,末梢血総リンパ球数(Total lymphocyte counts;TLC)や皮膚遅延型過敏反応が総合的な免疫能を反映する指標として知られている.補体や免疫グロブリンは,低栄養状態では低下し,免疫能低下をきたすため,これらの測定も有用である.さらに詳細に評価する場合には,リンパ球サブセット分析,サイトカインの測定により的確に栄養状態を評価することが可能である.これらの免疫能を評価することによって栄養障害の有無の判別や栄養療法の適応,適切な栄養療法が行われているかの効果判定を行うことも可能である.

4. 総合的栄養評価

著者: 伊藤彰博 ,   東口髙志 ,   飯田俊雄 ,   村井美代

ページ範囲:P.1025 - P.1029

〔SUMMARY〕 栄養管理は,すべての治療のうえで共通する基本的医療の1つである.栄養管理をおろそかにすると,いかなる治療法も効果を失い,手術などの侵襲に伴う合併症の発生を容易にする.そこで,詳細な栄養状態を把握するためには栄養評価が必要とされ,その成績に基づいて栄養管理が必要か否かの判定や適切な栄養療法の選択が可能となる.本稿では,その栄養状態を把握するために必要な栄養評価の意義,分類,再評価の重要性などにつき,外科領域を中心に概説する.

5. エネルギー代謝

著者: 杉山みち子 ,   五味郁子

ページ範囲:P.1031 - P.1037

〔SUMMARY〕 栄養管理においては,患者の適正体重の維持あるいは適正体重を目標とした栄養ケア計画の作成に当たって,エネルギー補給量の決定は最も基本的な事項である.入院患者や傷病者のエネルギー補給量を決定するためには,患者個々人の安静時エネルギー消費量を実測することが望まれる.しかし,それができない場合には推算式が活用される.

1. 身体計測パラメーター

1)身長・体重・BMI

著者: 田中弥生

ページ範囲:P.959 - P.964

〔SUMMARY〕 栄養管理のパラメーターの1つに身体計測(anthopometric method)がある.身体計測は,人体の体格のほか,体脂肪,体蛋白質,骨格筋などの構成成分を知ることなど,栄養スクリニングとしては最も簡便でかつ重要な栄養指標である.栄養指標のうち,一般的に用いられる測定項目としては体重,身長,BMI,体脂肪,皮下脂肪厚などが挙げられる.

 身体計測は栄養アセスメントの重要な位置を占めているが,身体計測は計測者が変わるなどによる誤差を最小限に努め,正確な計測方法の手技を熟達させねばならない.

 本稿は身長,体重,BMIについての身体計測の意義と計測方法について述べる.

2)AMCとTSF

著者: 藤井映子 ,   梶原稔久 ,   多田達史 ,   合田文則

ページ範囲:P.965 - P.970

〔SUMMARY〕 栄養療法を開始するには,栄養アセスメントを行い,患者の栄養状態を客観的に判定する必要がある.また,経過を追って栄養状態を判定しなければならない.

 栄養アセスメントの栄養パラメーターとして,身体計測,臨床検査,食事・栄養などが挙げられる.ここでは身体計測パラメーターのAMCとTSFの計測および評価方法について述べる.

3)身体構成成分

著者: 山東勤弥

ページ範囲:P.971 - P.976

〔SUMMARY〕 古典的栄養アセスメン卜では,身体をまるごとの体重ではなく,身体構成成分(Body composition)として,貯蔵脂肪,骨格筋,内臓蛋白というコンパー卜メン卜に分け,それぞれに特有な栄養指標を設定し,個別に測定し,総合的に評価することを提唱している.栄養アセスメントの基本は身体構成成分を正確に測定することといえる.現在では原子,分子レベルでとらえることができる.

2. 生化学的パラメーター

1)蛋白代謝:一般検査

著者: 小山諭 ,   畠山勝義

ページ範囲:P.977 - P.982

〔SUMMARY〕 蛋白質は最も重要な栄養素であり,栄養不良による蛋白喪失は死に結びつきうるため,蛋白代謝は栄養障害の評価において極めて大切である.一般検査では,筋蛋白の尿中代謝産物であるクレアチニンや3-メチルヒスチジン,蛋白質動態総和の指標として窒素平衡,蛋白合成の指標として血清アルブミンなどが挙げられる.臨床所見にこれら一般検査を有効に加えることでより正確な栄養状態・蛋白代謝の評価を行うことができる.〔臨床検査 48:977-982,2004〕

2)蛋白代謝:Rapid Turnover Protein(RTP)

著者: 中井りつ子 ,   大川貴正 ,   東口髙志

ページ範囲:P.983 - P.987

〔SUMMARY〕 栄養管理はすべての医療の基本である.低栄養患者を抽出して栄養療法を施行していくことは,患者の治癒力上昇,合併症・感染症減少のために重要である.入院患者の栄養スクリーニングや栄養療法のモニターリングに半減期の短いRTPは有用である.

3)蛋白代謝:アミノ酸分析

著者: 谷口靖樹 ,   東口髙志 ,   岩井昭彦 ,   二村昭彦 ,   松岡幸男

ページ範囲:P.989 - P.994

〔SUMMARY〕 非代償性肝硬変症例は,蛋白・アミノ酸の代謝異常特に分岐鎖アミノ酸(BCAA)濃度と芳香族アミノ酸濃度の濃度比つまりFischer比の低下が認められる.Fischer比のモニターは,栄養管理上,栄養アセスメント指標として有用である.このような症例に対する栄養療法には,経口BCAA療法があり長期投与により栄養状態の改善・維持効果を示し,更に肝性昏睡の頻度の低下や生命予後の延長やQOLの改善効果が得られている.

4)脂質代謝

著者: 桜井洋一 ,   増井利彦 ,   浦めぐみ ,   西田卓明 ,   野田潤子 ,   吉田郁男 ,   庄司光孝 ,   中村康子 ,   宇山一朗 ,   小森義之 ,   落合正宏

ページ範囲:P.995 - P.1001

〔SUMMARY〕 栄養指標としての脂質パラメーターについて解説する.一般に血清脂質パラメーターのうち血清コレステロール値,血清トリグリセリド値は栄養不良で低下し,栄養状態を反映するパラメーターとなる.しかし高脂血症,糖尿病などによる脳血管障害,嚥下障害などの栄養不良をきたす病態に伴って増加していることもあるので病態自体による影響も考慮に入れる必要がある.飢餓,運動負荷や重傷病態などの脂肪分解の増加する病態下では,脂肪分解の亢進に伴いグリセロール,遊離脂肪酸などが著明に増加しエネルギー基質として利用される.血清中性脂肪値は重症感染症,敗血症などでは増加する.栄養投与の際にはTG高値は過剰栄養の指標となる.〔臨床検査 48:995-1001,2004〕

5)糖代謝

著者: 山中英治 ,   杉山昌晃 ,   朝山均

ページ範囲:P.1003 - P.1008

〔SUMMARY〕 栄養不良の生化学的パラメーターは,血清アルブミンなどの内臓蛋白指標である.栄養アセスメントにおける糖代謝指標は,主に糖尿病の診断に用いられる.近年は肥満による耐糖能異常が増えている.侵襲や感染などのストレス下では,糖質などのエネルギー必要量が増加するので,十分なカロリーを投与する必要があるが,血糖値などに留意する.

6)ビタミンとミネラル

著者: 田中芳明 ,   浅桐公男

ページ範囲:P.1009 - P.1015

〔SUMMARY〕 ビタミンとミネラル(微量元素)は体内での合成が困難なために外部から適切に摂取することが必要な必須栄養素であり,各種酵素の重要な補酵素や補助因子である.また入院治療中の患者は基礎疾患が存在する場合が少なくない.これらの基礎疾患の多くは酸化ストレス過剰状態がその原因の1つであり,抗酸化作用を有する微量元素やビタミンの適正な摂取は基礎疾患の病態を是正し,合併症の発症予防において最も重要といえる.

話題

NSTにおける栄養アセスメントの実際

著者: 大川貴正 ,   東口髙志 ,   加藤弘幸 ,   河北知之 ,   中井りつ子 ,   川口恵

ページ範囲:P.1039 - P.1044

 1.はじめに

 1970年米国で誕生したNSTは現在欧米諸国に広く普及している.さらにわが国においても近年NSTプロジェクトのもとに急速に普及しつつある.尾鷲総合病院では2000年7月よりPotluck Party Method(PPM:持ち寄りパーティー方式)―IIによる全科型のNSTを立ちあげ現在もその活動を継続している1).わが国においては栄養アセスメントに対する認識不足およびマンパワー不足のためにすべての施設で十分に栄養アセスメントが行われているとはいい難いのが現状である.これは尾鷲総合病院でも同様でありNST設立以前は栄養アセスメントは全く行われておらず定期的な体重測定も不十分な状態であった.しかしNST導入以後,院内で統一された手技が導入され,全職員に対する啓発活動により認識が高まり現在に至っている.本稿では当院での患者を取り巻くNSTを基盤としたシステムについて概説しNSTにおける栄養アセスメントの実際について述べる.

栄養パラメーターと保険診療

著者: 前川真人

ページ範囲:P.1045 - P.1050

 1.はじめに

 日本の平均在院日数は,欧米先進国に比べて2~4倍長く,医療費抑制のために在院日数削減が課題となっている(図1)1).2000年に導入された入院基本料では,入院初日から14日目までは高い初期加算が設定されている.また2003年4月からは,特定機能病院を対象にDiagnosis Procedure Combination(DPC)が施行され,同じ疾患であれば在院日数が短いほうが1日当たりの収入が増えるような医療システムに変わってきており,各病院は在院日数を短くすることに奔走しているのが現状だと思われる.その方法として期待されるのが「栄養管理」である.

今月の表紙 臨床生理検査・画像検査・9

腎・副腎疾患

著者: 藤井康友

ページ範囲:P.930 - P.931

1.下大静脈内に腫瘍塞栓をきたした腎細胞癌

 56歳男性.血尿,発熱を主訴に当院を受診した.超音波検査では右腎下極に直径約6cm大の低エコー腫瘤を認めた.腎静脈はechogenicで,カラードプラ法において血流シグナルを認めなかった(図1:矢頭は腎静脈を,矢印は腎動脈をそれぞれ指す).以上より腎細胞癌による静脈内腫瘍塞栓と考えた.腎静脈から下大静脈にかけて塞栓を追跡したところ,肝静脈流入部付近まで充満しているのが確認された(図2).CT像を図3に示す.矢頭は腫瘍塞栓の充満した腎静脈を,矢印は腫瘍をそれぞれ指す.腎細胞癌は近位尿細管上皮由来の悪性腫瘍で腎充実性腫瘍全体の約8割を占める.主な症状としては,血尿,側腹部痛,腫瘤触知があるが,最近は検診や他疾患のスクリーニングの際に無症候性で発見されることも多く,本疾患の発見における超音波の役割は大きい.腎細胞癌が発見されると,staging決定のために腎静脈・下大静脈内の腫瘍塞栓および所属リンパ節をチェックする必要がある.本例のごとく,腫瘍が下大静脈内に進展するが横隔膜を超えない場合,TMN分類においてT3bと分類される.

 2.腎動静脈瘻を伴った腎動脈瘤

 50歳女性.高血圧および間欠的な肉眼的血尿を主訴に来院した.超音波検査にて左腎下極に直径約4.5cm大の囊胞性病変を認めた(図4).カラードプラ法(図5)にてその内部に乱流を呈する血流シグナルを認めたため,囊胞ではなく動脈瘤と考えた.さらに,左腎静脈の拡張を認めたが,動脈との交通は超音波上明らかではなかった.3-D CT(図6)では左腎動脈の瘤状拡張(白矢印)とそれに接する拡張した左腎静脈(黒矢印)を認めたため動静脈瘻の合併が疑われた.血管造影にて左腎動脈瘤から腎実質相よりも早期に造影剤が左腎静脈に流入しており腎動静脈瘻を伴った腎動脈瘤と診断した.本例では当初,腎囊胞が疑われたがカラードプラ法を用いることにより,動脈瘤であることが判明した.囊胞性病変を認めた場合,血管性病変との鑑別を念頭におき,カラードプラ法を施行すべきであると考える.

コーヒーブレイク

トシ坊の青春

著者: 屋形稔

ページ範囲:P.1015 - P.1015

 昨今イラク戦争を巡ってわが国の内外もあわただしく国民皆が落ち着きのない毎日を送っている.若者達も前途多難である.

 私達の青春時代は敗戦で締めくくられた狂瀾怒濤の戦時下であった.苦難の割に国民は国に身をゆだねきったという束の間の平和も味わって生きてきた感もある.なにしろ小学校入学時に満洲事変が勃発し,中学に入った年に日支事変に突入,卒業前年に太平洋戦争という文字どおり戦争の申し子の時代であったから,あわてふためいている暇もなかったのかもしれない.

シリーズ最新医学講座・Ⅰ 転写因子・9

転写因子と内分泌疾患Ⅰ:下垂体および甲状腺―転写因子異常症のモデル疾患:PIT1異常症

著者: 巽圭太

ページ範囲:P.1051 - P.1057

はじめに

 われわれは1992年にNature Genetics創刊号のPIT1異常症の論文のなかで転写因子異常症の概念を世界で初めて提唱し,editorialでも転写因子異常の最初の疾患として取り上げられた1,2).以来今日まで多くの転写因子が同定され,転写因子異常症と転写因子欠損マウスが次々と報告されてきた.これらの多くは組織形成不全を伴うものの標的遺伝子は明らかでないものが多いので,標的遺伝子が明白なPIT1異常症は転写制御機構の観点からは相変わらず最も明快である.本稿では,PIT1異常症を転写因子異常症のモデル疾患として述べるとともに,下垂体および甲状腺で明らかにされた転写因子異常症について概説する.

シリーズ最新医学講座・Ⅱ 病理診断に役立つ分子病理学・9

軟部腫瘍

著者: 元井亨

ページ範囲:P.1059 - P.1065

はじめに

 軟部組織とは,体の運動,支持にかかわる組織の総称であり,骨や実質臓器を除外した部分を指す.ここから発生した腫瘍を軟部腫瘍と称している.軟部腫瘍には,良性腫瘍,反応性病変から悪性腫瘍まで,様々なものが含まれている.このうち間葉系細胞由来の悪性腫瘍は特に肉腫と称され,癌と比べて若年に発生し,悪性度の高いものが多く含まれている.肉腫の病理組織診断は病理診断医にとって難易度が高く,診断に難渋する領域の1つである.一方,近年の肉腫の細胞遺伝学的知見は進歩は目覚しく,これらの異常の検出が病理診断の補助診断法として応用され始めている.本稿では,その現状と将来の展望について解説する.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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